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2015年4月8日(水) 大井競馬場 1200m

2番手からゴール前突き放す
重賞3連勝で目指すはJBC

 日中の気温が4度以下と季節外れの寒さに見舞われた大井競馬場だが、この日は平成27年度のTCKイメージキャラクター、斎藤工さんと剛力彩芽さんが来場し、場内はとても華やいでいた。そしてメインとして行われた東京スプリントJpnⅢの表彰式でその2人の間で満面の笑顔を見せていたのは丸田恭介騎手。「最高です!」と賞典台の周りに集まった大勢のファンの前で喜びの言葉を口にした。
 丸田騎手が勝利に導いたのは、単勝2.0倍の1番人気に支持されたダノンレジェンド。カペラステークスGⅢ、黒船賞JpnⅢから怒涛の重賞3連勝を決めた。
 予想通り、内枠のシゲルカガが二の脚を使って先手を奪うと、「2番手で余裕をもって、前の馬を交わすレースをしよう」(丸田騎手)と控える競馬を選択したダノンレジェンド。そのうしろに1200メートル初経験のグレープブランデー、浦和の実績馬サトノタイガーと続き、人気の一角であるノーザンリバーやドリームバレンチノは8枠から押し上げ気味に中団につけた。
 快調に逃げるシゲルカガがリードを少し広げて4コーナーを回ったが、ダノンレジェンドの丸田騎手は、「末脚は残っていたし、うしろからの脚音も小さくなっていたので、直線を向いたところではやれると思った」という。直線半ばあたりでシゲルカガを交わすと、そのまま2馬身突き放してゴールイン。1分10秒6(不良)という好タイムで他馬を圧倒した。
 2着には、前走からダート路線に転向した4歳のシゲルカガ。勝浦正樹騎手は、「とても充実している。ダート短距離戦線でこれから面白い存在になりますよ」と大きな期待を寄せていた。さらに2馬身差の3着には、直線で外から脚を伸ばしたノーザンリバーが入った。
 「これだけ強い馬に乗せてもらい、騎手人生の中で今がターニングポイントだと思います」とダノンレジェンドでの勝利について熱く語った丸田騎手。「自分なりに今日の馬場傾向を研究しました。相手はこのコースを知り尽くしている先輩騎手ばかりですし、自分のせいで負けたくないですから」と並々ならぬ想いでレースに臨んだ。いつ乗替りになるかわからない厳しい勝負の世界。大目標のJBCスプリントJpnⅠを自分の騎乗で勝つためにはひとつも取りこぼせない、そんな気持ちで丸田騎手自身も戦っているようだ。
 ダノンレジェンドの次走は北海道スプリントカップJpnⅢを予定している。「これまで難しいレースなどをして遠回りしてきましたが、ブリンカーをつけたことで能力を発揮することができるようになりました。この後も短距離路線1本でいきます」と村山明調教師は明るい表情。本格化を迎えた5歳の春、連勝街道はどこまで続くのだろうか。そしてダノンレジェンドと丸田騎手という負け知らずのコンビにも注目していきたい。
 地方馬最先着は浦和・小久保智厩舎の9歳馬ジョーメテオ。直線は大外から豪快な末脚を見せ5着と掲示板を確保した。「折り合いが難しい馬なので、スタート出たなりで進めました。このメンバーで5着にきたのは実力があるからですね。安定感があって力強い走りの馬です」と初コンビの内田利雄騎手。若い勢力が力を伸ばす中、人馬共にベテランの底力を示してくれた。
丸田恭介騎手
ナイターを少し気にしていたり、水の浮いている場所で神経質になるところがありましたが、返し馬を入念にして不安をひとつずつなくしていきました。パドックではかなり緊張したのですが、馬の調子が良さそうだったので助けられました。自分の形に持ち込めばこんなに楽勝してくれる、本当に強い馬です。
村山明調教師
高知を使ってさらに状態は上向いていました。ちょうど目標にする馬がいてレースはしやすかったのでは。丸田君が上手く乗ってくれました。東京盃とJBCスプリントを考えると、このレースを勝てたことはとても意義のあることです。砂をかぶったり、もまれたりすると弱いのでそのあたりが課題ですね。


取材・文:秋田奈津子
写真:国分智(いちかんぽ)