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第25回北海道スプリントカップJpnIII

人気馬を競り落とし重賞初制覇
  目指すはダート短距離の頂点

門別競馬場にリュウノユキナが帰って来た。この地でレースをするのは、2017年10月のウィナーズチャレンジ競走以来、約3年7カ月ぶりとなる。

その間にリュウノユキナは、中央での移籍先となった小野次郎厩舎で、ダートのスプリンターとしての能力を見出された。今年1月にはジャニュアリーステークス、大和ステークスとオープンを連勝。その勢いのままに、初めてのダートグレード挑戦となった東京スプリントJpnIIIで重賞初制覇を飾った。

今回、中央からの遠征4頭の中で最も実績は上であり、単勝オッズも1.3倍という圧倒的な支持を集めていた。この日の馬体重は前走よりプラス5キロの512キロ。デビュー時は464キロであり、そこから50キロほど馬体を大きくしたことにもなる。

リュウノユキナは1番枠に入ったこともあるが、他の13頭を従えるように堂々とパドックを歩く姿は、ここが勝手知ったる場所だということを理解していたのかもしれない。ただ、レースで先着したのは、大外14番枠のヒロシゲゴールドだった。

新馬戦以外の5勝は全て逃げ切り勝ちというヒロシゲゴールドは、ここ3戦は先手を奪えずいずれも5着に敗れている。内枠に前に行きたい馬も揃っていた今回も苦戦を強いられるかと思われたが、「前々走、前走と馬場の悪いところを走らされていましたし、道中は揉まれたくもないと思っていただけに、大外枠に入ったことで、思うような競馬ができると思っていました」と、管理する北出成人調教師。

ゲートが開くと抜群のスタートを切ったヒロシゲゴールドは、さすがにレースの主導権を握るまではいかなかったものの、気合をつけたアザワクが飛び出していったことで、道中はリュウノユキナ、ダノンチャンスと共に先団を形成した。

最後の直線、先頭に立っていたアザワクにヒロシゲゴールドが並びかけた時、内でレースを進めていたリュウノユキナが外に進路をとり、2頭をまとめて交わしにかかった。その時、北村宏司騎手はヒロシゲゴールドから闘争心を感じ取った。「脚色的には苦しかったですが、顔を並べて競り合っているうちに、また歯を食いしばって差し返してくれました」。結果、リュウノユキナを半馬身差で振り切ってのゴール。

一方のリュウノユキナは、馬体も立派だったのかもしれないが、ヒロシゲゴールドと1キロの斤量差が、最後の追い比べに影響したのかもしれない。3着にはスマートアルタイルが入り、中央勢が上位を独占。昨年はメイショウアイアンが地元ホッカイドウ競馬勢に20年ぶりとなる勝利をもたらしたが、今年はニットウスバルの4着が最先着で、連覇を目指したメイショウアイアンは9着だった。

ヒロシゲゴールドはこの後、栗東へ戻り、馬の状態を見ながらではあるが、クラスターカップJpnIIIへと向かうローテーションが予定されている。2年連続で2着に敗れているレースではあるが、ダートグレード初制覇の勢いのままに、“3度目の正直”を飾ってくれそうだ。

取材・文 村本浩平

写真 浅野一行(いちかんぽ)

Comment

北村宏司騎手

競馬の取り口の幅も出てきましたし、自分のリズムで運べるとしぶとさもあります。久しぶりの門別でしたが、コンディションも良くていい競馬場だと思いました。今回は無観客開催ですが、そう遠くない時期にマスクを外して、皆さんの前で笑顔を見せられることを僕らも祈っています。

北出成人調教師

ヒロシゲゴールドだけでなく、オーナーにとっても初重賞ですし、本当に喜んでもらっていると思います。北村騎手が馬のことを理解しながら乗ってくれたことが、勝利に繋がりました。短距離ダート界を背負っていけるような馬になってもらいたいですし、秋はジーワンを狙っていきたいと思います。