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佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!

2019年10月4日(金)

第103回 クラスターカップ~日本テレビ盃

クラスターカップ JpnⅢ

勝ったヤマニンアンプリメは前半は仕掛けていかず、3コーナーでは中団の8番手あたり。3~4コーナーで徐々に前との差を詰めて、4コーナーを回るところでもまだ楽な手応え。前で競り合った2頭を見ながら絶好の展開になりました。直線でとらえるときもまだ余裕があって、強いレースをしました。

ヒロシゲゴールドはあまりいいスタートではありませんでしたが、じわじわと先頭に立っていいペースで逃げました。直線でコパノキッキングを振り切りましたが、これで負けたのでは仕方ありません。勝ち馬をほめるべきでしょう。

東京スプリントでは出遅れていたコパノキッキングですが、今回は好スタートを切って楽に2番手につけました。先行したぶん終いが甘くなって3着に負けてしまいましたが、このスピードで先行できるのであれば、次はもっとよくなるかもしれません。

テレ玉杯オーバルスプリント JpnⅢ

ノブワイルドはダッシュ力が抜群です。浦和1400メートルでは、普通なら先行争いになる1コーナーまでに競りかけてくる馬もいませんでした。向正面から後続との差を徐々に差を広げていって、4コーナーまで手応えが楽でした。直線の短い浦和でこういうレースをされては、うしろから届く馬はいません。とにかくノブワイルドはスタートダッシュのよさで圧倒しました。こういう馬は乗り役としてはほんとうに楽です。左海誠二騎手も、こういうタイプの逃げ馬には合っています。JBCが同じ浦和の1400メートルだけに期待できそうです。

ワイドファラオはすんなりと3番手の好位につけました。直線ではじわじわと差を詰めていますが、届くような感じではありませんでした。

ヤマニンアンプリメは2コーナーを8番手で回りました。岩田騎手は向正面に入って早めに位置取りを上げていきましたが、とにかくノブワイルドがいいペースで逃げていたので、まくりきれませんでした。差してくる馬には厳しい展開でした。

日本テレビ盃 JpnⅡ

人気のクリソベリルは、前を見ながら4番手の外めにつけました。向正面から鞍上の手が少しずつ動いていますが、抑えていくより少しずつ動かしていって長く脚を使う、徐々にギアを上げていって、前の馬に並びかけて突き放すというタイプです。瞬発力勝負には向かないので、おそらく芝はよくないと思います。また大型馬なので、小回りコースも難しいと思います。追って追って伸びるタイプなので、大井のように長い直線で能力を発揮します。距離的にも2000メートルくらいが一番強いレースをするのではないでしょうか。

逃げたロンドンタウンの岩田騎手は1コーナーを回るときにかなり外を回っていました。スタートして仕掛けていったわけではなく、先頭に立ってペースを落とせるだけ落としてという感じでしたから、これで負けたのでは仕方がありません。この馬の力は発揮したと思います。

ノンコノユメは地方に移籍して走りがよくなりました。中央時代はゲート難がありましたが、地方ではそれほどうるさい様子もなく、スタートも五分に出ています。地方ではゲート内で『尾持ち』(ゲートイン後、厩務員などがゲートのうしろで馬の尾を持っていること)ができるのも、この馬にいいと思います。

佐々木竹見(ささきたけみ)

元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。