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  • 第70回
  • 川崎記念 JpnⅠ

1.27 (水) 川崎 2100m

先手主張から逃げ切る
 10年ぶり地方馬が勝利

70回目を迎えた川崎記念JpnⅠを制したのは、船橋所属のカジノフォンテン。地方所属馬では、同じ船橋のフリオーソ以来、10年ぶりの勝利となった。

この日は第1レースから不良馬場。それでも気温は10度程度とこの時期にしては高く、雨はときおり降る程度だったことで、第9レースから重馬場発表に変わった。ただ、砂の色は黒に近い灰色で、川崎記念JpnⅠまでに行われた10レースのうち7つが逃げ切りで決まる状況は、良馬場の東京大賞典GⅠで先行して2着に粘ったカジノフォンテンにとっては歓迎材料といえた。

それでもやはり、人気の中心はオメガパフューム。東京大賞典GⅠを3連覇した実績は断然なのだが、左回りでは5戦して未勝利だった。ただ、オメガパフュームは2019年に浦和で開催されたJBCクラシックJpnⅠでハナ差2着という結果も残している。それでも単勝が1.9倍にとどまったのは、そのあたりが考慮されたからかもしれない。

続く2番人気は4.7倍でロードブレス。ダノンファラオが5.0倍で続き、カジノフォンテンは6.4倍。シャッター音と塀の外の自動車の音だけが響くパドックで各馬は静かに周回を続け、騎乗合図とともにオメガパフュームは先に馬場へと移動していった。

観客不在のスタンドに生演奏のファンファーレが響き渡ってスタートが切られると、すぐにカジノフォンテンが最内枠から先手を取った。ダノンファラオが2番手につけ、タービランスとロードブレス、ハナズレジェンドが続いた。オメガパフュームはデルマルーヴルを前に見る形で7番手を進んだが、ホームストレッチで位置取りを上げていった。

馬場を1周して向正面に戻ったところで、ダノンファラオが先頭との差を詰めにかかった。しかしカジノフォンテン鞍上の張田昂騎手はペースを上げて、並ばせないように導いた。すると逆に3コーナーあたりからダノンファラオとの差は開き、それに呼応してタービランスとオメガパフュームが追い上げてきた。

しかしこの日の馬場はカジノフォンテンに味方し、勝負どころでセーフティリードをつけると、オメガパフュームに3馬身差をつけて逃げ切り勝ち。3/4馬身差でダノンファラオ、半馬身差でタービランスという2着争いは白熱した。

記念写真の撮影が終わったところで、張田昂騎手は父の張田京調教師を発見。すぐさま抱擁を交わし、そして表彰式へと向かっていった。

その後ろ姿を見送った張田調教師は「あいつはすぐ抱きつくんだから」と苦笑い。それでも「(管理馬が出走した)第9レースで帰ろうとしたら、みんなに応援しろって言われたんだよね。残っていてよかったよ」とうれしそうにしていた。

張田調教師は騎手時代の2000年に、インテリパワーでこのレースを制した。カジノフォンテンの母ジーナフォンテンは、03年の川崎記念GⅠで3着に入り、続くエンプレス杯GⅡを勝った。そして管理する山下貴之調教師は、地方全国交流時代も含めて川崎記念を3度制した故・川島正行調教師の門下生。

カジノフォンテンの勝利には、数々のつながりが垣間見えた。

  • 取材・文
  • 浅野靖典
  • 写真
  • 築田純(いちかんぽ)

Comment

張田昂 騎手

馬のペースを崩さないように、馬の力を信じて乗りました。道中の手応えもリズムもよかったと思います。ただ、最後の直線では(自分自身に)それほど余裕がなくて、着差はありましたが一杯一杯という感じでした。でも馬はすごく成長していますから、これからも大きいところを目指していけたらと思います。

山下貴之 調教師

厩務員も張田騎手も絶好調だと言っていて、自信を持って送り出しましたが、ゲートはうまく出てほしいと思っていました。道中はいい手応えがあるようでしたが、最後まで油断しないでと思って見ていました。今のところ、次はかしわ記念が目標ですが、その前になにか入れるのか、それはこれから考えます。