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佐賀競馬場「二千両」


浅野靖典

2021.06.08 (火)

ちゃんぽん(500円)

佐賀競馬場にある食堂街は、“競馬場の食堂街”としてはおそらく日本一の規模ではないかしら?

店舗数では佐賀を上回る競馬場はあると思いますが、“食堂街”として捉えると、ここがもっとも大きい規模ではないかと思います。その数は18。ただしそれはいわゆる“全盛期”の話で、平成に入ったあたりから徐々に減少。ウインズ佐賀ができたとき、そのうちの2店舗が通路として削られたため、現在は最大でも16店舗となっています。

しかし現在はシャッター街……

以前、この「馬美味行脚」で紹介したことがあるお店も現在は看板を残すのみで、復活することはなさそう。なにより、半年間の無観客競馬が飲食店業界には厳しかったようで、2021年5月現在、この食堂街でお店を続けているのは5店舗だけになっているようです。

しかし、そのなかには開催日に営業しないお店もありまして、私が訪問した土曜日に開いていたのは3つだけ。だったら新規開拓をしなくては。ということで、スタンドからいちばん遠い場所にある「二千両」に入ってみました。

うどんに野菜炒め、それからカツ丼親子丼カレーライスというラインナップは「ザ・定食屋」という感じ。そのなかですこし系統が違う「ちゃんぽん」を選んでみました。

佐賀競馬場では別の店でちゃんぽんを紹介したことがありますが、こちらはどんな感じ なのかしら。すると、厨房から炒め物をする音が聞こえてみました。そして数分後に届いたドンブリにはステキな彩りが!

キャベツ、たまねぎ、ニンジン、モヤシ、万能ねぎ、カマボコ、豚肉……と、この一杯を作るのに手間をかけていることがわかります。お客さんが少なくても手を抜かない店主の心意気が感じられました。

ただ、店主の野口秀機さんによると「薄暮開催だと第1レースが昼食時間とかぶらないし、でも夜になるとみんな帰ってしまうんですよね。だからここ最近は本当にサッパリ」

とのこと。それでも佐賀競馬場がこの地に移ってきた昭和47年から50年近くの歴史があるお店。培われてきた技術には確かなものがあることがわかります。

しかしお客さんが少なくてはどうにもなりませんよね。ましてこの店は開いている店のなかでスタンドからいちばん遠いところ。

その対策として、引っ越しを考えているそうです。そして昨今の状況が改善して、競馬場の入場者数が少しでも以前に近づけば……

今は厳しい状況ですが、2022年の春に開業50周年をお祝いしたいと思います!

浅野靖典(あさのやすのり)

競馬キャスター・ライターとして活動中。JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。