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2016年5月5日(祝・木) 船橋競馬場 1600m

2番手から直線抜け出し後続を完封
南関生え抜きのソルテも2着に好走

 かしわ記念JpnⅠ史上最強と言っても過言ではない超豪華メンバーが中央から集結した。人気上位から、モーニン、ノンコノユメ、コパノリッキー、サウンドトゥルー、ベストウォーリアという強力な5頭。
 地方からも、昨年のNARグランプリ年度代表馬に輝いたハッピースプリントに、重賞6連勝中の勢いあふれるソルテと、豪華な布陣となった。
 終わってみれば、一昨年の覇者コパノリッキーの貫録勝ち。「ここ3走は本来の走りができていなかったので、(勝つことができて)うれしいです」とコンビを組んだ武豊騎手も胸をなで下ろしていた。
 レースは、ソルテが抜群の手応えでハナを切っていき、最内枠だったコパノリッキーは1コーナーで2番手の外をキープした。「スタートが悪かったし、あまり揉まれるポジションにはつけたくなかったので心配していたんですが、1コーナーでうまく逃げ馬の外につけられたのは大きかったですね」と武騎手は振り返る。
 ソルテが作ったペースは、前半600メートルが37秒2、1000メートル通過が61秒9で、先頭から最後方まで縦長の展開。コパノリッキーは終始ソルテをピタリとマークする形で進めていった。3~4コーナーで並びかけると、最後の直線では食らいつくソルテをねじ伏せて先頭に立ち、そのまま3馬身差をつける完勝。勝ちタイムは1分39秒2(稍重)。
 「よどみのないペースで、終始手応えよくいい感じで走ってくれて、最終コーナーを回ったときにも手応えはあったので押し切れるなと思いました」(武騎手)。
 地方最先着の2着はソルテ。3着には3番手につけていたベストウォーリアが入った。
 コパノリッキーはフェブラリーステークスGⅠとJBCクラシックJpnⅠ連覇など、重賞タイトルは通算8勝目。「この後は南部杯に行くか、今年か来年にブリーダーズカップに挑戦することも、オーナーと協議をして決めたい」(村山明調教師)とのことで、充実期に入っているコパノリッキーはどんな強さを見せていくのだろう。
 なお、ドクター・コパこと小林祥晃オーナーは、5月5日のこの日が69歳の誕生日で、リッキーから最高のプレゼントが贈られた。
 一方で、南関東に関わる者にとっては、ソルテの好走には心が震えた。道中は自分でペースを作っていく中、終始コパノリッキーにマークされ、最後の直線に入って並ばれてからも、さらに差し返そうとする根性を見せた。勝ちにいった競馬で堂々の2着。
 南関東生え抜きの古馬がGⅠ/JpnⅠで連対を果たしたのは、総大将フリオーソ引退後では初めてのこと。そして何より内容がよかった。この路線では無類の強さを誇ってきたが、今回は3歳時以来のダートグレード挑戦で、中央勢はGⅠ/JpnⅠ勝ち馬ばかりというメンバーの中での結果だ。
 「コパノリッキーの出方次第だったんですが、自分の競馬をしようと逃げましたが、もう少し(コパノリッキーを)封じ込めていければよかったです。いいペースで行けて最後ももうひと伸びして頑張ってくれました。こういうメンバーでも通用するレベルまできています」とコンビを組んだ吉原寛人騎手も手応えをつかんだ様子。
 大井からデビューし、この南関東でコツコツと力をつけてきたソルテが、GⅠ/JpnⅠ勝ちも夢ではないところを見せてくれた。
 「よく頑張った。立派だった。えらい馬だ」と関わる人たちがソルテを褒め称えていたが、その先には次の舞台を見据えている。ソルテという名前はポルトガル語で“幸運を招く”と言う意味だが、さらに大きな幸運を運んで欲しいと切に願う。今年の最大目標はJBCスプリントJpnⅠ(川崎・1400メートル)に置いており、今から胸が高鳴る。
武豊騎手
今日は僕が乗った中で馬が一番落ち着いていて、レース前も逆に心配になるくらいおとなしかったですね。2000メートルも勝っていますが、スピードがあるので特にマイルはいいと思います。実力のある馬ですし本来の走りができて、僕もいい気持ちでアメリカ(ケンタッキーダービーにラニで出走)に行けます。
村山明調教師
ここにホッコータルマエが出ていたらベストメンバーと言われているくらいのすごく強いメンバーの中で頑張ってくれたと思います。調教はいつも通り変えずに、スタッフも『体重が同じくらいで出られれば』と言っていたので、その通り(532キロ、増減なし)に仕上げられました。まだまだやれます!

地方最先着の2着となったソルテ

取材・文:高橋華代子
写真:いちかんぽ(築田純、宮原政典)