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  • 第64回
  • 羽田盃

4.24 (水) 大井 1,800m

瞬発力を発揮し突き抜ける
 人気に応えて5馬身差圧勝

今年の羽田盃は4年ぶりの16頭立て。しかしながら、その単勝オッズは特徴的だった。

前日からレース当日の昼過ぎまで、ミューチャリーの単勝が1.0倍のままだったのだ。それでも発走時刻が近づくにつれて、2番人気のウィンターフェルとの差は縮まっていった。締め切り15分前はミューチャリーが2.4倍で、ウィンターフェルが3.2倍だったが、最終的には2頭とも2.6倍で並んだ(票数の差で、1番人気はミューチャリー)。続く3番人気は4.3倍のステッペンウルフで、4番人気は16.5倍のホワイトヘッド。上位3頭に人気が偏る羽田盃となった。

小粒の雨が降る時間帯もあったが、馬場状態は良。各馬のスタートはほとんど横一線で、最内枠を引いたトーセンボルガが先手を取った。続いて内枠の各馬が追いかける流れは、やや速めといえるもの。16頭の隊列は縦に長くなった。

ウィンターフェルは先行集団の直後で、内ラチから少し離れた外めを追走。ステッペンウルフはウィンターフェルの直後につけ、ミューチャリーは中団よりもやや後ろという位置取り。最後の直線入口ではウィンターフェルが前を行く3頭の直後につけて、あとは交わすだけという態勢になった。

そしてウィンターフェルは残り200メートルあたりで先頭に。しかしその瞬間、加速がついたミューチャリーが一気に交わし去って行った。

ミューチャリーは4コーナーの手前では8番手あたりで、先頭までは10馬身ほどの差。それがインコースを回ったにしても、みるみるうちに位置取りを上げた走りは見事としか言いようがない。その姿にスタンドからは歓声が上がったが、ゴールが近づくと逆にそのボリュームが下がるという、圧巻の5馬身差だった。

ウィンターフェルは、ミューチャリーのラスト3ハロン36秒9という決め手に屈したかたちで2着。「今日は相手が強かったです」と森泰斗騎手。それでもチークピーシーズを外して臨んだ手応えは感じられたようで「ダービーでは逆転したいですね」と結んだ。

3着にはステッペンウルフが入線。「今日のような速い流れより、スローペースのほうが走りやすいと思います」(矢野貴之騎手)とのことで、「距離が延びても大丈夫です」と次を見据えた。

上位人気3頭の走りが際立つなか、健闘したのは5着に入った13番人気のヤマショウブラック。「5着まで東京ダービーの優先出走権があるので、そこを目指しました」と、手綱を取った高松亮騎手は笑顔。クラシックトライアルを制し、東京ダービーの優先出走権を持っているアエノエンペラーも、今回は7着でも吉原寛人騎手は次に気持ちを向けていた。東京ダービーは波乱の歴史が刻まれているレース。上位との着差は大きくても、そこへの出走権があるのは大きい。

一方、勝ったミューチャリーには、ハッピースプリント以来、5年ぶりの二冠達成がかかっている。矢野義幸調教師は4年前と昨年の羽田盃を制したが、東京ダービーではその2年とも7着だった。

「こんどこそですね」と、静かに話した矢野調教師。ミューチャリーにとって、東京ダービーとの間隔が昨年より2週間長いのはプラス材料といえるだろう。

  • 取材・文
  • 浅野靖典
  • 写真
  • 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

御神本訓史 騎手

厩舎の方がしっかりと仕上げてくれましたし、馬もそれに応えてくれました。最後の直線に向けば末脚を使えると思っていたので、あとはタイミングだけと考えていました。先頭に立ってからビジョンを見ましたが、後ろから来る馬はいないだろうなと思いましたね。でも最後まで気を抜かせずに走らせました。

矢野義幸 調教師

強かったですね。最後の直線では伸びてくれると思っていました。体がそれほど大きくないので、間隔をあけたのもよかったと思います。食いが細いわけではないのですが元気いっぱいで、今日も厩舎に入るときに2人引きでも人間が持って行かれたくらい(笑)。これからダービーに向けて精一杯やっていきます。