直線追い比べで僚馬をねじ伏せる
JBC2歳優駿から北海道二冠制覇
一冠目の北斗盃のあとはこれといった新興勢力も現れず、しかも8頭立てという少頭数となった北海優駿。となれば、すでに1800メートルのJBC2歳優駿JpnIIIを制し、今シーズン初戦として出走した北斗盃を制したラッキードリームが単勝1.3倍という断然人気に支持されるのも当然のこと。北斗盃2着のリーチが4.0倍で、2頭に人気が集中した。
コスモダラニが先手をとっての1000メートル通過は64秒9というゆったりした流れ。2番手がリーチで、3番手につけていたテイクアターンがたまらんという感じで先頭をつつきに行く場面もあったが、それでもあまりペースは上がらず。コスモダラニが追い通しとなった3コーナー過ぎでテイクアターンが一旦は先頭に立ったが、ここが勝負どころと見たリーチが4コーナーでとらえにかかり、単独先頭に立って直線を向いた。
そしてこれを追いかけたのが、道中は中団を追走していたラッキードリーム。残り200メートルで並びかけると、距離不安が言われていたリーチが食い下がった。それでも残り100メートルで振り切ったラッキードリームがリーチに1馬身差をつけて二冠達成。リーチの服部茂史騎手は「頑張ってくれたんですけど、最後は距離ですね」と悔しそうな表情を見せた。
4コーナー7番手から直線追い込んだオタクインパクトが3着。2歳時から中距離を中心に使われてきたように距離延長での適性を示し、北斗盃の4着よりひとつ着順を上げた。2着リーチからの5馬身差は、「スタートして内に閉じ込められて位置取りを下げてしまい、思うようなレースができなかった」(岩橋勇二騎手)とのこと。上位3着まで人気順の決着となった。
「とにかくリーチの状態もよかったので、(直線ではラッキードリームが)リーチに負かされてしまうのかという感じで見ていました」という林和弘調教師は、着差まで含めて一冠目と同じ管理馬のワンツー。北斗盃では前日の落馬負傷でラッキードリームに騎乗できなかった石川倭騎手は、むしろうしろの馬を気にしての仕掛けとなったようで、それだけにリーチはつかまえられるという自信はあったのだろう。
石川騎手は2015年のフジノサムライに続いて2度目の北海優駿制覇。道営記念を5度も制している林調教師には、北海優駿は初制覇となった。
ラッキードリームは、ジャパンダートダービーJpnIには遠征せず、7月22日の王冠賞でホッカイドウ競馬では6頭目となる三冠を目指すとのこと。その王冠賞は、北海優駿から200メートル距離短縮の1800メートル。地方全国交流だけに他地区から有力馬が参戦してくる可能性もあるが、三冠達成へ最大のライバルは、これまで経験がなかった1600メートル以上の距離へも適性を示した僚馬リーチとなりそうだ。
ダービーシリーズは残すところ高知優駿のみ。ここまで7戦のうち兵庫ダービーを除く6戦で1番人気馬の勝利となっている。
取材・文 斎藤修
写真 浅野一行(いちかんぽ)
Comment
林和弘調教師
(初めての2000メートルでも)正直、メンバー的には負けないんじゃないかなと思っていましたが、前のリーチも気になって、最後は底力でねじ伏せたような感じでした。順調に成長してると思うのですが、こんなチャンスはめったにないので、なんとか三冠を獲れるようにがんばります。
石川倭騎手
(北斗盃に騎乗できず)プレッシャーも感じながらレースに挑みました。前走と比較はできないんですけど、調教面から気合乗りもよく、いい雰囲気、いい状態というのは感じていました。リーチの追ってからの反応がすばらしくて一旦は離されたんですけど、最後は力強く差し切ってくれたのでよかったです。