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第51回東海ダービー

転入後6連勝で東海の頂点に
  今井騎手はダービー4勝目

昨年に続いて無観客で行われた2021年の東海ダービー。移籍初戦から5連勝を達成して臨んだトミケンシャイリが勝ち、ここまで9戦すべて3着以内に入っていたブンブンマルが2着。3着には単勝4番人気のスプリングメドウが入ったが、馬連複の1.3倍、馬連単の2.4倍、そして3連複の3.3倍、3連単の6.9倍はすべて、1番人気の組み合わせ。単勝と枠連複も1番人気という、堅い東海ダービーになった。

上位に入った3頭は、5月4日に行われた東海地区3歳三冠のひとつめ駿蹄賞と同じ着順。結果は上位2頭の一騎打ちだが、ここに臨むにあたってそれぞれが順調に来たわけではなかった。

トミケンシャイリはJRAで2戦して、愛知での初戦が今年3月。その初戦から快勝が続いたが、東海ダービーには“番組賞金上位馬から選定する”という規定があるために、ここに駒を進めるには間隔を詰めてでもクラスを上げていく必要があった。そのため5戦連続となる中1週で駿蹄賞に出走して勝利を飾り、東海ダービーへの優先出走権を獲得。しかしこの代償が大きかったようだ。

駿蹄賞の疲れがなかなか取れず、中間は速い時計をほとんど出せない状況。レース4日前の最終追い切りこそ一杯に追ったが、陣営の本音としては「なんとか間に合った」というところだったようだ。それは体重にも現れて、駿蹄賞からプラス6キロの535キロは、デビュー以来の最高だった。

対するブンブンマルは、前走の駿蹄賞がおよそ2カ月ぶりの実戦。普通ならば、その後の上積みが……というところだが、ブンブンマルは暑さが敵だったようで、発表された馬体重は前走からマイナス13キロ。東海ダービーの前のレースが終わった直後はブンブンマルの単勝が1.7倍で、トミケンシャイリは2.3倍だったが、その差は徐々に縮まって、最終オッズではトミケンシャイリが0.1だけ逆転して1.8倍の支持を得た。

レースの結果だけを見ると、好スタートを決めたトミケンシャイリが競りかけてきたティーズダンキーを振り切って、好位から差を詰めてきたブンブンマルを退けた、という形。しかしトミケンシャイリとコンビを組む今井貴大騎手が「ダービーは厳しいかも」と思ったときもあったそうだから、陣営の努力そして技術は称賛されるべきものだろう。その一方で、愛知の3歳勢は力量差がハッキリしていることにもなる。

その“2強”を崩す期待を3番人気という形で受けていたダイセンハッピーは、最下位に終わってしまった。どうやら1周目で砂をかぶったことで走るのをやめてしまったようで「度外視できますね。このあとは(名古屋競馬場で実施される)西日本ダービーが目標になるかなと思います。でもブンブンマルも立て直してくるでしょうね」と、今津博之調教師。そのブンブンマルは戸部尚実騎手が「相手が強かったね」と、仕方ないという表情で話していた。今後は各陣営とも暑さの克服が課題になるのだろう。

3着に入ったスプリングメドウも西日本ダービーへの出走資格がある。こちらは410キロと小柄だが、井手上慎一調教師は3着でも内容的に満足していたようだった。

取材・文 浅野靖典

写真 岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

今井貴大騎手

2強ムードであることは意識していましたが、今回はダイセンハッピーがいるから逃げられないかもという不安はありました。それでも結果的には逃げられましたし、先頭に立ってからは落ち着いた走りをしてくれました。僕はダービー4勝目ですね。僕の気持ちにも余裕があったように思います(笑)。

竹下直人調教師

勝ってくれてよかったです。前走の疲れが取れるまで時間がかかってしまって、そこが本当に心配だったんですけれど、今日はプラス6キロ。なんとか頑張ってくれてよかったです。この次はどこを目指すかというと、考えてしまいますね。距離は長くても短くても関係ないと思いますが、これから検討します。