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  • 第13回
  • ユングフラウ賞

2.23 (祝・火) 浦和 1400m

断然人気馬をアタマ差とらえる
 桜花賞へ向け期待の広がる勝利

今年も南関東競馬のクラシック戦線を占うレースが始まっている。浦和競馬場では南関東牝馬一冠目・桜花賞のトライアルレース、3歳牝馬重賞のユングフラウ賞が行われた。

昨年の2歳女王ケラススヴィアが、明け3歳になって最初のレース。デビューから4戦4勝(うち重賞2勝)と負けなし。今回は放牧休養明けで、さらには他馬よりも1~2キロ重い56キロという負担重量を背負ったが、これまでの勝ちっぷりからも1.3倍という断然の1番人気に推されていた。

しかし、競馬に絶対はなかった。ケラススヴィアを抑えて優勝したのは、和田譲治騎手が初騎乗した8番人気ウワサノシブコ(浦和・岡田一男厩舎)。

ホッカイドウ競馬で2勝を挙げると、昨年末から南関東へ移籍。最初は初めての左回りに戸惑っていたそうだが、2戦目からは上々の走りを見せ、前走の3歳牝馬オープン戦を完勝。

「持ち時計もなかったし、そこまでの自信はありませんでしたが、思っていた以上の強さでビックリしました」と、29年ぶりのうれしい重賞勝利となった岡田調教師は目を丸くした。

先行馬が多く出走していただけにどの馬が逃げるのかも注目ポイントだったが、2番枠からケラススヴィアが逃げる展開。すかさず先行馬たちも続いていき、積極的な競馬を心がけたというウワサノシブコは外の4番手。

勝負所からケラススヴィアにウワサノシブコらが並びかけると、最後の直線では、懸命に粘るケラススヴィアにウワサノシブコは何度か離されかけたがすぐに食らいつき、ゴール前でしっかり抜き去った。「まだ遊んでいますよ」と、引き返してきた和田騎手。勝ちタイムは1400メートル・1分29秒5(良)。

アタマ差2着はケラススヴィア、クビ差の3着には内から脚を伸ばしてきたグロリオーソ。この3頭が桜花賞への優先出走権を手にした。

「こんなに渋いとは思いませんでした(笑)。先行もするし、末脚もしっかりしているので、これから楽しみな馬だと思います。人間は欲が出るもので、また一生懸命仕上げて、今度は桜花賞を勝ちたいです」(岡田調教師)

大井のスモモモモモモモモがユニークな名前から全国的にも話題となっているが、このウワサノシブコという名前も印象的だ。岡田調教師によると、上野耕一オーナーから聞いた話では、人気ゴルファー渋野日向子選手のニックネーム『シブコ』が由来になっているそうだ。競馬界の『シブコ』が、クラシック戦線ではどんな活躍を見せてくれるだろう。

一方、惜しくも2着に敗れたケラススヴィアの森泰斗騎手は、「今開催は逃げ切りがあまり決まらない馬場で逃げたのも裏目だったと思うし、それでも押し切れるはずだったのですが。大きな馬ではないので56キロもちょっときつかったのか?久々の分もあったのか?いつもより行きっぷりもよく、体は13キロ増えていても重い感じはなかったですが。ちょっとわからないですね」

無敗の2歳女王が初めて敗れた日。しかし、いろいろなハンデがありながらも、崩れずに果敢に走り抜いたところは称えたい。本番での巻き返しを期待している。

  • 取材・文
  • 高橋華代子
  • 写真
  • 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

和田譲治 騎手

まわりは速い馬が多かったですが、僕の馬もスタートが良く先行しようと押していきました。前の集団の後ろにつけて、向正面で外4番手を取れたので、あとは早めに上がっていこうと。1頭強い馬はいましたが、何とか差してくれと思いながら追いました。クラシックでも頑張ってくれると思います。

岡田一男 調教師

一番実績のある森君の馬が先に行っていましたが、3~4コーナーで競った時には、あれ?と思って見ていたら、ゴール前に交わしてくれました。まだ顔つきは子供っぽいところがあるし、大人になったらもっとやれると思います。まだ実感がわかないですが、久しぶりの重賞はとてもうれしいです。