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  • 第20回
  • チャンピオンズカップ GⅠ

12.1 (日) JRA中京 ダート1,800m

6連勝でジーワン2勝目
 今後は海外遠征を視野に

昨年はJBCからチャンピオンズカップGⅠに参戦した馬が8頭いたが、今年は2頭だけ。しかしその2頭はJBCクラシックJpnⅠでハナ差の勝負をしたチュウワウィザードとオメガパフュームなのだから、役者に不足はないところだ。

さらに一昨年の覇者であるゴールドドリーム、今年のフェブラリーステークスGⅠを制したインティ、さらに今年のジャパンダートダービーJpnⅠを圧勝したクリソベリルが参戦してきたその顔ぶれは、上位拮抗といえるもの。前記5頭の単勝オッズが3倍から7倍未満の間に集中し、6番人気のウェスタールンドは20.4倍という分布になった。

そのなかで、3.5倍とやや抜けた支持を集めたのはゴールドドリーム。パドックでは落ち着いた歩きを披露して、他馬よりも先に本馬場に移動して準備を整えた。2番人気は4.4倍で3歳馬のクリソベリル。昨年までなら負担重量が56キロとなるところだが、規定では3歳11月まで古馬よりも2キロ減。11月30日の開催とセットになっているこの日は12月でも11月の扱いになるので、負担重量は55キロ。クリソベリルにとってはその点がプラス材料といえた。

しかし2着とはクビ差でも、クリソベリルはその恩恵など関係ないと思えるほどの走りで勝利。デビューからの連勝を6に伸ばした。

ゲートが開き、すぐに先手を取ったのは3番人気のインティ。クリソベリルは先頭からそれほど差がない3番手を進み、ゴールドドリームはその直後を追走。チュウワウィザードとオメガパフュームはゴールドドリームの後ろで、互いを意識するかのような位置取りでレースを進めた。

このレースの過去3年の勝ち時計はまったく同じ1分50秒1。同じ距離で行われた今年1月の東海ステークスGⅡで、それを上回るタイムで逃げ切ったインティが主導権を取ったのだから、1000メートルの通過タイムが昨年より1秒1も速い60秒8になったのは当然のなりゆき。そのインティが直線残り100メートル付近まで粘っていたが、クリソベリルはインティの外に切り替えて先頭に立つと、さらに外から同じような脚で伸びてきたゴールドドリームを抑えて先頭でゴールを駆け抜けた。

その勝ち時計は、同じ良馬場でも昨年より1秒6も速い1分48秒5。3着インティの武豊騎手は「かなりレベルの高いレースでした」と振り返った。好位から差を詰めてきたチュウワウィザードは4着、オメガパフュームは6着という結果だった。

その戦いを制したクリソベリルは、見た目にも緩さが残っている体つき。音無秀孝調教師は「このあとは放牧に出して、2週間以内に次を決めたいと思います」と話した。つまり東京大賞典GⅠは回避。さらに「フェブラリーステークスも距離が短い」とのこと。となると、残る選択肢は海外となる。「ペガサスワールドカップ(アメリカ)やサウジカップ(サウジアラビア)などがありますが、検疫の問題で海外転戦はないでしょうね」と話したのは、馬主代表の秋田博章氏。年内に示されるであろう今後の予定がどうなるのか、楽しみだ。

その一方で、そのほかの各馬の動向も気になるところ。はたして東京大賞典GⅠにはここからどれだけの馬が参戦するのだろうか。それが心配になるほどに厳しく、そして濃い内容のレースだった。

  • 取材・文
  • 浅野靖典
  • 写真
  • いちかんぽ(国分智・桂伸也)