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第23回かきつばた記念JpnIII

好スタートから逃げ切る
  トップハンデで連覇達成

昨年のかきつばた記念JpnIIIは無観客で実施されたが、今年のスタンドにはファンの姿。ただ、大型連休中という事情も含めて、一般エリアの滞留人数が1500名までという条件になった。

その告知の効果はあったようで、とくに制限がなかった昨年の名古屋グランプリJpnIIや今年の名古屋大賞典JpnIIIのときより、パドックを囲む人の数は少なかった。それでもかきつばた記念JpnIIIの発売金額は、昨年よりおよそ1億2千万円も多い7億4961万1500円で過去最高。改めて地方競馬が、インターネット投票を通して全国から注目を集めていると実証された。

この数字につながった要因のひとつには、上位人気の2頭の力量が抜けていたこともあるのだろう。前走の黒船賞JpnIIIを制したテイエムサウスダンが単勝1.7倍で、昨年の覇者ラプタスが2.4倍。この2頭の馬連複は1.7倍にまでになった。

その結果は、好スタートを決めたラプタスが逃げ切り勝ち。2コーナーで2番手に上がったテイエムサウスダンが3馬身差で2着に粘り、3着は3番人気のベルダーイメル。3連単でも10.6倍という、堅い決着になった。

ラプタスは昨年、黒船賞JpnIIIとこのレースを連勝。しかしその後は1番人気に推された兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIで3着に敗れるなど、不完全燃焼というレースが続いた。しかし前走は阪神競馬のオープン特別で3番手追走から勝利。今回もホライゾネットを装着していたが、パドックでは落ち着いた様子を見せていた。

一方のテイエムサウスダンも静かに周回。このご時世だからか、各馬に騎手がまたがっても、パドックを囲んだ観客からは声援などがまったく起きなかった。

その雰囲気は、精神的な面に課題が残るラプタスにとって歓迎材料になったことだろう。臨場した三浦康徳調教助手によると「前走の阪神競馬は勝ちましたが、パドックの人の多さに反応して興奮気味。以前はパドックでよく汗だくになっていましたが、今日は逆に『大丈夫か』と心配になるくらいでしたね」とのこと。それが過去の勝ち星をすべて1400メートルで挙げているという、高い適性の発揮につながったのだろう。

テイエムサウスダンもコーナー4つの1400メートル戦で2戦2勝の成績だったが、今回は2着。福永祐一騎手は「相手が強かったとしか言えないですね。負担重量の57.5キロも、相手が58キロなのですから」と話した。

地方馬の最先着は、4着に入った兵庫のナリタミニスター。3着からは6馬身の差があったが、吉村智洋騎手は「前走(東海桜花賞)よりも行きっぷりがよかったですね。前走の調子だったら4着に食い込めなかったですよ」と話し、坂本和也調教師は「前が止まらなかったですからね。次はもっといいレースができると思います」と、ある程度の手応えを得たようだった。

地元馬では6着のメイソンジュニアが最先着。そしてJRAから愛知に移籍した一昨年の優勝馬ゴールドクイーンは11着だった。「3完歩目あたりでつまずいて、そこから後方のままという感じでしたね。体には悪いところがないのですが、気持ちが……」と、友森翔太郎騎手は残念そうに話した。

取材・文 浅野靖典

写真 早川範雄(いちかんぽ)、浅野靖典

Comment

幸英明騎手

パドックで騎乗したときに、具合がよさそうだと感じました。(兵庫ゴールドトロフィーでは)スタートで失敗しましたが、今日はいいスタートを切れましたね。道中の手応えは昨年よりも良いという感触で、最後までこのままの手応えだったら勝てそうだなと、3コーナーあたりで思いました。

三浦康徳調教助手

幸騎手が話していたとおり、斤量負けしないタイプですね。道中は行きたがっているのかと感じる場面もありましたが、それだけ手応えが良かったということなのでしょう。だんだんと精神的な落ち着きが出てきた感じがありますし、去勢手術をしてから時間が経ったことで体質も安定してきたのだと思います。