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  • 第24回
  • マリーンカップ JpnⅢ

4.2 (木) 船橋 1,600m

マイペースの逃げに持ち込み快勝
 人馬ともダートグレード初制覇

中央、地方他地区、地元南関東と、全国から頼もしい牝馬たちが集結したマリーンカップJpnⅢ。新年度最初のダートグレード競走は、今後のダート牝馬戦線を占う意味でも注目が集まる。

人気は拮抗、芝の紫苑ステークスGⅢ勝ちがあり、前走エンプレス杯JpnⅡ・3着だったパッシングスルーが単勝3.5倍の1番人気に支持されていたが、5頭が10倍以下にひしめき合った。

そんな混戦ムードを断ち切ったのが、地方馬では最も人気を集めていた5番人気のサルサディオーネだった。中央時代から牝馬ダートグレード戦線で好走してきたが、タイトルまではもう一歩。南関東に移籍し、2走前の報知グランプリカップで念願の重賞初制覇を果たすと、今回ダートグレードタイトルも手にすることになった。

サルサディオーネは勝ち鞍すべてが逃げ切りというスタイルで、今回も鞍上の矢野貴之騎手が出ムチを入れながら1コーナーで先頭に立った。すかさずストロングハートやチークス、ラインカリーナが続いていき、そのうしろにメモリーコウ、さらにパッシングスルー、スマートフルーレらが追走、中央から移籍初戦となったラビットランは後方から。隊列は徐々に縦長となった。

3コーナーから後続勢が必死にとらえにかかるも、それを尻目に矢野騎手とサルサディオーネはその差を広げていくと、危なげなく逃げ切った。「前回はちょっと急かしすぎて折り合いを欠いたところがあったので、今回は気分よく行かせることだけを考えました。道中もいいペースで進めることができて、3コーナーの感じではひょっとしていいかもしれないとは思いましたが、よく最後まで踏ん張ってくれました」(矢野騎手)

勝ちタイムは1分40秒1(重)。2着には2馬身差でメモリーコウ。3着にはスマートフルーレが入った。

2002年東京プリンセス賞の覇者サルサクイーンの愛娘としても知られるサルサディオーネ。管理する堀千亜樹調教師、矢野騎手とも念願のダートグレード初制覇となった。ダートグレードで地元馬が優勝するシーンは、地方競馬ファンの醍醐味のひとつでもあるが、無観客競馬というのは何とも寂しい。それでもマリーンカップJpnⅢの売得金額はレコード更新となった。

この後のサルサディオーネは、レース前からの予定通り放牧休養に入るそうだ。左回りで良績をあげているが、「右回りも気にならないとは思う」と堀調教師は話していて、今後どんな予定を組んでいくのか楽しみだ。自分のかたちに持ち込めるかどうかは常にカギになっていくだろう。「女の子ですが、すごくパワフルないい走りをしてくれて、根性もドシッとしていい性格をしていますので、これからもまだまだ楽しみです」(堀調教師)

なお、2着のメモリーコウには的場文男騎手が初騎乗となった。「誰も競らないからペースが遅すぎたね」と言いながら、悔しそうに検量室の中に消えていった。64歳の森下博騎手が3月31日付で引退したため、国内現役最年長となった63歳の的場騎手。今後、更新していくであろうさまざまな記録からも目が離せない。

  • 取材・文
  • 高橋華代子
  • 写真
  • 国分智(いちかんぽ)

Comment

矢野貴之 騎手

(ダートグレード初優勝は)非常にうれしいですが、どのレースも一緒なので一生懸命乗るだけです。今は無観客競馬として行われていますが、一人一人ができることをしっかりやって、またいつも通りの競馬ができるように、僕たちも頑張ります。競馬ができているということに関してはありがたいですね。

堀千亜樹 調教師

調教も体調もよかったです。体重は増えていましたが(プラス11キロ)、前回が思ったより減っていたので、そのあたりは気にしていませんでした。すんなりハナに行って自分の形に持ち込めた時には何とかなるかなと思って、余裕があったので、何とかもってくれとゴールまで必死で見ていました。