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第21回留守杯日高賞

遠征実績馬3頭の争いを制す
  北海道に戻って重賞初勝利

今年の岩手競馬は3歳牝馬のローテーションが後ろにずらされ、グランダム・ジャパン3歳シーズンの中で留守杯日高賞は全8戦中7戦目。最終戦の関東オークスJpnIIまではちょうど1カ月の間隔があり、使いやすいポジションとなった。獲得ポイントで大きく抜け出した馬はおらず、他地区からの登録馬は当初15頭を数えたが、これが発表された時点で暫定トップのサンシェリダンがなんと補欠1番手。担当者に問い合わせたところ「重賞の実績は考慮している」とのことだったが、それでも補欠となるほど、各地から実績馬が多数エントリーしていたということになる。最終的には当初より出走枠に入っていた3頭が残り、繰り上がっていたサンシェリダンは回避。地元岩手所属馬9頭と合わせて12頭による争いとなった。

遠征馬3頭は、いずれも重賞での入着歴が複数回ある。特に浦和の桜花賞での結果が重視されたか、グロリオーソが単勝1.5倍で抜けた1番人気。スマイルミュは3.1倍、セカイノホシは10.2倍と続いた。ただ枠順は人気順と逆で、内からセカイノホシ2番、スマイルミュ5番、グロリオーソ10番という並びになった。

4コーナーへ斜めに入っていく水沢1600メートルのスタート地点は内枠有利。セカイノホシが先手を取り、スマイルミュも難なく2番手をキープする。外枠から動いてきたグロリオーソは、僅かながらでも脚を使うことになる。これは浦和の桜花賞時と似た展開ながら、スマイルミュとは枠順の関係上内外が逆になった。

位置取りは比較的早く落ち着き、セカイノホシのマイペース先行。決してスローペースではないが、門別の短距離戦の流れを経験している前2頭には比較的楽と映った。3コーナーからは3頭の勝負となったが、グロリオーソは差を詰め切れず直線半ばで脱落。最終的には前へ行った2頭の競り合いになり、セカイノホシが懸命に粘るところを、スマイルミュがクビ差抜け出してゴールに飛び込んだ。

スマイルミュが前走、浦和の桜花賞で先着を許したグロリオーソとの立場を逆転した形になったが、その1カ月半の間に船橋から北海道への再移籍、そして今回の長距離遠征と負担は少なくなかった。村上正和調教師は「馬体重は500キロくらいあれば良いと思っていましたが、少し減りすぎた点は気になりました」と。グランダム・ジャパン3歳シーズンの獲得ポイントでは暫定2位タイに浮上したが、次走については「立て直しながら考えたい」と明言を避けた。一方で「地元のヒダカソウカップや、チャンスがあればJRA札幌の芝も」との可能性を示唆した。

地元の岩手勢はグランダム・ジャパン2020・2歳シーズンのプリンセスカップを勝った、世代最強のゴールデンヒーラーが春先から牡馬相手の3歳三冠路線へ挑戦していることで不在。トライアルあやめ賞2着から参戦したベニスビーチが後方から追い上げ、グロリオーソに1馬身半差まで詰め寄る4着が最先着だったが、南関東在籍時に3戦して条件戦の5着が最高だったことを思えば健闘の部類。2015年に無敗で岩手ダービーダイヤモンドカップを制したロールボヌールの妹であり、今後距離が延びての活躍が期待される。

取材・文 深田桂一

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

山本聡哉騎手

2、3番手でグロリオーソの出方を見ながらのレース。セカイノホシもすんなり逃げれば渋太いので、楽をさせないように気を遣う位置でした。直線で抜け出してからが伸びきれなかったですが、よく凌いでくれました。最後まで分からなかったし、気が抜けませんでした。

村上正和調教師

グロリオーソを見ながら進めて欲しいと指示していましたが、上手く乗ってくれたと思います。門別へ帰厩後はもう少しふっくらさせたかったし、今日の馬体重は500キロ少々あればと思っていましたが、少し減りすぎましたね。次走は立て直しながら、調子に合わせて考えたいと思います。