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LVRレディスヴィクトリーラウンド2020

各ラウンドにおいて2競走実施し、女性騎手のみをポイントの対象として、ラウンド表彰(優勝者のみ)を行うとともに、3ラウンド総合優勝者を最終戦名古屋ラウンドにおいて表彰いたします。

前回LVRレディスヴィクトリーラウンドでご好評いただきましたばんえいエキシビションレースを、今回も高知ラウンドに先がけばんえい帯広競馬場において実施します。ばんえいエキシビションレースには、竹ケ原茉耶騎手(ばんえい所属)も参加いたします。

競走実施日にお客様向けに各種イベントを実施いたします。

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レース名 実施日 競馬場
1st Round 高知 2.4(火) 金沢
2nd Round 佐賀 2.22(土) 佐賀
3rd Round 名古屋 3.12(木) 名古屋
  • 3rd ROUND 名古屋

3.12 (木) 名古屋

岩永騎手がトップを守り総合優勝
 シリーズ2勝のミシェル騎手は3位

第1戦

第2戦

リポート動画

7名の女性騎手が競演するレディスヴィクトリーラウンド(LVR)2020は第3ラウンド・名古屋が千秋楽。涙と感謝に溢れた結末となった。

名古屋大賞典JpnⅢが行われたこの日は朝から女性騎手が存在感を放った。第1レースでは「LVR佐賀(の日)以来のレースです」という関本玲花騎手(岩手)、第2レースは地元の宮下瞳騎手(愛知)が勝利。さらに第6レースでは粘る宮下騎手との叩き合いを制して木之前葵騎手(愛知)が勝ち、「今日は調子が良くて、ゾーンに入っている気がします」と笑った。

残念ながら新型コロナウイルス感染拡大防止のため無観客での実施となり、濱尚美騎手(高知)は「寂しいですし、お客さんがいるから私たちが競馬をできると感じています。今日は家族もテレビにしがみついて応援してくれていると思います」とファンへの感謝を伝えた。

高知ラウンドと佐賀ラウンドを終えてのトップは岩永千明騎手(佐賀)で60ポイント。「1位なのはもちろん意識しています。(宮下)瞳さんの地元ですが、私も何回か乗りに来たことがあるので頑張ります」と7ポイント差で2位の宮下騎手が気になる様子。名古屋ラウンド第2戦(最終第6戦)では女子限定ポイントも加算されるため、トップと31ポイント差の最下位・関本騎手を含め全騎手に優勝の可能性が残されていた。

第1戦は1400メートル。最内枠から好スタートを切った中島良美騎手(浦和)が逃げ、その外に1番人気の木之前騎手がつけ、7頭が先団を形成した。そこから少し離れた位置にいたミカエル・ミシェル騎手(川崎)が向正面でメモリーディディを外に導き、手が動き始めた。直線を向くと、先頭に立っていた木之前騎手を目がけて岩永騎手が外から脚を伸ばし、さらに大外からミシェル騎手が強襲すると、クビだけ差して勝利を収めた。「ズブい馬だから頑張ってしっかり追ってきて、と伝えたのですが、上手いですね。姿勢もきれい」と塚田隆男調教師。この日が名古屋初騎乗ながら、高知ラウンドに続き勝利を挙げた。

3、4着は地元の男性騎手で、5着に宮下騎手。「1コーナーで掛かってしまって」と悔しさをにじませる一方、引き揚げてきた時には「おめでとうございます!」とミシェル騎手を称えた。

最終戦も1400メートルで行われ、逃げたのは地元の加藤聡一騎手。そこにスタートの一歩目では立ち遅れぎみだったミシェル騎手が気合いをつけて並びかけ、外から濱騎手も来て横一線で1コーナーに入った。中団のインに構えた中島騎手が4コーナーで外を回り差してきたが2着までで、加藤騎手がクビ差凌いで勝利。4着はこちらも道中はインにいた岩永騎手、5着に濱騎手が入り、この3名の女性騎手にはエクストラポイントが与えられた。

これらの結果、総合優勝は102ポイント獲得の岩永騎手に決定。それを知らされると目には涙が溢れた。「年齢を重ねて涙もろくなっちゃいました」と恥ずかしそうに話したが、彼女にとってLVRは「特別なレース」だった。4年前にレース中の落馬で大怪我を負い、背中にはボルトが入っていた。その除去手術をするか迷っていた頃、LVR2018佐賀ラウンドで女性騎手たちの姿を見て復帰の思いをさらに強くした。「私の中で『復帰イコール、レディースに出たい』でした。LVR出場が目標で復帰したんです」と、LVRの存在を支えに苦難を乗り越えての出場だった。表彰式で賞状を受け取ると再び感極まり、3位のミシェル騎手が肩を抱いた。

言葉の壁がありながらもミシェル騎手は日本人騎手たちと親交を深め、宮下騎手は何回も「ミシェルが参戦してくれたおかげで例年以上に盛り上がりました」と感謝の言葉を口にした。

また、若手騎手たちも奮闘。2位の中島騎手は落馬負傷のため高知ラウンドを欠場し、他の騎手より2レース少ない中での戦いながら、2着3回と安定した成績を残した。同じく2019年デビューの関本騎手や濱騎手は残念ながら表彰台には上れなかったものの、「デビュー前から憧れていたLVRに出場した経験を生かしてまた頑張ります」と話した。そして木之前騎手は「私自身は厳しい戦いでしたが、後輩たちがどう成長するか楽しみですし、来月には2人、女性騎手が増えます。次は女性騎手だけでレースができるんじゃないですか!?すごく楽しみです!」と目を輝かせた。

4回目を迎えたLVRは出場騎手の数も盛り上がりも一気に増した。そして、女性騎手にとって大きなモチベーションにもなっていることが改めて認識でき、大きな意味をもった開催だった。


  • 地方競馬全国協会理事長賞の
    副賞として畜産品が贈呈された
  • 取材・文
  • 大恵陽子
  • 写真
  • 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

総合優勝 名古屋ラウンド1位 岩永千明騎手(佐賀)

応援ありがとうございました。前回の佐賀で声援が聞こえて、「ここで頑張んなきゃいけない!」と、その後の普段のレースでもいい流れに乗ることができました。名古屋1戦目は悔いが残りましたが、優勝できて嬉しくて涙ばかりが出ます。LVRは私たちにとって刺激になるので、ずっと続いてほしいです。

総合2位 中島良美騎手(浦和)

2戦目は向正面で少し引っ掛かったり、狭い所に入ってしまいました。順位よりも、きちんと乗ることができず悔しいです。佐賀も名古屋もいい馬に乗せていただき、馬と関係者に感謝しています。初めて女性騎手とのレースは新鮮でした。次は上手く乗って優勝できるように頑張りたいです。

総合3位 M. ミシェル騎手(川崎)

ここにいるみなさんと一緒にLVRに参戦できて楽しかったですし、いい経験ができました。1戦目で勝てて嬉しいですが、いまは前しか見ていなくて、次もがんばりたいです。みなさん素晴らしい騎手たちで、来年はもっとたくさんの女性騎手とお会いできることを楽しみにしています。