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  • 第13回
  • 東京シンデレラマイル

12.30 (月) 大井 1,600m

ゴール前4頭横一線の大接戦
 名牝ロジータの血統がワンツー

大井競馬は年末恒例、3日間連続の重賞開催。前日の東京大賞典GⅠには4万7千人を超えるファンが集まり大盛況だった。それに比べると中日の東京シンデレラマイル当日は少し落ち着いた雰囲気だったが、雨が降ったり止んだりのあいにくの天気で厳しい寒さだったにも関わらず1万2千人以上が訪れ、場内は年末らしさが漂っていた。

2019年は、昨年の東京シンデレラマイルの勝ち馬ラーゴブルーがマリーンカップJpnⅢを制するなど、牝馬ダートグレードでの南関東勢の活躍が目立つ年でもあった。このレースは来年の牝馬戦線を占う意味でも注目の戦いといえる。一方で、来春の繁殖入りを見据え結果を残したい馬たちにとっても大切な一戦である。

1番人気は、2018年TCK女王盃JpnⅢの優勝馬ミッシングリンクで単勝3.1倍。2番人気はJRAから転入初戦のレディスプレリュードJpnⅡが5着だったサラーブで3.4倍。3番人気はシンデレラマイルトライアル2着のペタルーダで6.2倍。そのトライアルの勝ち馬サンルイビルが4番人気で6.3倍と、やや混戦模様でレースがスタートした。

激しい先行争いを制したのはポッドギルで、押して先行したミッシングリンク、ストロングハート、エイシンセラードが2番手集団。サラーブは中団、サンルイビルやペタルーダは後方でレースを進め、馬群は縦長の展開。

4コーナーでミッシングリンクが早くも先頭に立つと、直線ではそれを目がけて内から外から後続が迫り、各馬が横に並んだ追い比べ。ゴール前では、道中、中団や後方にいた追い込み勢が4頭並んだ。

その熾烈な争いを制したのはローレライで、2着は共に伸びてきたオルキスリアン、3着は大外のサンルイビル、4着は内を突いたペタルーダ。ここまでが1分42秒1の同タイムで、クビ、クビ、ハナ差の大激戦となった。

オルキスリアンの今野忠成騎手は、レースから戻ってくると開口一番「差し切ったと思ったんだけど!」と悔しそうな表情。サンルイビルの藤本現暉騎手は「外から行くならベストな展開でしたが、さすがに重賞の流れだったので最後は一杯になってしまいました」と振り返った。また、1番人気で8着に敗れたミッシングリンクの笹川翼騎手は「直線でソラを使った。自分が騎乗した中では初めてのことです」とコメントを残した。

そして、この激しい女の戦いを制した5歳馬ローレライは、これが嬉しい重賞初制覇。7月のスパーキングレディーカップJpnⅢで3着(11番人気)に好走した姿は記憶に新しいところだが、大井生え抜きで、ここまで堅実な走りを続けてきた馬だ。戦前はこのレースを最後に繁殖入りする予定だった。しかしこの結果をふまえ、来年のTCK女王盃JpnⅢに出走する可能性も出てきたそうだ。

堀千亜樹調教師は「ゲートの難しさなど、正直手のかかる仔でしたが、よくここまで成長してくれました。勝負根性がすごい馬なんです。引退前に良い形で勝たせてあげられました」と優しい笑顔で語った。来年、新しい道が決まっているローレライにとって、今回の勝利は大きな勲章になった。

なお、優勝したローレライはロジータのひ孫、2着のオルキスリアンはロジータの孫にあたる。今年の東京シンデレラマイルは、南関東が誇る名牝の血を引く馬同士のワンツーフィニッシュだったという、印象深い結果にもなった。

  • 取材・文
  • 秋田奈津子
  • 写真
  • 岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

本田正重 騎手

ペースが遅くなるのだけは嫌だったので流れてくれて良かったです。この馬のペースで自分の競馬をしました。最後はどの馬が来たのか乗っていても分からなかったです。無我夢中でした。最近は惜しいレースばかりでしたし、引退前に勝たせてあげられて嬉しいです。

堀千亜樹 調教師

状態はとても充実していたのであとは流れが向いてくれればと思っていたんですが理想の展開でしたね。ペース的にもこれならうまくいくかなと見ていました。本田騎手も、1~2コーナーで一息入れる形で進めてくれて、それが終いの脚に繋がりました。惜しいレースが続いていたので本当に嬉しいです。