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第63回九州ダービー栄城賞

理想の位置取りから抜け出す
  4馬身差の完勝で二冠達成

佐賀競馬の2、3歳重賞路線は、九州産JRA交流のたんぽぽ賞や一時期導入されたS2重賞以外はすべて1750メートル以上の距離で行われた時代が長かったが、2018年度から2歳の九州ジュニアチャンピオン、3歳の飛燕賞が1400メートルとなり、短距離路線が創設された。

今年度はさらに佐賀ユースカップ(6月13日、1400メートル)を新設。開催時期が九州ダービー栄城賞(以降、栄城賞)の次開催(2週間後)ということもあり、短距離で実績を挙げた馬の動向が注目されていたが、シュリーデービー(九州ジュニアチャンピオン)、テイエムサツマオー(飛燕賞)とも栄城賞に出走。おそらく佐賀ユースカップも目標としていると思われるが、やはり栄城賞は佐賀競馬でもっとも格式の高いレースと言えるだけに、優先順位が高いのだろう。JRA馬が勝ったたんぽぽ賞を除くここまでの2、3歳重賞の勝ち馬が揃い佐賀3歳の頂点を極めるにふさわしい顔ぶれとなった。

その中で最も注目を集めたのがトゥルスウィー。12月に北海道から転入後は7戦6勝で、重賞は花吹雪賞、ル・プランタン賞、佐賀皐月賞を勝利。佐賀3歳二冠がかかる一戦で、単勝1.3倍の圧倒的1番人気となった。3.7倍の2番人気は佐賀転入初戦の鯱の門特選を勝ったガーディアン。トゥルスウィーとは初対戦で、未知の魅力が買われた格好だ。

ガーディアンが前走と同様に出遅れ気味のスタートとなり、逃げを打ったのはテイエムサツマオー。トゥルスウィーが2番手に付けようとしたところに、内からガーディアンが一気に上がってきたが、1周目4コーナーでトゥルスウィーが再度2番手を確保。前2頭からはやや離れた位置に下がったガーディアンに、スーパーキンチャンが並び前の流れは落ち着いた。

4コーナーでトゥルスウィーが先頭に躍り出ると、直線で2番手に上がってきたガーディアンに4馬身差を付ける圧勝となった。3着には10番人気のスーパーキンチャンが入り、テイエムサツマオーが4着を確保と、先行した4頭による決着となった。

横綱相撲で3歳二冠達成のトゥルスウィーだが気性が相当に難しく、調教でもレースでも1頭だけになると本気で走らなくなる面があるそう。鞍上の山口勲騎手は佐賀皐月賞後に「他の馬の後ろに入れることを常に頭に入れている」と語っていただけに、逃げた馬の直後の2番手という絶好のポジションを確保し、万全のレース運びとなった。

トゥルスウィーを管理する北村欣也調教師は、栄城賞は騎手時代に4勝し、2002年のカシノオウサマで当時の九州3歳三冠を達成しているが、調教師としては初勝利。ロータスクラウン賞(9月12日)で調教師での三冠達成にも大きな期待が掛かるところだが、まずは高知優駿(6月20日)が目標とのことだ。

取材・文 上妻輝行

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

山口勲騎手

去年は怪我して(栄城賞に)乗れなかったので、(今年は)1番人気の馬に乗せてもらって勝てて嬉しく思っています。展開はスタート切ってからしか考えないので、出たなりであの位置になった感じですね。どんどん馬も成長してまだまだ大きいところを獲れると思います。