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第25回マーキュリーカップJpnIII

3~4コーナー先頭から押し切る
  力の要る馬場を克服し連覇達成

この日の盛岡は35度を超える暑さで東京よりも気温が高く、今年は異常な夏。しかも県内で4日連続の猛暑日は26年ぶりのことで、夕方の県内トップニュースで放送されるほど。

昨年に続き今年も平日の火曜日開催で入場者は1665人、前年比124.9%と熱狂的なファンの方にも頭が下がる。

連覇を狙うマスターフェンサーは近走の成績と58キロの斤量が敬遠されて単勝5.8倍の4番人気。注目の1番人気は勢いに乗る4歳馬バンクオブクラウズで2.5倍。続く2.7倍の2番人気は昨年の4着馬で、その後の安定感からヒストリーメイカー。近走低調も昨年の2着馬デルマルーヴルが5.5倍の3番人気で、4頭が人気を集めていた。

今年の5月に盛岡競馬場は砂の入れ替えを行い、良馬場であれば昨年以上に時計がかかり力を要す走路状況で内ラチ沿いがかなり深い。前日もそうだが当日も逃げ馬が4分どころを走るという馬場だけに各騎手のポジション取りも気になるところ。スタートして内枠の馬たちが馬場の中央へ向け駆けるという状況はあまり見ることがない。

大外枠からホーリーブレイズが先手を主張し、マスターフェンサー、バンクオブクラウズが追いかける形。デルマルーヴル、ヒストリーメイカーと人気どころは好位置につける。淡々と流れて3~4コーナー中間でマスターフェンサーが動くとバンクオブクラウズがピッタリとマークして直線へ。しかしマスターフェンサーは馬場の中央を伸びて、着差以上に強い勝ちっぷり。

勝ちタイムは2分5秒7で、ラップは、12.3-11.9-12.5-12.8-13.1-12.6-12.4-12.6-11.8-13.7。昨年より2秒7遅いがコース取りを思えば仕方がないこと。

松山弘平騎手は2017、18年にミツバで連覇して以来マーキュリーカップJpnIIIは3勝目。58キロ以上の斤量での勝利は第12回(08年)サカラートの58キロ、第14回(10年)カネヒキリの59キロがある。

2馬身差で2着となったバンクオブクラウズの大野拓弥騎手は「中間にゲートを練習してもらったみたいで、スタートはうまく切れたし、道中もリズム良く行きました。今日は特殊な馬場でしたが、相変わらず安定して走ってくれましたね。4歳馬なので次に期待したいです」

そこから10馬身差で3着となったヒストリーメイカーの藤岡佑介騎手は「スタートから3コーナーくらいまで、終始右に張る感じになってしまって、かなりエネルギーを消費したなという印象です。馬は状態が良さそうでしたし、右回りの方がベターかなと思います」

マスターフェンサーを管理する角田晃一調教師は、「スタートが決まりましたし、道中はハラハラすることなくレースを見ていました。連覇ができてホッとしています。コンスタントに使っていけたほうがいいタイプで、これからさらに調子を上げて、チャンスがあればジーワンへ挑戦してみたいです。1800メートルはちょっと短いので2000メートル以上で。今後については馬の状態とオーナーへ相談して決めたいと思います」

取材・文 峯村正利

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

松山弘平騎手

2戦負けが続き、勝ちたい気持ちで臨みました。それに応えることができて良かったです。スタートを出てメンバーを考え積極的にいい位置を取りに行こうと思っていました。揉まれずスムーズに運べて手応えも良かった。今回は内が深く特殊な馬場でしたが盛岡が合うし、斤量が重くてもこなしてくれました。

角田晃一調教師

いきなりよりは平安ステークスを叩いて臨んだほうがいいと考えてのローテーションです。今年は外傷などで筋肉が落ちていましたが、少しずつ調子を上げてきていました。鞍上には「内が深いので外へ出せたら」と。いつも以上にスムーズなレースができて、58キロであの勝ち方なら今後も楽しみですね。