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第25回スパーキングレディーカップJpnIII

楽な逃げで後続を完封
  7歳でも健在ぶり示す

4月のマリーンカップJpnIIIはテオレーマが2馬身差で勝利したが、その一戦で最も印象的な競馬を見せたのは2着のマドラスチェック(JRA)だった。逃げた大井のサルサディオーネにプレッシャーをかけ続け、結果的に2頭ともテオレーマ(JRA)の末脚に屈したわけだが、前年のJBCレディスクラシックJpnIで2着した実力馬でさえ共倒れのリスクを承知で負かしにいかなければ、サルサディオーネを止めることはできない。

今回はそのマドラスチェックこそ不在だったが、サルサディオーネとテオレーマが再戦。同じマイル戦とはいえ、器用さが問われる川崎に舞台が替わり、サルサディオーネに真っ向勝負を挑むような馬も見当たらなかった。

いつも通りに逃げを打ったサルサディオーネ。前半3ハロンは35秒5とハイペースだったが、いわゆる“単騎逃げ”で気分良くラップを刻んだ。直線に向くと差は広がる一方で、ゴールでは6馬身差をつける圧勝劇。後半3ハロンもメンバー最速の38秒5をマークしたのでは、他馬は手も足も出ない。

「気分良く走ると強さを発揮してくれますね」と、涼しい顔で話した矢野貴之騎手。コースや馬場状態に差があるとはいえ、前半3ハロンはマリーンカップJpnIII(36秒1)より速く、中間のラップで11秒台も計時している。それでいてこのパフォーマンスなのだから、やはりプレッシャーなく逃げられたのが大きかった。加えて「前2走で厳しい競馬を経験したのも糧になっていますね」と鞍上が話したように、7歳になってさらにたくましさを増しているようだ。

堀千亜樹調教師も「普段から元気いっぱいで、7歳とは思えないですよ。気持ち良く走ってくれました」と満面の笑み。今後については未定で、牡馬相手でもベストの左回りを選ぶのか、右回りが続く牝馬ダートグレード路線を選ぶのか、トレーナーとしても悩ましいところだろう。今後の動向から目が離せそうにない。

2着にはJRAのリネンファッションが入った。ダートグレードは初挑戦だったが、3番手の外を追走して直線でもしぶとさを発揮した。武豊騎手も「昇級戦でも、いい走りでした。めどが立ちましたね」と納得の表情。これで4戦連続連対と充実一途で、今後の牝馬ダートグレードでも注目を集めそうだ。

さらにクビ差の3着には大井のグランデストラーダ。転入初戦のエンプレス杯JpnIIこそ11着だったが、マイル路線に舵を切って好走を続けている。「3コーナーでオッと思ったし、期待通りの走りをしてくれました。1400メートルからマイルが合っている感じですね」と本田正重騎手も好感触をつかんだ様子で、先々も展開次第でチャンスが巡ってきそうだ。

一方、1番人気のテオレーマは6着に敗れ、川田将雅騎手は「きょうはずっと動けないままでした。改めてです」と話した。今回ばかりは持ち前の末脚を発揮できなかったが、コースや展開で結果も違ってくるだろう。マリーンカップJpnIIIで見せた鮮烈な末脚を、また発揮してほしいところ。

マリーンカップJpnIIIと今回の一戦で、共倒れ覚悟でサルサディオーネにプレッシャーをかけにいく馬がいるかどうかが、牝馬ダートグレードを解く鍵になることが浮き彫りになった。ただ、今回の出走メンバーのほかにも、マドラスチェックのほか、マルシュロレーヌ、レーヌブランシュ、地方勢でも浦和のダノンレジーナなどの実力馬が控えている。逃げるサルサディオーネを巡る牝馬路線の争いが、よりいっそうの盛り上がりを見せるに違いない。

取材・文 大貫師男

写真 築田純(いちかんぽ)

Comment

矢野貴之騎手

ここ2、3戦はマークされる形で厳しいレースが続いていたので、楽に行ければいいなと思っていました。スタートだけは集中して出していきました。7歳になってもまだまだ元気なので安心しました。牡馬相手になっても期待していますし、マークがきつくなっても頑張ってもらいたいと思っています。

堀千亜樹調教師

体調は良かったので、あとは自分のペースでどこまで行けるかなと思っていました。すごく気持ちよく走っていて、直線に向いてもいい反応だったので勝利を確信しました。今後は牡馬とも戦わなくてはならないですが、7歳とは思えないくらい元気なので、この先も楽しみだと思っています。