グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
読売レディス杯 7/2(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・
近畿・中四国
スパーキングレディーカップ JpnⅢ 7/3(水) 川崎 1,600m 南関東
ノースクイーンカップ 7/23(火) 門別 1,800m 北海道
兵庫サマークイーン賞 7/25(木) 園田 1,700m 北陸・東海・
近畿・中四国
ビューチフル・ドリーマーカップ 9/2(月) 水沢 1,900m 東北
秋桜賞 9/5(木) 名古屋 1,400m 北陸・東海・
近畿・中四国
レディスプレリュード JpnⅡ 10/3(木) 大井 1,800m 南関東
地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、昨年に引き続き、世代別牝馬重賞シリーズ「GRANDAME-JAPAN(グランダム・ジャパン)」を実施します(創設2010年)。

全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

控えて折り合い早めの仕掛け
強気の攻めで人気馬を完封

 グランダム・ジャパン古馬シーズン第4戦は、兵庫サマークイーン賞。メインレースが近づいた15時過ぎ、園田競馬場の気温は34度を超え、痛いくらいの日差しが降り注いでいた。しかし、そんな暑さにもかかわらずパドックには出走馬の状態をチェックするファンが集まっていた。そして、ひときわ視線を集める馬が1頭、船橋からの遠征馬アスカリーブルだ。
 アスカリーブルは、2011年の2歳時に園田競馬場でデビューし、4戦4勝と注目の存在だった。秋に南関東に移籍すると、3歳になって大活躍。東京プリンセス賞と関東オークスJpnⅡを制して牝馬二冠を獲得し、積み上げた重賞は6勝と輝かしい実績を残してきた。2歳時よりひと回りもふた回りも成長したアスカリーブルが、約2年ぶりにデビューの地に帰ってきたのである。初めての長距離離輸送や暑さが影響したのか、馬体重13キロ減は気になる材料ではあったが、実績も注目度も断然。単勝オッズ1.3倍と圧倒的な支持を集めた。
 しかし結果は、地元の意地を見せつけられることとなった。兵庫生え抜きのマンボビーンとベテラン下原理騎手が、アスカリーブルの前に立ちはだかったのだった。
 ゲートが開くと、予想されていたマンボビーンの逃げではなく、外からサマーパレスが先手を主張し、ハナを取り切った。隊列が落ち着いたスタンド前でマンボビーンは2番手の位置取り。一方、アスカリーブルは後方から3番手で前を見ながらのレースとなった。
 2周目の向正面で先に動いたのはマンボビーンだった。「一発があるかもしれない」と思った下原騎手は早めのスパートで先頭に立つと、後続を引き離しにかかった。ここでアスカリーブルも外から進出をはじめ、4コーナーでは2番手まで位置取りを上げた。しかし、直線に入っても2頭の距離はなかなか縮まらない。必死に追いすがるアスカリーブルを尻目に、マンボビーンの脚色は最後まで衰えず、下原騎手はガッツポーズでゴールイン。アスカリーブルに1馬身半差をつけての快勝となった。
 3馬身離れた3着には地元のリジョウクラウンが入り、シリーズ第1戦の読売レディス杯で2着と好走した大井のメビュースラブは8着だった。
 「一発逆転ホームランやー!」と喜びを顕わにした下原騎手。断然人気の馬を破ったことで、陣営の喜びも大きかったようだ。もともとマンボビーンは折り合いに課題のある馬で、「ハナを切れなかったレースで気持ちよく走っている姿を初めて見た」と野田学調教師は驚いていた。今回は折り合いがついたことで、強気に攻めた下原騎手の好判断も光った。今年に入って先行策で好走してきたマンボビーンだが、ここでもうひとつ成長を遂げたようだ。
 悔しそうだったのは、アスカリーブルの吉原寛人騎手。「スタートで落ち着きすぎていて、後方からになってしまって……。直線の短い園田コースを考えると、あの位置から差し切るのは厳しかった。前走より行きっぷりも少しよくなかった」とコメントを残した。
 勝ったマンボビーンの次走は、グランダム・ジャパン古馬シーズンの第6戦、9月5日に名古屋競馬で行われる秋桜賞とのこと。今年は1400メートルで行われため、「もう少し長い方がいいんだけど」と野田調教師は不安を口にした。マンボビーンにとっては2年前のグランダム・ジャパン3歳シーズンの優勝に続き、古馬シーズンのタイトルも狙う。
下原理騎手
もっとかかる馬だったんですけど今日は折り合いがつきましたね。逃げるつもりでしたが前崩れの展開にしたくなかったので控えました。折り合いがついた時点でいけるかもと思い強気に動きましたが、うまくはまってくれましたね。直線入口ではもう大丈夫かなと。足音が近づいてきたところがゴールでした。
野田学調教師
馬の状態は良かったです。ハナに行けないとかかってしまう難しい馬なので、下原騎手には行けたら逃げてくれとは言いましたが、今日は折り合いがうまくついていましたね。このようなレースができれば今後も楽しみです。グランダム・ジャパンは3歳シーズンも優勝していますし、古馬シーズンも勝ちたいです。


取材・文:秋田奈津子
写真:川村章子(いちかんぽ)