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2016年12月7日(水) 船橋競馬場 1800m

直線先頭で後続を突き放す
トップハンデも貫禄の勝利

 62回目を迎えた伝統の一戦クイーン賞JpnⅢ。牝馬のダートグレードに合わせ、船橋競馬場では初めて女性限定の『クイーンズラウンジ』を設置。コーヒーやスイーツを無料で提供し、女性が安心して心地よい空間で競馬を楽しめる環境が整えられた。利用者からも大好評で、これから定着していくことを期待したい。
 今年のクイーン賞JpnⅢには、地方勢からも豪華メンバーが参戦。レディスプレリュードJpnⅡで2着(同着)に好走した兵庫のトーコーヴィーナスをはじめ、北海道からは道営記念覇者のタイムビヨンド、ブリーダーズゴールドカップJpnⅢで地方最先着の4着に入ったジュエルクイーン。南関東からも、ノットオーソリティやララベル、ミスミランダー、リンダリンダといった重賞ウィナーたちが集結した。
 ハンデ戦で斤量差もあり、地方勢にもチャンスが巡ってくると期待も高まったが、今年も中央勢の牙城を崩すことはできなかった。
 トップハンデ56キロを背負っていた1番人気のトロワボヌールが貫録勝ち。昨年のこのレースで2着に敗れて以来、2度目のコンビとなったクリストフ・ルメール騎手も「余裕のある勝ち方でした。強かったです!」とパートナーの強さを称え、雪辱を果たす結果となった。
 レースは、トーコーヴィーナスがハナを切ると、好位にはマイティティー、ノットオーソリティがつけ、トロワボヌールが続いた。道中の手応えも抜群だったというトロワボヌールは3~4コーナーで加速していき、先頭に立っていたノットオーソリティを抜き去ると、最後の直線では単独先頭へ。中団から脚を伸ばしてきたタイニーダンサーが詰め寄ろうとしたものの、トロワボヌールは一気に突き放し、力の違いを見せつけた。2着のタイニーダンサーに3馬身差をつけての勝利。勝ちタイムは1分53秒8(稍重)。
 「今年の前半は骨折もあって棒に振ってしまったので、復帰3戦目でこの馬の走りができてホッとしています。よくここまで立ち直ってくれて、牧場や関係者の方々に感謝しています。前走は若干おとなしかったですが、今日はパドックでもピリッとして、ジョッキーを乗せたら気合いも入ったので、こんな感じがこの馬の姿かなと思いました」(畠山吉宏調教師)
 勝ったトロワボヌールは、2年前のクイーン賞JpnⅢ、昨年のスパーキングレディーカップJpnⅢ、そして今回と3年連続で重賞勝ちを収めているのもすばらしいこと。この後はオーナーと相談してTCK女王盃JpnⅢも選択肢のひとつに入れるそうだ。
C.ルメール騎手
いいスタートを切って3番手でリラックスして、外からペースを上げていって、直線での反応もよくてすごく伸びてくれました。気持ちも強くてスタミナもあって、地方競馬でたくさん経験があるので、競馬をわかっているのがいいところです。(僕自身)船橋競馬場で初めて勝つことができてうれしかったです。
畠山吉宏調教師
騎手は以前にも乗って感触はつかんでくれているので指示は出しませんでしたが、理想的な競馬で力を発揮してくれました。昨年は惜しい2着だったのでリベンジできてよかったです。精神面と体力面もとても優れていて、年齢は重ねましたが力のある馬です。この状態を維持して次走へ向かっていきたいですね。

 なお、地方最先着は3着に入った北海道のタイムビヨンドで、後方から一番の上がりで脚を伸ばしてきた。この後は3度目となる大井への移籍。偉大なるコンサートボーイの姪っ子が、道営記念のタイトルを引っさげて、南関東でどんな走りをしていくのか楽しみだ。
地方最先着は3着に入った
北海道のタイムビヨンド

取材・文:高橋華代子
写真:国分智(いちかんぽ)、NAR