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第11回園田FCスプリント

直線大外から抜け出し6馬身差
  昨年クビ差惜敗の雪辱果たす

昨年、直線で猛然と追い込むも、クビだけ届かなかったダノングッド(高知)。当時、大きく肩を落としていた別府真司調教師が、今年は「雪辱を果たしました!」と両手でガッツポーズを決める結果となった。

過去10年で3勝(同着を含む)を挙げる高知からはJRA3勝クラスから移籍後2連勝中のダノンジャスティスと、サトノグリッターを含む3頭が遠征。対する地元勢は昨年覇者のエイシンエンジョイ、一昨年覇者のタガノカピート、前走で同じ園田820メートルを勝ったブレイクフリーやブランオラージュなどが顔を揃えた。

好スタートを切ったのはエイシンエンジョイ。「今日はものすごくスタートを出ました」(下原理騎手)と逃げ争いの一角に加わり、直後でそれらを見る位置に1番人気のダノンジャスティスがつけた。これを見て別府調教師は「ダノンジャスティスがここから弾けて勝つんじゃないか」と期待を抱いたようだが、大外からスーッと勢いよく上がっていったのが同厩舎のダノングッド。4コーナーの脚色は直線に入っても衰えることはなく、昨年の惜敗が嘘のように2着ブランオラージュに6馬身差をつけて先頭でゴールを駆け抜けた。6馬身というのは超短距離戦では圧勝ともいえる着差で、「他の馬も強いので、後ろから来られるかなと心配していましたけど、全然余裕でしたね」と畑中信司騎手は笑顔を見せた。

2着ブランオラージュは離されはしたが、前走でエイシンエンジョイに勝った時は54キロだったのが斤量が一気に3キロ増えながらも「最後までしっかり走ってくれました。枠ですね……」(田中学騎手)と、3コーナーで内ラチ沿いにつけられたものの、外枠が響いたようだ。クビ差3着のダノンジャスティスに騎乗した倉兼育康騎手は「一気に来られて、慌てて追ったのがこの馬にとっては良くなかったかもしれません」と悔やんだ。

勝った畑中騎手の所属は金沢。7年前からほぼ毎年、オフシーズンの冬には高知競馬で期間限定騎乗を行っており、今年も3月まで高知で騎乗した。その後、金沢競馬の開幕に合わせて一旦は地元に帰ったが、直後に高知で落馬負傷などで戦線を離脱する騎手が相次ぎ、調教やレースで人手不足が懸念された4月、再び期間限定で高知に戻ってきた。その最中での勝利とあって、別府調教師も「畑中騎手が初めて期間限定騎乗で来た時からずっと乗せていて、1回はいいところで、と思っていたので、勝ってくれてよかったです」と話した。

ダノングッド自身も、休養から復帰した今年3月はマイナス30キロと大きく馬体を減らし、「立て直しに時間がかかる」と陣営も覚悟したが、徐々に馬体を回復し、「やっと元気が出てきて、出来上がった感じになったのかなと思います」と別府調教師。調教でも騎乗する畑中騎手も「ここまで戻っているとは」と馬の底力を称えた。

優勝馬には7月21日に行われる習志野きらっとスプリント(船橋)への優先出走権が与えられるが、「1400メートル前後の距離の重賞への遠征を視野に入れています」とのこと。今後の活躍に期待が寄せられる。

取材・文 大恵陽子

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

畑中信司騎手

いい位置が取れて、馬の力を信じるだけでした。休養明けから比べてだいぶ調子が戻っていましたが、ここまで戻っているとは思っていなくて僕もビックリしています。終わってみれば、強い馬だなと改めて感じる結果でした。園田は腕の立つ騎手が多い印象ですが、高知の代表で遠征して勝ててよかったです。

別府真司調教師

4コーナーで「直線だけなら確かな脚がある」と思い見ていました。休養後、体力的にも精神的にも弱くなった感じで、地元でも差しては来るけど勝てる手応えではありませんでしたが、これをきっかけにまた重賞で勝てるようになったら嬉しいです。高知のみなさん、やっと園田で勝つことができました!