グランダム・ジャパン3歳シーズンの初戦、若草賞には、今年もそのタイトルを狙って他地区から5頭が遠征。過去5年で地元馬の勝利は2019年のゴールドリングしかなく、ほか4回は遠征馬のワンツーで決着。今年も遠征馬が能力の高さを示す結果となった。
浦和のハナハナが掛かりぎみに逃げると、大井のセカイノホシが2番手。単勝1番人気に支持された兵庫のパールプレミアが3番手の内につけ、大井のアイルビーゼアも続いて遠征勢が先行。大井のミラバーグマンはスタートでやや後手を踏んだものの、向正面で外の3番手まで押し上げてきた。
3コーナー過ぎでパールプレミアがハナハナを交わして先頭に立つと、ミラバーグマンがこれをとらえにかかった。この2頭が徐々に3番手以下との差を広げると、直線は一騎打ち。ミラバーグマンが並びかける場面もあったが、パールプレミアが振り切り、3/4馬身差をつけて勝利。4コーナーでまだ10番手だった地元の伏兵オーゴンノキズナが直線一気に伸び、6馬身差で3着に入った。
1、2着の明暗を分けたのは直線の追い比べではなく、3コーナーにあった。2番手につけていたセカイノホシがコーナーをうまく回れず外に膨らみ、その外から進出してきたミラバーグマンが煽りを受けた。一方、逃げたハナハナのうしろを追走していたパールプレミアは、セカイノホシが外に逃げたところに進路ができ、そこでハナハナの外に持ち出し一気に先頭に立つことができた。
「ハナハナにも乗ったことがあって、楽に逃がしたら危ないということで、早めに行ったんですけど、3コーナーでセカイノホシに弾かれて、その間に勝ち馬に行かれてしまいました。あれがなければ……」とミラバーグマンの吉原寛人騎手は悔しそうだった。ただ輸送でテンションが高くなっての馬体減(マイナス19キロ)や、ゲートに難があってスタートで後手を踏んだことなど「課題は多いかな」とも話していた。
勝ったパールプレミアにも不安がなかったわけではない。「レースではムキになるところがあるのでスローペースにならないでほしいと思っていたんですけど、宮下さんの馬(ハナハナ)が行ってくれて、理想的なポジションで、理想的なレースができたので、そのぶん最後はなんとか踏ん張ってくれました」と笹田知宏騎手。たしかに直線ではミラバーグマンに並びかけられても、それを振り切る勝負強さを見せた。
管理する新子雅司調教師は、この日名古屋競馬場には不在だったが、あとで話を聞いたところによると、グランダム・ジャパンを狙って地元ののじぎく賞(5月13日)を予定しているとのこと。「間隔を詰めて使いたくないので、その間に使うかどうかは馬の様子を見ながら」とのことだった。
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笹田知宏 騎手
どこかで大きいタイトルを取らせてあげたいと思って先生とスタッフと協力して頑張ってきた成果が出たのでほんとにうれしいです。(仕掛けを)もうワンテンポ待ちたかったんですけど、外からかぶせてくる馬が見えたので、ちょっと早く行きましたが、すんなり反応してくれて、ほんとによかったです。
新子雅司 調教師
ハナハナが逃げると思ったので、出たなりでいい位置につけられればと思っていましたが、最高の位置で競馬ができました。3コーナーでうまくさばいて外に持ち出してくれたし、直線並ばれたけど勝負根性を発揮してくれました。折り合いをつけられれば距離もこなしてくれると思います。