ウェブハロン

ダートグレード競走を中心としたレースハイライトや、シリーズ競走等の特集、各種連載など盛りだくさんの情報をお届けします。

  • 第24回
  • マーキュリーカップ JpnⅢ

7.21 (火) 盛岡 2,000m

仕掛けを待って力強く差し切る
 有観客の開催でグレード初制覇

岩手競馬は7月12日(日)より盛岡競馬場・開催本場入場再開。このマーキュリーカップJpnⅢが国内のダートグレードでは2月23日・東京競馬場のフェブラリーステークスGⅠ以来となる有観客競馬。レース後のインタビューは条件つきながら今回から取材も許可された。

昨年は祝日の月曜日で7430人の入場者だったが、今年は平日の火曜日ということもあり1333人に落ちついた。2日前にはゲリラ豪雨で2競走の取り止めもあったが、当日は太陽が照り付ける暑さ、途中で雨、メインの頃は蒸し暑く、梅雨真っ最中といった情況。ただ、レースは熱かった。

7月18日の阪神第4レースでJRA年間100勝を達成した川田将雅騎手を配してきたのがマスターフェンサー。オープン入り後、連続2着と充実の4歳馬が1.9倍の単勝1番人気に支持された。強敵がそろっていた前走平安ステークスGⅢで4着のヒストリーメイカーが4.0倍の2番人気、ジャパンダートダービーJpnⅠ・2着や今年の川崎記念JpnⅠ・3着の実績を残す4歳馬デルマルーヴルが休み明けでも4.2倍の3番人気に続いた。

絶対的な逃げ馬不在となって注目されたのがポジション取り。同じコースで行われた昨年のダービーグランプリで逃げ切ったリンノレジェンドが先手を奪った。休み明けのアポロテネシー、連闘策のヨシオが追走する形で、ラップは12.5-11.4-11.9-12.6-12.6-12.4-12.1-12.1-11.8-13.6。平均ペースでレースは流れて上り4ハロン49秒6、3ハロン37秒5。

残り1000メートルを切ったところで、中団に付けていたデルマルーヴルが外から動くと、その前にいたヒストリーメイカーも進出。勝負どころの3コーナーでは先行3頭に動いた2頭が加わってペースアップ。そのときマスターフェンサーは慌てず騒がず自身のタイミングで仕掛け、4コーナーでは先頭を射程圏に。

早めに動いた馬たちは直線の坂を登ると脚いろが鈍る。剛腕・川田騎手のマスターフェンサーが力強く脚を伸ばして着差以上に内容の濃い勝ちっぷり。同騎手は今年に入り、川崎記念JpnⅠ、名古屋大賞典JpnⅢ、帝王賞JpnⅠ、スパーキングレディーカップJpnⅢに続きダートグレード5勝目。

1馬身半差の2着となったデルマルーヴルの岡部誠騎手は「向正面から早めに動いて、斤量差があるので3コーナーぐらいからゴーサインを出して仕掛けた分、終いは甘くなりました。久々の実戦となりましたが、うまくリフレッシュできてレースには臨んだと思います」

そこから5馬身差で3着ランガディアの鈴木祐騎手は「中央の馬たちが前に行くのが分かっていたので、その後ろにつけてポジション取りは予定どおり。道中はリラックスして走っていましたし、早めに仕掛けるよりは中央馬よりは後ろで。負けたのは悔しいけど、最後もしっかり伸びてくれました。この馬には今日の流れは合っていました。使うごとに力強くなっているし、調子も上がってきています」

さらに3/4馬身差で4着ヒストリーメイカーの畑端省吾騎手は「久々の左回りでしたが、コーナーリングはスムーズでした。3コーナーでデルマルーヴルが動いてきたので強気に動きましたが最後は苦しくなって脚が上がってしまいました」

そして優勝ジョッキーの川田騎手は「久しぶりにお客さんが入っている競馬場で乗れて、生でファンの声援は感じましたし、期待に応えることができてよかったです」と語った。


  • 地方最先着は3着のランガディア(岩手)
  • 取材・文
  • 峯村正利
  • 写真
  • 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

川田将雅 騎手

アメリカへ挑戦するなど異色の経歴を持っていますからね。日本で初めての重賞挑戦で勝つことができて良かったです。いつもどおりにこの馬のポジションで、3コーナーで他の馬が動いてくれたし、いい手応えで、反応良く伸びて3コーナーすぎでは、これなら大丈夫だと思いました。

角田晃一 調教師

たまにゲートで出遅れることがあるので、それだけ鞍上に気を付けてもらうようには伝えました。ドバイから戻ってきて3戦目の今回が一番いい状態の仕上がりで臨めました。まだまだ伸びてくれる馬と思っていますし、2000メートル以上の距離で今後も使って力をつけていきたいです。