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  • 第67回
  • エンプレス杯 JpnⅡ

3.4 (木) 川崎 2100m

直線勝負で3つ目のタイトル
 サルサディオーネも2着に粘る

名牝キヨフジのサブタイトルがつけられているエンプレス杯JpnⅡ。今年も川崎競馬場2100メートル戦で、牝馬たちの熱戦が繰り広げられた。

前走のTCK女王盃JpnⅢで重賞2勝目を挙げたばかりのマルシュロレーヌが2.3倍の1番人気に推されると、レーヌブランシュ、マドラスチェック、プリンシアコメータと、ダートグレード常連馬たちが、10倍以下のオッズに続いた。

マルシュロレーヌがそんな人気に応えて川田将雅騎手を背に優勝。3つ目のタイトルを獲得し、この路線では一歩抜け出た存在だ。

予想通りサルサディオーネが逃げる展開で、マルシュロレーヌは後方2番手から、1周目のスタンド前では中団へ。「ゲートの中で他の馬が暴れた際にこの馬もちょっと反応して、ゲートに座り込むような形でいいスタートを切ることができなかったので、その中でもどうしていこうかを考えて乗っていました」(川田騎手)

勝負所では、前めにつけていたマドラスチェックがサルサディオーネに馬体を併せていくも、最後の直線でサルサディオーネが振り切った。しかし3番手まで押し上げていたマルシュロレーヌがメンバー最速38秒9の脚で、外から並ぶ間もなく一気に抜き去ったところがゴール。勝ちタイムは2分14秒1(良)。

「前が結構飛ばしていたので止まるだろうなと、深追いせずコーナーを大切に、4コーナーの出口からというイメージで乗りました。余力は残っていたし、きっちり捕まえていい走りをしてくれました」

2着のサルサディオーネに3/4馬身差、3着のマドラスチェックにはさらに6馬身差をつけた。

マルシュロレーヌの祖母キョウエイマーチは、1997年の桜花賞GⅠなど芝の重賞で5勝を挙げているが、フェブラリーステークスGⅠやマイルチャンピオンシップ南部杯GⅠにも挑戦し、好走していた姿も懐かしい。

マルシュロレーヌを管理する矢作芳人調教師は、「牡馬とも戦わせたい」と明言した。祖母が強い牡馬たちと果敢に戦ったように、孫娘の挑戦も楽しみだ。

なお、2着のサルサディオーネも昨年のNARグランプリ4歳以上最優秀牝馬にふさわしい、すばらしい走りを見せてくれたと思う。今年7歳になったが、南関東に来た頃よりも確実にスタート後のスピードがアップしているそうで、このエンプレス杯JpnⅡでも軽く出鞭が入るとスーッと反応して先頭に立っていく姿は貫禄すら感じさせた。

「この馬は真面目過ぎるというか、掛かっている訳ではないのですが力んで走るところがあるので、この距離になるとゴール前は甘くなってしまいますね。それでも、直線の短いコースは合っているのでこの距離も立ち回れたと思うし、勝った馬が強かったです」(矢野貴之騎手)

この後はマリーンカップJpnⅢ連覇を目指すそうだ。


  • 地方最先着は2着のサルサディオーネ(大井)
  • 取材・文
  • 高橋華代子
  • 写真
  • 築田純(いちかんぽ)

Comment

川田将雅 騎手

距離も今まで走っていた中では長くなるし、コーナーも6回だったので、そういう部分で道中は気をつけて乗ろうと思いました。タイトなコーナーでも上手に走ることができました。続けて2つの重賞を勝つことができたので(通算3つ目)、これからもこの馬らしい競馬を続けていければと思っています。

矢作芳人 調教師

距離が延びるのはいいと思っていましたが、川崎の2100メートルはコーナーが6回あるので、どうしても脚質的に後ろから行く馬なのでその点は心配していました。コーナーもスムーズに回ってくれたのは大きかった。普段はかわいい女の子ですが、強い競馬をしてくれました。牝馬で一番強いと思っています。