web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第6回早池峰スーパースプリント

2番手から直線抜け出す
  転入2戦目で初タイトル

今年は岩手競馬の年間スケジュールが大幅に見直され、水沢開催が春と冬に、盛岡開催が夏と秋に集中して行われることになった。2016年に早池峰スーパースプリントがスタートしてからは一貫して盛岡ダート1000メートルで実施されてきたが、今年はその関係もあり水沢850メートルに条件変更された。

水沢850メートルの重賞は、岩手県競馬組合設立以来もちろん初めてではあるが、近年はこの距離での競走が増加しており、古馬の各クラスで毎週のように実施されている。オープンクラスでも2016年あたりから設定され、昨年、一昨年などは年3回実施された。その都度十分なエントリー頭数があり、前哨戦となった5月11日のレースは2レースに分割されるほど。特殊な条件ではあるが、すっかり岩手競馬の番組に定着したといえる。

昨年、盛岡1000メートルだったこのレースをレコードタイムで優勝したコンサートドーレは、水沢850メートルも苦にせず前哨戦である3月28日、5月11日のレースをいずれも快勝して存在をアピールし、この日も単勝1.7倍の1番人気。続いたのは今季になって短距離路線を狙ってきたと思える転入馬たちで、転入2戦目のキラットダイヤが2番人気。5月11日にコンサートドーレとは別のレースを走り、これを上回るタイムで勝ったトゥーナノクターンが3番人気となり、この3頭はすべてサウスヴィグラス産駒。1230メートル未満の距離経験はないが、兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIで2着という実績を持つ、転入初戦のイルティモーネが4番人気となった。

ゲートは速かったコンサートドーレだが、大外10番枠からトゥーナノクターン、4番枠キラットダイヤのダッシュ力が上回り、先行争いはこの2頭。3コーナーに入るあたりでトゥーナノクターンが主導権を握り、控えたキラットダイヤが外に切り替えて追走する。

直線に入ってもキラットダイヤの脚色が衰えることはなく、ゴールでは2馬身抜け出した。コンサートドーレはキラットダイヤを追う位置にいたが、トゥーナノクターンをゴール前で捕まえるのが精一杯の3着。1番枠からコースロスなく追い上げた、5番人気のシャドウパーティーが内を掬って2着に食い込んだ。シャドウパーティーはこのレースに3年連続出走して3、5、2着。12歳となって着順を上げてきたのには驚かされた。

勝ったキラットダイヤは3月までJRA2勝クラスに在籍していた馬で、それまで12戦のうち11戦で1000か1200メートルを走っていた。転入初戦は1400メートル戦で3着だったが、板垣吉則調教師は全く意に介さずこのレースへ目標を絞り、キッチリと結果に結びつけた。板垣調教師は次走についての明言は避けたが、昨年夏には函館のダート1000メートルで58秒台、札幌のダート1000メートルでは59秒台を連発している。仮にシリーズファイナルの習志野きらっとスプリントが行われる船橋コースへ向かっても、それなりの走りはできるのではないだろうか。

取材・文 深田桂一

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

鈴木祐騎手

押していって良い位置で競馬ができればと思っていました。外の馬が速いのは想定内。もう少し早く控えておれば、コーナーはもっと上手く回れたかもしれません。前へ行っても控えても短距離なら良いレースのできる馬。先頭に立った以上は、後ろを気にせずゴール目指して追いました。

板垣吉則調教師

騎手にはハナにいってもいいし、思い切ってレースをしてくれと伝えました。外の馬が速かったですが、2番手で上手く切り替えてくれました。地元戦なら1200メートルくらいまでは戦えそうです。次走は習志野きらっとスプリントも視野に入れ、オーナーと相談して決めたいと思います。