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ダービーシリーズ2021 総括


クローズアップ

2021.7.14 (水)

各地で賞金アップ
 6頭の二冠馬が誕生

昨年はすべての競馬場で無観客開催となったダービーシリーズだが、その後も都市部を中心に緊急事態宣言が何度か発出されたり、まん延防止等重点措置が続いた。そのため引き続き一部競馬場では無観客開催となるところがあり、2021年のダービーシリーズでは、名古屋、門別の“ダービー”が残念ながら無観客開催となった。なお大井競馬場は東京ダービーを含む6月7日~11日の開催は無観客だったが、東京ダービー当日のみ、東京23区内在住の200名に限定して事前応募制(実際の入場者は166名)でL-WING・3階指定席に入場可能となった。

今年も賞金を増額した主催者がいくつかあり(以下、いずれも1着賞金)、佐賀700→800万円、大井4200→5000万円、岩手500→1000万円、名古屋700→800万円、高知700→1000万円。据え置きだった金沢(700万円)、兵庫(2000万円)、北海道(1000万円)は、いずれも昨年増額されていた。

ダービーシリーズは、2006年に『ダービーウイーク』として6競馬場の“ダービー”をほぼ1週間に集中開催するとしてスタート。当時の1着賞金を見ると、大井の4500万円こそ今とほとんど変わらないが、兵庫600万円、佐賀350万円、岩手・名古屋300万円、北海道200万円などと、当時の厳しかった状況がうかがえる。地方競馬の売上はその2006年以降も減少し、底を打った2011年を境にV字回復。もともと賞金が高かった大井以外の主催者は、すべて開始当初の倍以上の賞金となった。ダービーウイークの当時はシリーズに組み込まれていなかった高知優駿は2007~12年に1着賞金27万円という時代があり、ダービーシリーズに加わった2017年が500万円。高知もついにそこから倍増の1000万円となった。金沢も同年に第1回石川ダービーを新設してシリーズに加わり、その年の400万円から倍近い増額となっている。

石川ダービー(金沢)

成績表には『天候:曇』とあるが、実際には発走直前から強風をともなうゲリラ的な雨の中でのスタートとなった。

レースは、単騎で逃げたアイバンホーを牝馬ビルボードクィーンが追いかけ、3番手以下を大きく離して人気を集めた2頭の一騎打ち。直線での追い比べでアイバンホーがクビ差で振り切り、北日本新聞杯に続いて二冠達成となった。管理する金田一昌調教師はここまで5回の石川ダービーで4勝、中島龍也騎手は2勝目となった。

レース後、アイバンホーの関係者は高知優駿への遠征に意欲を見せたが、体調が整わなかったようで回避。2着ビルボードクィーン、3着フューリアスが高知優駿に遠征したが、それぞれ8着、11着だった。

九州ダービー栄城賞(佐賀)

断然人気に支持された牝馬のトゥルスウィーが2番手から3コーナー過ぎで先頭に立つと、直線では後続を寄せ付けず完勝。一冠目の佐賀皐月賞と同じく2着に4馬身差をつけて二冠を制した。

トゥルスウィーは2歳時には門別で2歳オープンまで制した能力の高さを見せ、佐賀移籍後はこれで8戦7勝。管理する北村欣也調教師は騎手時代に栄城賞を4勝しているが、調教師としては初勝利。山口勲騎手は3勝目となった。

トゥルスウィーはこのあと高知優駿に遠征して4着だった。

東京ダービー(大井)

2歳時には1600メートルでも距離不安が言われていたアランバローズが見事に逃げ切って見せた。全日本2歳優駿JpnIを制した2歳チャンピオンだが、3歳になってからは京浜盃9着、羽田盃2着とここまで勝ち星がなく、人気が割れたなかでも単勝4.1倍の1番人気。しかしながら3/4馬身差2着ギャルダルが12番人気、クビ差3着ブライトフラッグが10番人気、3/4馬身差4着ジョエルが8番人気という、接戦の決着で勝ち馬以外は人気薄。羽田盃を制したトランセンデンスは11着に沈み、混戦の南関東クラシック戦線を象徴する結果となった。

船橋所属馬はここ5年で東京ダービー4勝。林正人調教師は昨年のエメリミットに続いての連覇で3勝目、左海誠二騎手は2勝目となった。

兵庫ダービー(園田)

ゴール前、内外離れてハナ、ハナという差の3頭の大接戦は、4コーナーを4番手で回ったスマイルサルファーが大外から差し切った。兵庫若駒賞2着、兵庫ユースカップ4着、菊水賞4着と重賞では善戦までだったが、重賞初制覇が兵庫ダービーとなった。

渡瀬寛彰調教師は初出走から7年目での兵庫ダービー初制覇。大山真吾騎手は19年目で念願のダービー制覇となった。

一冠目の菊水賞を制していたシェナキングは惜しくもハナ差で二冠を逃し、菊水賞2着だったエイシンイナズマが3着。菊水賞1番人気で5着だったサラコナンは兵庫チャンピオンシップJpnIIで地方最先着の5着に好走したことからここでも1番人気に支持され、3コーナーで先頭に立って見せ場をつくったが、直線では一杯になり、前3頭から6馬身離されての4着だった。

東北優駿(水沢)

東北優駿が“岩手ダービー”となって3年目。一昨年は水沢、昨年は盛岡、そして今年はまた水沢に戻って、距離は変わらず2000メートル。

地元同士のダートでは無敵のリュウノシンゲンが早め先頭から盤石のレースぶりで勝利。ゴール前、2着のグランフォロミーに1馬身半まで差を詰められたが、直線は遊んでいたとのことだから、着差以上の完勝で二冠制覇となった。

一冠目のダイヤモンドカップ2着で2番人気支持された牝馬のゴールデンヒーラーは4着だった。

岩手では時代ごとにダービーに相当するレースが変わっており、2006年のダービーウイーク以降、菅原勲調教師は騎手として岩手ダービー・ダイヤモンドカップで3勝を挙げているが、調教師としては初制覇。坂口裕一騎手は岩手ダービー・ダイヤモンドカップ時代も含めて初制覇となった。

東海ダービー(名古屋)

一冠目の駿蹄賞ではブンブンマルに1馬身差まで詰め寄られたトミケンシャイリだったが、今度はそのブンブンマルを4馬身突き放しての逃げ切りで二冠制覇。スプリングメドウが3着で、3着まで一冠目と同じ決着となった。

トミケンシャイリは、これで中央未勝利から転入して6連勝。竹下直人調教師は東海ダービー2勝目、16年目の今井貴大騎手は早くも4勝目となった。

北海優駿(門別)

一冠目の北斗盃で2着だったリーチが4コーナーで先頭に立って勝ったかに思えたが、中団から徐々に位置取りを上げてきたラッキードリームが直線半ばでとらえて二冠達成。2着がリーチで北斗盃と着差も同じ1馬身差、林和弘厩舎が二冠ともワンツーという決着だった。

さらに北斗盃で3着だったソロユニットが不在となって、同4着だったオタクインパクトが3着。舞台は一冠目の内回り1600メートルから外回り2000メートルに変わっても、力関係は変わらないままだった。

林和弘調教師は北海優駿初制覇。2019、20年と北海道リーディングで、今年もトップに立っている石川倭騎手は2勝目となった。

昨年第1回として行われたJBC2歳優駿を制したラッキードリームが、3歳になってもホッカイドウ競馬の頂点に立った意義は大きい。

高知優駿(高知)

ダービーシリーズ初戦の石川ダービーから26日後の高知優駿には、1000万円という1着賞金もあって他地区から多数の申込みがあり、他地区枠4頭は狭き門となった。他地区のダービー馬は佐賀のトゥルスウィーだけだったが、園田・のじぎく賞を制したクレモナは中3週の兵庫ダービーではなく余裕をもってここに参戦。ほかに石川ダービー2、3着のビルボードクィーン、フューリアスが出走した。

1番人気に支持されたのはビルボードクィーンだったが、地元馬が強かった。好位から3コーナー過ぎで先頭に立ったハルノインパクトが2着に3馬身差をつける完勝で高知二冠制覇。逃げて2着に粘ったベアナチュラルは11番人気。クビ差で3着に兵庫の牝馬クレモナが入り、そこから6馬身離れて4着が佐賀のトゥルスウィーだった。

宮路洋一調教師は高知優駿初制覇。西川敏弘騎手は4勝目となった。

実績馬・人気馬が順当に勝利

今年は、実績馬・人気馬の活躍が目立ち、1番人気馬が6勝で、そのうち4レースで1、2番人気での決着。各地のダービー馬8頭のうち、金沢、佐賀、岩手、名古屋、北海道、高知と、じつに6頭が二冠馬となり、いずれも三冠の可能性を残している。

種牡馬を見ると、プリサイスエンド産駒がアイバンホー(金沢)、スマイルサルファー(兵庫)、ヴァンセンヌ産駒がトゥルスウィー(佐賀)、ハルノインパクト(高知)とそれぞれ2頭ずつの勝ち馬を出した。

プリサイスエンドは、グロリアスノア(武蔵野ステークス)、カフジテイク(根岸ステークス)、シェアースマイル(エーデルワイス賞)などダートグレードの勝ち馬を出し、地方競馬でも活躍馬多数のおなじみの種牡馬。ヴァンセンヌはこの世代が2世代目の産駒で、今のところ重賞勝ち馬はこの2頭だけだが、地方競馬では注目の種牡馬となるかもしれない。

リュウノシンゲン(岩手)の父グランプリボスは、北海優駿2着のリーチの父でもある。また2019年の石川ダービーを制したロンギングルックや、モズヘラクレス(高知・土佐秋月賞)、ゼットパッション(浦和・桜花賞2着)などがいて、グランプリボスの産駒も地方での活躍が目立っている。

デビュー地別では、アイバンホー(金沢)、トゥルスウィー(佐賀)、ラッキードリーム(北海道)が門別デビューで、トミケンシャイリ(名古屋)が中央デビュー。ほか4頭とラッキードリームも含め5頭がデビュー地区生え抜きのダービー馬となった。

売上面では、昨年は8レースすべてで前年から増加となったが、さすがに今年はそうはならず、金沢・名古屋・高知が前年割れとなった。

金沢は昨年が競合開催場が2場だったのに対して、今年は3場。昨年が前年比181.8%という大幅増だった反動もあったかもしれない。

名古屋は逆に競合開催場が4場から3場に減ったが、今年はJRAネット投票が前年比73.6%と大きく減ったところに原因がありそう。

高知も売上全体の4割強を占めるJRAネット投票が前年比で86.5%と減少したぶんが大きかったと思われる。

一方で北海道は昨年がJRAネット投票がないにもかかわらず前年比で136.6%と売上を伸ばしていたところ、今年はJRAネット投票の対象となって167.7%とさらに大幅増となった。

ダービーシリーズ2021売得金

施行日 レース名 売得額(円) 前年比 前年売得額(円)
5月25日(火) 石川ダービー 174,705,300 90.2% 193,601,400
5月30日(日) 九州ダービー栄城賞 276,230,600 106.8% 258,685,200
6月9日(水) 東京ダービー 1,129,532,100 121.3% 931,455,400
6月10日(木) 兵庫ダービー 326,856,700 124.2% 263,230,400
6月13日(日) 東北優駿(岩手ダービー) 253,258,000 103.8% 244,067,200
6月15日(火) 東海ダービー 163,530,500 97.4% 167,837,600
6月17日(木) 北海優駿(ダービー) 342,564,600 167.7% 204,296,400
6月20日(日) 高知優駿 261,061,700 96.3% 271,066,200
8レース計 2,927,739,500 115.5% 2,534,239,800