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  • 第65回
  • 平和賞

10.30 (水) 船橋 1,600m

4コーナー先頭から直線独走
 川崎・高月厩舎が2歳重賞連勝

2歳馬による地方全国交流の平和賞。昨年はフリオーソ産駒のヒカリオーソが制し、のちに東京ダービー馬の称号を手にしたのは記憶に新しいところ。

今年も期待を背負う面々が参戦した。1番人気はイノセントカップ2着馬モリノブレイクが4.0倍で、2番人気は平和賞トライアル(トーシンブリザード・メモリアル)を優勝しているマンガンが4.1倍という僅差。さらには、栄冠賞の覇者バブルガムダンサー、ヴァケーション、ピアノマンまで単勝10倍以下に5頭。

そんな混戦ムードを断ち切ったのは、吉原寛人騎手が初騎乗となった4番人気ヴァケーション。前走ゴールドジュニアーでは3着だったが、デビュー戦と2戦目の勝ちっぷりが圧巻。母のテンノベニバラは現役時、北海道、船橋、岩手に所属して走り、地方競馬にゆかり深い血統だ。

ゲートが開くと、エメリミットが大外から一気に上がっていったが、内からサンオブロジータが譲らず先頭へ。3番手の内にモリノブレイクがつけ、ヴァケーションは外の4番手。向正面では先頭から後方まで縦長の展開。3コーナーを過ぎてモリノブレイクが内から上がっていくと、すかさずヴァケーションも進出し、4コーナー手前では一気に先頭へ。

「道中の手応えも抜群で、砂をかぶせて試すくらいの余裕もありました。3コーナーから吉村君(モリノブレイク)が仕掛けた時に自分の馬も反応してくれて、僕がゴーサインを出す前に動いてくれて、そのくらい手応えがよかったです。操縦性にも優れています」(吉原騎手)

ヴァケーションは後続を引き離していき、中団から脚を伸ばして2着に入ったマンガンに2馬身半差をつけての勝利。勝ちタイムは1分42秒8(不良)。3着にも末脚を生かしたチョウライリンが入った。

「今後が楽しみになる内容でした。体は小さくて迫力はないですが、その分、エンジンがすごくいいんだろうなと思います。これからどんどん重賞を勝っていくんじゃないかなと思えるくらいポテンシャルは高く感じます」(吉原騎手)

ヴァケーションが過ごす川崎の小向トレーニングセンターに隣接している練習コースは、台風19号の影響で冠水被害に遭い、現在も整備が行われており、川崎競馬場へ輸送しての調教が続いている。そんな中、先週は鎌倉記念を高月賢一厩舎のインペリシャブルが制し、平和賞ではヴァケーションとマンガンの川崎勢がワンツーフィニッシュ。関係者を勇気づける結果になっただろう。

今後については未定だそうだが、「ヴァケーションとインペリシャブルのどちらかは全日本2歳優駿に川崎代表として出したいと思っています。これから2枚看板で川崎競馬を盛り上げていきたいですね」と高月調教師は力強くインタビューを締めくくった。

  • 取材・文
  • 高橋華代子
  • 写真
  • 国分智(いちかんぽ)

Comment

吉原寛人 騎手

初コースでもキョロキョロせずに走ってくれましたね。短距離の方がいいのかなというイメージでしたが、乗った感じでは、息も入るし、道中の抜け方も上手だし、距離は延びた方がよさそうな雰囲気は持ちました。跳びが軽くてゴーサインを出してからの反応がすごくいいので、器用な脚も使えますね。

高月賢一 調教師

小向トレセンの調教馬場が台風19号の影響で使えずに、川崎競馬場へ遠征しての調教が続いているので少し不安なところはありましたが、この馬の精神力の強さに脱帽しています。いつも言っていることですが、僕は何もしていません。馬主さん、スタッフたち、乗ってくれた騎手にすごく感謝しています。