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第35回東京プリンセス賞

迷いなく逃げて圧勝
  15年ぶり牝馬三冠へ

大井競馬は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、この開催から再び無観客で実施されることとなった。クラシックシーズンの競馬場にファンの姿がないことは寂しい限りではあるが、売上から見てもインターネットやテレビを通じて多くの方が競馬観戦を楽しんでおり、その声援は馬やジョッキーたちにも届いていることだろう。

その大井競馬場で、南関東牝馬クラシック二冠目・東京プリンセス賞が行われた。単勝1.5倍と圧倒的な人気を集めたのは浦和・桜花賞を快勝したケラススヴィアだ。桜花賞トライアルのユングフラウ賞では斤量や馬場も影響し2着と、初めて敗戦を喫したが、本番ですぐに巻き返し一冠目を手にした。ケラススヴィアとはラテン語で“桜の道”という意味。その名の通り、桜花賞勝利の道を切り開き、そしてその道は二冠目まで繋がっていた。

ゲートが開く直前、首を上げ下げするケラススヴィアの様子が見られ、これには陣営もひやっとしたそうだが、スタートはきっちりと決めた。8枠10番だったことで先行争いにも注目が集まっていたが、二の脚が抜群に速くすんなり先手を取った。2番手には3番人気のグロリオーソがつけ、3番手にユングフラウ賞の勝ち馬で、ケラススヴィアに唯一土をつけたことのあるウワサノシブコ。桜花賞をスキップしこのレースに挑んだ、2番人気のディアリッキーは中団の外めを追走していた。

3~4コーナーに入ると、前をめがけて各馬が懸命に追い出し始めた。しかし、それを尻目に楽な手応えで先頭を走るケラススヴィア。直線では後続をぐんぐん突き放して独壇場となり、7馬身差の逃げ切り圧勝。良馬場で1分54秒2という好タイムで牝馬二冠を達成した。

2着は直線で外から伸びたディアリッキー、その1馬身3/4差の3着には、いい末脚を見せた7番人気のティーズアレディーが入った。

ケラススヴィアに騎乗した森泰斗騎手は、「このレースは逃げがあまりよくないというイメージがありましたが、この馬ならまったく問題はなかったです」とコメント。確かに東京プリンセス賞の近年の成績を見ると、逃げ馬は馬券に絡んでいても2、3着までで、逃げ切り勝ちは2009年のネフェルメモリー(その年の二冠牝馬)までさかのぼる。過去と比較しても、ケラススヴィアの強さ、能力の高さが際立ったレースだった。

また、これで3年連続で南関東二冠牝馬が誕生したことになる。しかし、19年のトーセンガーネットは続く関東オークスJpnIIで3着、20年のアクアリーブルは2着と、いずれも三冠には手が届かなかった。川崎2100メートルというコースに、JRA勢相手と、簡単な壁でないことは言うまでもないが、06年チャームアスリープ以来の南関東牝馬三冠なるか、今年はその夢がケラススヴィアに託される。

なお、このレースはグランダム・ジャパン3歳シーズンの第5戦でもある。暫定1位は変わらず高知のサンシェリダンで18ポイント。2位は、7ポイントを獲得し17ポイントのケラススヴィア。3位は愛知のニジイロで13ポイントと続いている。第6戦・のじぎく賞は5月13日に園田競馬場で行われる。

取材・文 秋田奈津子

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

森泰斗騎手

素晴らしい仕上がりだと返し馬から感じましたし、テンションは高めでしたが許容範囲で我慢してくれました。スタートは上手に出てくれたので馬の力を信じて迷わずハナにいきました。素晴らしい内容で二冠目も獲れて次に向けて期待が膨らみます。自分自身も桜花賞の時より余裕を持って騎乗できました。

小久保智調教師

馬の調子はすごく良かったです。桜花賞より覇気がある感じがしましたね。ゲートでバタバタしましたが、これもデビュー前に苦労したことなので耐えてくれると。初めての1800メートルはどうかなと思いましたが頑張ってくれました。三冠を目指して頑張りたいですし、強いJRA勢にも挑戦していきたいです。