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未来優駿2019

毎年秋に行われる各地の2歳主要競走(計7レース)を短期集中施行するシリーズ(2008年創設)。2019年は10月6日から、10月24日まで、未来を期待される優駿たちの戦いが繰り広げられます。

3歳馬によるダービーシリーズ同様、各地の主要競走が短期間で楽しめる贅沢感や、先々への期待感を醸成できることが、このシリーズ最大の魅力。また、10月末以降のダートグレード競走(10/31・門別競馬場・北海道2歳優駿、11/27・園田競馬場・兵庫ジュニアグランプリ、 12/18・川崎競馬場・全日本2歳優駿)への期待感を高めることも期待されます。

また、当ページでは、6月末から各地で行われる2歳重賞をピックアップしてリポート。2歳馬たちの戦いにどうぞご期待ください。

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レース名 実施日 競馬場 距離
九州ジュニアチャンピオン 2019年10月6日(日) 佐賀 1,400m
若駒賞 2019年10月13日(日) 盛岡 1,600m
兼六園ジュニアカップ 2019年10月15日(火) 金沢 1,500m
ゴールドウィング賞 2019年10月17日(木) 名古屋 1,600m
兵庫若駒賞 2019年10月17日(木) 園田 1,400m
鎌倉記念 2019年10月22日(祝火) 川崎 1,500m
サッポロクラシックカップ 2019年10月24日(木) 門別 1,200m
  • 第58回
  • ゴールドウィング賞

10.17 (木) 名古屋 1,600m

直線は2頭のマッチレース
 ハナ差で無敗の王者が誕生

ゴールドウィング賞は2年連続で無敗での優勝馬が誕生している。今年は2戦2勝のインザフューチャーがその継続に挑むことになった。

だが、心配なのはそのキャリア。一昨年の優勝馬サムライドライブは3戦、昨年のエムエスクイーンは5戦していた。さらに発表された馬体重は前走との比較でプラス10キロ。実際の馬体も、もともとが丸みを帯びた体型とはいえ、腹回りに余裕がある印象を受けた。

それでも今回の出走馬のなかで、JRA認定競走を制しているのはインザフューチャーだけ。当然、地元専門紙には本命の印が並び、単勝人気は1.4倍にまで上昇した。

しかし結果はハナ差での辛勝。しかも判定写真を見ると、1センチもしくは2センチあるかどうかという僅差だった。

ゲートが開くとインザフューチャーは少し後手を踏んだがすぐに加速がついて、コーナーワークも利して先頭に。好スタートを切ったビックバレリーナは2番手におさまった。3.9倍の2番人気だったエムエスオープンは、メタリフェルと並んで3番手。1コーナーに入ったあたりから全体の馬群は長く伸びていった。

向正面でもインザフューチャーは余裕ある手応えで単騎先頭。対照的にビックバレリーナは3コーナー手前で鞍上の手が動き始めた。その後ろからエムエスオープンとフクダイトウリョウが上昇していったが、最後の直線ではインザフューチャーとエムエスオープンの伸び脚が際立つかたちになった。

その2頭の差は、直線の入口あたりでおよそ1馬身。それが少しずつ縮まって、残り100メートルからはマッチレースになった。そしてゴールの通過は同時。その瞬間は、インザフューチャーの頭が上がり、エムエスオープンの頭は下がっているという態勢だった。

戻ってきたエムエスオープンに検量室の前で曳き手をつけた担当厩務員は帰り道に向かおうとしたが「まだわからないぞ」と、別の厩務員から声がかかるほど。しかし、しばらくして発表された結果はインザフューチャーが1着で、エムエスオープンは2着。3着にはフクダイトウリョウが入ったが、その差は8馬身もあった。

検量室から発せられた「1着2番」の声を聞いて、インザフューチャーの手綱を取った戸部尚実騎手は「よく差し返してくれました」と話して、ホッとした表情。惜敗となったエムエスオープンの今井貴大騎手は「馬の状態があまり良くなくて、レース前は着外になるかもと思っていたくらい。それでこれだけ走れたのですから、これから先が楽しみですよ。惜しかったですけど……」と振り返った。

無敗でのゴールドウィング賞馬となったインザフューチャー。この日の専門紙には『ここでしっかり結果を出して、兵庫ジュニアグランプリに向かいたい』という川西毅調教師のコメントが掲載されていた。レース後、そのことに水を向けられると「今日の結果と(このレースの直前に行われた兵庫若駒賞の)エキサイターの勝ちかたを見るとちょっとね……」と言葉を濁した。それでも「勝ててよかったです。今はうれしいというよりも、腰が抜けたような感覚ですよ」と笑った。

  • 取材・文
  • 浅野靖典
  • 写真
  • 岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

戸部尚実 騎手

内枠でしたし、前に行こうと考えていました。でも道中は馬の気持ちが乗っていない感じで、大丈夫かと心配になりましたね。最後の直線では並ばれて、一度は向こうが前に出たんですが、ゴール前では勝負根性を見せてくれました。次は今回以上にしっかりと仕上げて臨みたいと思います。

川西毅 調教師

台風の影響で追い切りの日を早めたのが影響したのか、正直ちょっと重いかなという気はしていました。でもこれで勝てないくらいなら、という気持ちもありました。でも最後はヒヤッとしましたね。追い切りを併せ馬にしたのは正解だったと思いますし、実際に攻め馬でも並ばれると強いという面があります。