dirt
2015年5月6日(振・水) 園田競馬場 1870m

ハナを奪ってマイペースの逃げ
直線独走となって9馬身差圧勝

 7月に大井で行われるジャパンダートダービーJpnⅠを頂点とした3歳ダート路線。頂点に向けてのステップレースの位置づけとなるダートグレードが、6月にJRA東京で行われるユニコーンステークスGⅢと、園田の兵庫チャンピオンシップJpnⅡだ。
 今年で16回目を迎えるが、第1回が笠松ミツアキサイレンス、第2回が地元園田で三冠馬となったロードバクシンと地方馬2頭が勝利も、第3回から中央勢が13連勝中。特に最近3年は掲示板を独占し、地方勢を圧倒してきた。さらに第1回からの中央勢の活躍馬を見ると、3月末~4月初頭に中山1800メートルで行われる伏竜ステークスの勝ち馬が4勝、2着3回と結びつきが強い。
 今年もやはり1番人気はその伏竜ステークスの勝ち馬であるクロスクリーガーで1.6倍と圧倒的。2番人気は同レースでクビ差2着に迫り、半兄にクリソライトがいる良血リアファルで2.6倍。3番人気は同3着(同着)のタンジブルで7.5倍。ここまでが単勝10倍を切る人気だが、馬連複ではクロスクリーガーとリアファルの組合せの1.8倍が示す通り2強ムード。伏竜ステークス通りの結果となるのか、あるいは逆転があるのかがレースの大きな焦点でもあった。
 強力中央勢を前に劣勢の地方勢だが、今年は地元兵庫の期待馬で7戦7勝のインディウムが話題を呼んだ。当初出走予定だった翌7日のレースが不成立となったことで急きょ参戦。底を見せていない無敗馬ということもあり、単勝は18.7倍で4番人気に推された。
 2コーナー奥ポケットからのスタートでは、3番人気タンジブルが出遅れて後方から。先行争いは、内からリアファル、さらに地元のマキシマムカイザーも手綱を押すが、クロスクリーガーの鞍上でコースを熟知する岩田康誠騎手の「今日は逃げた方が馬には楽な馬場」という読みから、スタート後の向正面でハナを奪った。
 1コーナーから2コーナーにかけては、快調に飛ばすクロスクリーガーと外でぴったりマークするリアファルの2頭が後続を大きく離し、一騎打ちの様相。しかし、向正面で徐々にクロスクリーガーが突き放しにかかると、リアファルはついていけない。4コーナーから直線ではクロスクリーガーの独走。伏竜ステークスのクビ差を逆転できると考えたファンをあざ笑うかのように、2着リアファルに9馬身の差をつけゴールに飛び込んだ。9馬身差は11年と13年の6馬身差を大きく更新するこのレース史上最大の着差となった。
 3着には後方から進出してきた中央馬ポムフィリア。4着は直線半ばまで3番手に粘り、地方馬最先着を果たした地元のコパノジョージ。5着には地元期待の無敗馬インディウムが入った。
 この勝利で賞金面では芝の日本ダービーにも出走可能となったクロスクリーガーだが、庄野靖志調教師は、「芝への挑戦はもっと脚元が固まってから」と慎重な姿勢。次走には大井のジャパンダートダービーJpnⅠへの出走を表明した。過去に兵庫チャンピオンシップJpnⅡとジャパンダートダービーJpnⅠを制したのは03年のビッグウルフのみ。レース史上最大着差で勝ったクロスクリーガーなら12年ぶりの快挙も十分、射程圏内だ。
 一方、近3年は中央勢に上位5着までを独占されてきた地方勢だが、今年は地元の2頭が4、5着。コパノジョージが無敗馬インディウムに先着したことで、6月4日の兵庫ダービーが面白くなってきた。
岩田康誠騎手
スタートで滑りやすいと言われたので、気をつけていました。スピードがあるので2、3番手とも思ったが、今日の馬場ならハナに行った方が馬には楽だと思ったので行かせました。走りやすい馬場だった。1戦ごとに力をつけているし、次も楽しみ。芝は走ってみないと分かりません。
庄野靖志調教師
レースは岩田君に任せたら大丈夫と思っていました。跳びはきれいだけど、力のある馬場も合う。ここ数年のダート馬はパワーだけでなくスピードもないと通用しない。これくらいでちょうどいい。芝という声も挙がっていますが、脚元が固まってからと思うので、次はジャパンダートダービーへ。

5着には地元期待の無敗馬
インディウムが入った。

取材・文:松浦渉
写真:桂伸也(いちかんぽ)