コロナ禍の中で、地方競馬では南関東と東海地区が無観客開催を実施中だが、佐賀競馬場では有観客開催を維持。この時期にしては暖く、多くのファンが来場し、場内は賑わいを見せていたが、観客が一カ所に集まるのを防ぐために、場内イベントや表彰式は実施見送りとなった。一方で佐賀競馬の1レース売上と1日売り上げのレコードは、昨年の佐賀記念JpnⅢとその当日のものだったが、今年は1レース、1日ともに前年比30%以上増と大きく更新。売上面では大成功を収めることとなった。
JRAからの出走馬5頭の中で、重賞勝ち馬は2頭。そのうち、昨年のみやこステークスGⅢを制したクリンチャーが単勝1.7倍と抜けた1番人気に推され、昨年の佐賀記念JpnⅢ・2着のあと、名古屋大賞典JpnⅢを勝ったロードゴラッソが2番人気となった。
スタート直後にアシャカトブが先頭に立とうかというところに、内からクリンチャーが押し上げてきてハナを奪取。連れて上がっていったメイプルブラザーが2番手に付け、アシャカトブとウインユニファイドが3、4番手で先行馬群を形成。そこから少し遅れてロードゴラッソが追走し、ハナズレジェンドは中団の位置取り。その後ろは地方勢が前との差を広げられていき縦長の展開となった。
向正面でロードゴラッソとハナズレジェンドが前との差を詰めて先行馬群に加わるが、依然クリンチャーの逃げは快調。直線に入ると後続との差は開く一方となり、2着に9馬身を付けコースレコードでの圧勝となった。2着争いは最後に3頭が並び、2着アシャカトブと3着ハナズレジェンドがクビ差で、さらにアタマ差で4着ロードゴラッソという大接戦。そこからはまた差が開き、5着はウインユニファイドでJRA勢が掲示板内を独占となった。
地方最先着は先行馬群に加わっていたメイプルブラザー(兵庫)が確保したが、5着とは6馬身差を付けられていた。4頭出走の佐賀勢は最先着のグレイトパールが7着と、厳しい結果に終わった。
クリンチャーはデビュー以来芝の中長距離を使われ、2018年に京都記念GⅡを勝利。天皇賞(春)GⅠを3着のあと、フランスへ遠征し凱旋門賞GⅠへ挑戦と活躍していたが、昨年の初戦からダートへ出走。2、3着を重ねるものの勝ちきれずにいたが、ダート初勝利は7戦目となるみやこステークスGⅢと、重賞でのものだった。
今回は地方初出走で、初勝利を挙げたデビュー2戦目以来となる逃げを打った。鞍上は今回を含め佐賀のダートグレード6勝(佐賀記念、サマーチャンピオンともに3勝ずつ)の川田将雅騎手だけに、コース特性と馬の能力を見極めてのものだったのだろう。完璧なレース運びでの圧勝劇で、クリンチャーの今後のダートグレード路線での活躍に大きな期待を持たせるものとなった。
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川田将雅 騎手
ゲートの出じたいはそれほどよくありませんでしたが、内枠ということもあり、前めの位置を取りに行きたいとは思っていました。凱旋門賞まで遠征したような馬が佐賀競馬場でお客様の前で走る姿を見せられたというのは、佐賀競馬出身の僕としては、とても貴重な時間だったなと思います。