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  • 第22回
  • 兵庫ジュニアグランプリ JpnⅡ

12.2 (水) 園田 1400m

最内枠から余裕の逃げ切り
 無敗で目指すは2歳ダート王

レコードやレコードタイで勝ち星を挙げた馬が集まった今年の兵庫ジュニアグランプリJpnⅡ。そのメンバー構成通り、速いタイムでの決着となった。

過去2頭が勝っている北海道からグロリアスルカが参戦予定だったが出走取消で、浦和から1頭、JRAから5頭の遠征馬を迎えた11頭立てで行われた。

勢力図はデュアリスト(JRA)とゼンノアンジュ(JRA)のほぼ2強。1番人気は無敗の前者で、単勝1.9倍。前走・ヤマボウシ賞は2歳コースレコードを更新しての勝利とあって、そのスピードと3連勝での重賞制覇に期待が寄せられた。2番人気がゼンノアンジュで2.4倍。新馬戦こそ5着に敗れたが、前走・なでしこ賞を2歳コースレコードタイで勝った。

3番人気はやや離れて8.7倍のルーチェドーロ(JRA)。芝の函館2歳ステークスGⅢ・2着という実績もある一方、デビュー戦は不良馬場のダートを2歳コースレコードで勝った。地方勢では平和賞2着のジョーロノ(浦和)が33.6倍で最も支持を集めた。

レディバグ(JRA)がキャリア1戦など、2歳重賞は経験の浅い馬も多い中、誘導を務めたのは前月にJRA京都競馬場から移籍してきたストラディヴァリオ。園田競馬場に来たばかりながら、JRAでは数々のGⅠレースを誘導してきたとあって、アイスバーグと共に堂々と11頭を先導した。

スタートから好ダッシュを見せたのは最内枠のデュアリスト。体一つ抜け出すと楽に先手を奪い、外めにゼンノアンジュとジョーロノ、内にレディバグと続いた。

デュアリストは約1馬身のリードを保って逃げ、3~4コーナーで2番手のゼンノアンジュが並びかけようと試みるも鼻面を並べるまでには及ばず。直線でもデュアリストは脚色が衰えず、3連勝で重賞制覇を決めた。2着には直線の立ち上がりで外に持ち出したレディバグが鋭く伸び、半馬身差まで迫ったが、デュアリストの福永祐一騎手は「まだ余裕があった」というのだから、能力が抜けているのだろう。4馬身差の3着にゼンノアンジュが粘り、4着にルーチェドーロ、5着は「直線でもうひと踏ん張りしてくれました」(田中学騎手)とジョーロノだった。

2着レディバグの酒井学騎手は「センスが高いですね」と粗削りだったデビュー戦からの大きな進歩を感じたよう。対照的に3着ゼンノアンジュの岩田康誠騎手は「何で止まったのか分からないです……」としばらく考え、「状態は良く、自信を持って乗れましたけど、相手が強かったです」と話した。また、地元の重賞馬ツムタイザンは「これまで苦しい競馬をしたことがなかったので、今日の競馬が次につながると思います」(杉浦健太騎手)と6着だった。

勝ったデュアリストを管理する安田隆行調教師に代わって臨場した安田景一朗調教助手は「ここ2戦は脚抜きのいい馬場だったので、力のいるダートは正直、心配していました」とレース前の心境を吐露したが、勝ちタイム1分26秒9は良馬場ではレース史上最速タイム。「スピードで押し切ってくれました」という言葉通りの結果だった。

勝ち馬は5年連続で川崎・全日本2歳優駿JpnⅠへ駒を進めている。今年は兵庫ジュニアグランプリJpnⅡが例年の11月下旬より遅い時期の開催で中1週と間隔が詰まるが、「馬の状態を確認して、オーナーと相談の上で全日本2歳優駿へ」とのことだ。

  • 取材・文
  • 大恵陽子
  • 写真
  • 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

福永祐一 騎手

楽に先手を取れ、道中もリラックスして運べました。3コーナー手前から2番手の馬のプレッシャーがありましたが、それがキツくなる前に離していこうと思いました。最後まで脚色が衰えませんでした。距離延長が課題になると思いますが、とてもいいスピードと素晴らしい馬体を持ち合わせています。

安田景一朗 調教助手

前向きすぎる面があってソフトに仕上げたので、パドックや返し馬も落ち着いていました。スピードの絶対値が違う、強い競馬をしてくれました。距離はがんばってもあと1ハロン延長がギリギリかなと思いますが、うまく調教して一つ一つ課題をクリアしたいです。まだまだのびしろのある馬です。