レースハイライト タイトル
dirt
2013年11月4日(振・月) 金沢競馬場 1500m

単勝元返しの期待にこたえ完勝
JpnⅠ勝利で真のダート女王に

 3回目を迎えたJBCレディスクラシックは今年からJpnⅠに格付けされ、歴史の幕開けは金沢競馬場からスタートした。
 1回目、2回目で連覇したミラクルレジェンドが今春に引退し、混戦ムードになるかと思われた2013年の牝馬ダート戦線。しかし、後継者はすぐに現れた。今年からこの路線に参戦してきたメーデイアだ。1月のTCK女王盃JpnⅢを5馬身差で圧勝した時、濱中俊騎手は「この馬と一緒にJBCに出たい」と初めて思ったという。その次のマリーンカップJpnⅢを横綱相撲で他馬を圧倒すると、メーデイア時代の到来を確信させた。芝のヴィクトリアマイルGⅠでは大敗したが、スパーキングレディーカップJpnⅢでは敗戦のダメージへの心配をよそに、2着のサマリーズには1馬身差だったが着差以上の強さを見せつけた。このレース後、笹田和秀調教師は「完成の域に達している」とコメントを残している。そして、JBCレディスクラシックJpnⅠの前哨戦レディスプレリュードJpnⅡでは、危なげない勝ち方で本番に弾みをつけた。
 ここまで牝馬のダート交流重賞では無敗のメーデイアは、当然JBCレディスクラシックJpnⅠでも断然の1番人気。単勝支持率75.7%の1.0倍で、ファンからも勝利への舞台が用意された。
 注目の先行争いからハナを切ったのはトシキャンディ。少し出遅れたメーデイアはすぐに巻き返し、1コーナーでは2番手につけた。すぐ後ろには、アクティビューティやサマリーズ、キモンレッドというJRA勢が追走。しかしそのマークをよそに、「2番手が取れた時点で、もう大丈夫だと思った」(濱中騎手)というメーデイアは4コーナーあたりで早くも先頭に立った。直線では後ろを振り返る余裕を見せ3馬身差の完勝。1万人を超える大観衆を前に貫録の勝利を飾った。
 2着は3番手でレースを進めたアクティビューティ。ダート交流重賞初挑戦となったキモンレッドが3着に入った。
 前走のレディスプレリュードの後、「JBCに向けて不安はありません」と自信が溢れていた濱中騎手だが、やはりファンからの大きな期待にプレッシャーがあったのだろう、今回は「ほっとしました」と安堵の表情が印象的だった。
 陣営はこの日のために、より負荷をかけて調教し大一番に臨んだという。笹田調教師は「以前は骨が弱かったが、しっかり固まってきてそれに合わせて良い筋肉もついてきて、理想的な体型になった」と成長を振り返った。
 初の牝馬ダートJpnⅠのタイトルを手にし、これで正真正銘の女王の座に君臨したメーデイア。しかし来年の春には現役を引退し、繁殖牝馬の道に進むことが決まっている。この後は、ジャパンカップダートGⅠかフェブラリーステークスGⅠに挑戦する可能性もあるとのことで、一線級の牡馬たち相手にどんな走りを見せてくれるのか非常に楽しみである。そして無事に第2の人生のスタートに立てるよう、女王のラストランをしっかりと見守りたい。
 地方馬最先着は、名古屋の3歳馬ピッチシフターだった。直線で脚を伸ばし5着と掲示板を確保。3戦続けてコンビを組んでいる大畑雅章騎手は「馬まかせでレースを進めましたが、がんばってくれました。成長をとても感じます。砂をかぶっても動じないし、どんな展開でも対応できる馬。東海ナンバーワンですよ。今回挑戦した甲斐がありました」と嬉しそうに語った。
 北海道からの転入当初からこの馬の素質を高く評価していた川西毅調教師は、9月の秋桜賞を勝った時からJBCへの参戦を口にしていた。JRA勢の上位馬との差はあったが、これまで牝馬のダート交流重賞で地方代表として健闘しきたクラーベセクレタ(6着)やアドマイヤインディ(7着)、マニエリスム(10着)などの古馬たちに先着したという結果は、今後の大きな糧となるだろう。まだ底が知れていない名古屋のピッチシフターには、全国区での活躍が期待できそうだ。

濱中俊騎手
隣の馬がゲートで暴れた影響で馬が力んでしまって少し出遅れてしまいました。最後は力も残っていたので無事に走りきってほしいなという気持ち。負けられいと思っていたし、当然の結果を出すことができて安心しました。自分自身、交流のジーワンを勝ったのは初めてですし、JBCを勝てて嬉しいです。
笹田和秀調教師
目標としていたレースですが馬にプレッシャーがかからないように自然体で臨みました。オッズを見たらやはり負けられないという思いでした。2番手につけられた時にはこのまま無事に周ってくれればと。この後、どのレースを使うか未定ですが母親になってもいい子ができるよう見守ってほしいですね。

直線では後ろを振り返る余裕を見せるほどの圧勝劇
ピッチシフター(愛知)が掲示板を確保し、地方最先着(5着)

取材・文:秋田奈津子
写真:いちかんぽ(国分智・宮原政典)、NAR

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(YouTube地方競馬チャンネル内)