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  • 第12回
  • ユングフラウ賞

2.19 (水) 浦和 1,400m

好位から直線突き放し他馬を圧倒
 5戦全勝で南関東クラシックへ

今年も南関東クラシック戦線の足音が聞こえてくる季節になった。3歳牝馬によるユングフラウ賞は、2009年に準重賞から重賞へと格上げされ、南関東牝馬クラシック一冠目・桜花賞のトライアルレースとなっている。

桜花賞はフルゲート11頭。その中で、他地区枠(2頭以内)もあるだけに、毎年出走することも難しいレース。桜花賞の優先出走権は、準重賞・桃花賞の1着馬(カラースキーム)と、ユングフラウ賞の1~3着馬。そのユングフラウ賞は、どの馬が勝つのか、どの馬たちが桜花賞の権利を獲得するのか、例年注目が集まる。

今年も豪華な面々が集結したが、4戦4勝の負けなしで東京2歳優駿牝馬を制したレイチェルウーズが本田正重騎手を配し、持ち前のスピードと抜群のセンスの高さで他馬を圧倒、1番人気に応えた。

レースは、中央からの移籍初戦となったボンボンショコラが先頭に立つと、エンジェルパイロ(母が東京2歳優駿牝馬などを制したエンジェルツイート)が2番手。3番手以下にはレイチェルウーズや東京2歳優駿牝馬で2着に入ったテーオーブルベリーなどが続き、先頭から後方まで縦長の展開となった。

レイチェルウーズが4コーナーでボンボンショコラの外から並んで一気に交わすと、そのまま余裕たっぷりに差を広げて快勝。勝ちタイム1分28秒2(良)は、ユングフラウ賞が重賞になって以降の12回で最速タイム。

1馬身半差で2着に7番人気アクアリーブル(関東オークスJpnIIなどを制したアスカリーブル唯一の産駒)、3着に11番人気ポピュラーソング(サンタアニタトロフィーを制したブルーホークの姪)。後方から脚を伸ばしてきた人気薄が2、3着に入り、桜花賞への優先出走権をつかんだ。

「先行していく有力馬が多かったので、この中で2番手グループは取りたいと騎手とも話していたので、理想的でした。あの流れについていって、他の馬たちは潰れていますから。一番心配だったこの時期の56キロも問題ありませんでした」と、過去には2013年の東京ダービー馬インサイドザパークも手掛けた林正人調教師は胸をなでおろしていた。

レイチェルウーズはこれで5戦5勝。一戦ごとに、その強さには驚かされる。新馬戦と2戦目は持ち前のスピードで逃げ切ったが、3戦目は内で控えて砂をかぶりながらも完勝。4戦目の東京2歳優駿牝馬は強風吹き荒れる中、輸送や右回りなど初物尽くしで優勝。そして、このユングフラウ賞も初コースながら文句なしの強さ。

現状の課題は距離延長になるが、まずは桜花賞、東京プリンセス賞と進んでいく予定で、それ以降についてはその内容で決めるという。集まった報道陣からは早くも東京ダービー挑戦の質問も投げかけられていたが、それだけスケールの大きな走りにいろいろな夢を思い描きたくなる。

これでもまだ弱い部分があるだけに、調教では無理をさせずセーブ気味にやっているそうで、完成した時はどんな馬になっているのだろうか。「僕が管理してきた馬の中でも、この時期からここまで強いレースをして結果を出してくれるのは初めてです。走る馬というのはこうなんだって改めて見せつけられているような感じで、一戦ごとにびっくりしています。どのくらいの能力があるかは未知ですね」(林調教師)

  • 取材・文
  • 高橋華代子
  • 写真
  • 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

本田正重 騎手

人気に応えられてホッとしています。スタートも速い馬で初めての浦和コースも気にしていませんでした。理想的なポジションに楽につけられて、道中の折り合いなども問題なく、最後も大丈夫だろうと思いながら乗っていました。真面目な馬で展開に注文がつかないところがいいですね。桜花賞も楽しみです。

林正人 調教師

今回はうれしいというよりもホッとしています。音に敏感なところがあってテンションが高くなる時もあるので、ゲート裏までは3枚のメンコを着用していますが(レースでは1枚)、普段から精神面は堂々としているので、洗い場での佇まいを見てもとても雰囲気のある馬です。このまま無事にいって欲しいです。