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第25回さきたま杯JpnII

直線抜け出し人気にこたえる
  JBC金沢を見据えての快勝

今年で25回目を迎えたさきたま杯JpnII。JRA4頭、地方他地区から1頭、地元の南関東は7頭の12頭が浦和競馬場に集まった。

人気は分け合う形になり、単勝10倍以下に4頭。昨年のマイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠを日本レコードで優勝したアルクトスが2.2倍の1番人気。3.9倍の2番人気は芝の重賞ウイナーで今年のフェブラリーステークスGIで2着だったエアスピネル。4.2倍の3番人気は昨年のかしわ記念JpnⅠの勝ち馬で芝の重賞ウイナーでもあるワイドファラオ。昨年の兵庫ゴールドトロフィーJpnIII・2着などダートグレードでも好走している川崎のベストマッチョが5.6倍の4番人気に続いた。

混戦に終止符を打ったのは、田邊裕信騎手が手綱を取ったアルクトスで、その実力をここでも示す結果となった。

レースは、逃げ宣言をしていたプレシャスエースが出ムチを入れて一気に先頭に立つと、1~2コーナーでは早々縦長の展開。2番手にはベストマッチョ、さらにはワイドファラオやエアスピネルが続き、すかさずアルクトスや昨年の覇者ノボバカラも追走。最内枠のアルクトスは少しずつ外に進路を取り、向正面では内のエアスピネルに並びかける形。

「この馬自身スタートは上手でしたが、浦和の1400メートルはスプリント戦のようなスタートセンスが問われるので、内枠はあまりうれしくなかったですが、うまくカバーできて脚を使えるポジションまで上がれたのは良かったです。予想していたよりも速い流れのまま1コーナーに入っていったので、内に行く選択肢もあったし外も狙えましたが、エアスピネルの手応えが良さそうに見えたので、後ろについて4コーナーを回るようではゴールまで間に合わないと思ったので、馬の力を信じて少し外を回しました。最後までよく辛抱してくれました」と田邊騎手。

3コーナーでは先行馬群が固まり、最後の直線に入ったところでベストマッチョが一旦は先頭立ったものの、内からエアスピネル、外からはアルクトスが抜け出しての一騎打ち。アルクトスがエアスピネルを差し切って半馬身差をつけ、負担重量差をモノともせず貫禄勝ちを収めた。勝ちタイムは1分24秒9(良)で、1分25秒を切ったのは2000年のレイズスズラン(1分24秒7・稍重)以来21年ぶりの高速決着となった。

アルクトスは4歳時のプロキオンステークスGIIIで重賞初制覇を飾ると、昨年5歳でのマイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠに続いて、3年連続での重賞制覇となった。

今年のフェブラリーステークスGI後は、早くからここを目標にしていたとのこと。今年はJBCの舞台が金沢競馬場で、スプリントの小回り1400メートル戦でどういう競馬をするのか見てみたかったこと、また出走するためには賞金加算もしなくてはならないこともあっての選択だったそうだ。ここを勝ったことで夏休みに入り、秋には再び大舞台に挑戦していくという。

11月3日のJBC競走に向けた戦いがすでに始まっている。

取材・文 高橋華代子

写真 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

田邊裕信騎手

ちゃんと勝つことができてホッとしました。距離は何回も経験しているので心配はしていませんでしたが、ちょっと大きい馬なので、小回りにうまく対応できるかなという不安はありました。馬に助けられた部分もあって、余力がある状態で直線を迎えたのは調子も良かったからかなぁと思います。

栗田徹調教師

作戦はなかったですが、この馬本来の力が出せるように、1カ月前に帰厩させてハードな調教に耐えてこの舞台に立ちました。競馬が上手で、パサパサよりも少し湿っているようなダートだったので、この馬に向いているんじゃないかなと思いました。時計も良かったですし、今後につながる内容でした。