ウェブハロン

ダートグレード競走を中心としたレースハイライトや、シリーズ競走等の特集、各種連載など盛りだくさんの情報をお届けします。

  • 第20回
  • 名古屋グランプリ JpnⅡ

12.10 (木) 名古屋 2500m

早めの仕掛けで押し切る
 断然人気に応え重賞3連勝

筆者はこれまで名古屋競馬場でのダートグレードレースを何度も現地で見てきたが、大型カメラを持ったファンの数がこれまででもっとも多いと感じた。JRAと南関東では入場するにも抽選で、それも平日の名古屋競馬場にたくさんのファンが来たひとつの要因だろう。主催者発表で2786名の入場者数は、入場無料のため重複計上が含まれていると思われるが、場内の熱気は昨年までと同様、もしくはそれ以上。名古屋グランプリJpnⅡのパドックは互いの間隔をとりつつも、多くの視線が注がれた。

なかでも単勝1.4倍という圧倒的な支持を集めたのが、ダートグレードを連勝中のマスターフェンサー。前走よりプラス7キロは国内最高体重だったが、馬体の張りも気合い乗りも良好に見えた。続く2番人気は今春の名古屋大賞典JpnⅢを制したロードゴラッソで3.8倍。この2頭の馬連複は2.0倍を示した。

名古屋グランプリJpnⅡはJRA馬が上位を独占することがほとんどで、過去10年での地方馬の3着以内は、2016年と17年のカツゲキキトキトだけ(いずれも3着)。しかし今年はそれ以上を狙って、船橋からサウンドトゥルーが遠征してきた。JRAに在籍していた16年にチャンピオンズカップGⅠ、17年にJBCクラシックJpnⅠを制した実績は最上位で、10歳の今年もダイオライト記念JpnⅡで3着に入った。ファンも古豪の底力に期待したのか、単勝7.5倍の3番人気に押し上げた。

コースを2周する2500メートルは、名古屋で1年に1回だけ使われる距離。先手を取ったのはダイシンインディーで、続いて北海道から参戦のシンボが追走。3番手は地元のキーグラウンドで、マスターフェンサーとロードゴラッソはその直後につけた。長距離戦らしく、1周目は先頭から最後方まで10馬身程度の範囲。2周目に入ると徐々に隊列が長くなった。

その流れを主導したのは、逃げるダイシンインディーに騎乗した岩田康誠騎手。2周目の3コーナー手前では2番手に3馬身ほどの差をつけて、そのまま逃げ切るかに思えた。しかし実力的にはマスターフェンサーのほうが上。3コーナーあたりから追い上げを開始して、最後の直線に入ったところで交わし切り、追い上げてきたロードゴラッソに2馬身差をつけて押し切った。ダイシンインディーは2着から1馬身差の3着に残ったが、岩田騎手は何度も首をかしげながら下馬していた。

サウンドトゥルーはそこから2馬身差の4着。以前より最後の伸び脚が鈍くなっているそうだが「まだまだスタミナは超一流」と、森泰斗騎手。佐藤裕太調教師は「来年は(2600メートルの)金盃の3連覇を狙います」と話した。

北海道のシンボは10着で、赤岡修次騎手は「大きいコースのほうが合う感じがします」とコメント。3番手からレースを進めたキーグラウンドは7着だったが、川西毅調教師は「地元の重賞なら勝てそうかな」と話し、宮下瞳騎手も「出脚が速いのに折り合いがつくので乗りやすいです」と笑顔を見せていた。

一方、昨年の川崎記念JpnⅠを制したミツバは5着。これがラストランの予定だそうだ。


  • 地方競馬全国協会理事長賞の
    副賞として畜産品が贈呈された

  • 地方最先着は4着のサウンドトゥルー(船橋)
  • 取材・文
  • 浅野靖典
  • 写真
  • 岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

川田将雅 騎手

勝負どころで動くまでに時間がかかる面はありますが、それでもしっかりと実力を出してくれますね。距離も長いですし、とにかく馬の気分を損ねないようにと考えて乗りました。4コーナー手前で逃げた馬を捕まえられるという手応えがありましたね。今後のためにも賞金を加算できたのでよかったと思います。

角田晃一 調教師

前走後の短期放牧から帰ってきたとき、馬が大きくなったという感じがしました。ここに向けてしっかりと乗り込みましたし、充実しているところだと思います。長い距離のほうが合っているので、次は川崎記念になるでしょうね。このあともしっかりと勝って、また海外遠征を目指せればと考えています。