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第42回王冠賞

僚馬を早めにとらえ着差以上の完勝
  ホッカイドウ競馬6頭目の三冠達成

二冠目の北海優駿(6月17日)は無観客開催となったが、ホッカイドウ競馬はその翌週から再び観客の入場が再開された。そして迎えた三冠目の王冠賞は、オリンピックの関係で設定された4連休の初日に当たり、今シーズン(5月19日~6月17日は無観客)ではダントツの994名という多くのファンで賑わいを見せた。

断然人気はもちろん三冠のかかるラッキードリームだが、ここまでの二冠とも2着だった同じ林和弘厩舎のリーチが2番人気。中央未勝利から転入しての2連勝がともに圧勝だったギャラントマナーが対抗勢力として3番人気となり、この3頭に人気が集まった。

ギャラントマナーが逃げるかと思われたが、逃げたのは1番枠からペイシャスカイ。2番手にリーチで、差なくギャラントマナー、注目のラッキードリームはこの2頭をマークして進んだ。前4頭が固まり、かなり離れてうしろに4頭と、向正面では馬群が2つに分かれた。

3コーナー手前でペイシャスカイが後退すると、自然とリーチが先頭へ。3コーナー過ぎでギャラントマナーも一杯になると、あとはラッキードリームがリーチをどこでとらえるか。その2頭だけを見れば北海優駿の再現のような展開となったが、違っていたのは、序盤からラッキードリームがリーチの直後にピタリとつけて離れなかったこと。北海優駿では2馬身ほどの差をつけたまま先頭で直線を向いたリーチがそのまま押し切ってしまうかにも思われたが、今回はラッキードリームが4コーナー手前から抜群の手応えのままとらえにかかったので、ここで勝負の行方はおおよそ見えた。

ラッキードリームがリーチを交わして前に出たのは直線半ば過ぎ。三冠とも同じワンツーの決着かに思われた。ラッキードリームの三冠に、ファンからは拍手が起こる。しかし直後に別の歓声も上がった。離れた5番手を追走していたクラウォーが、一完歩ごとに2頭との差を詰めてきた。脚色が一杯になったリーチをとらえ、しかしラッキードリームはこれを1馬身差で振り切った。手応えにはまだ余裕があり、着差以上の完勝でホッカイドウ競馬史上6頭目の三冠達成となった。

北海優駿では1秒7も離されて4着だったクラウォーは、惜しいところまで迫っての2着。早めに位置取りを上げていればという差だが、宮崎光行騎手は、「あれ以上は追いかけられない。まだまだ子供で、これからです」と将来への期待を語った。

リーチの服部茂史騎手は、「勝とうと思えば先に行ってどこまで粘れるかですから。勝ちに行ったぶん、最後は一杯になってしまいました。北海優駿でもがんばってくれたけど、距離はマイルくらいがベストですね」とのこと。

記念すべき第1回JBC2歳優駿JpnIIIを制したラッキードリームが、そのままホッカイドウ競馬にとどまって三冠を制し、2000万円のボーナスも獲得。オーナーは、ホッカイドウ競馬の元騎手で、数々の活躍馬を送り出した元調教師でもある林正夫さん。そして息子である林和弘調教師によって達成された快挙でもあった。

王冠賞は“3歳秋のチャンピオンシップ”の初戦でもあり、次走はそのファイナルとなるダービーグランプリ(盛岡)となるようだ。ラッキードリームにはそのシリーズでもボーナス獲得の期待がかかる。

取材・文 斎藤修

写真 中地広大(いちかんぽ)

Comment

石川倭騎手

無事三冠馬にすることができてほっとしています。思っていた展開とは違ったんですけど、ポジションはイメージ通りでした。無難なレース運びをすることができたので、これで負けたらしょうがないという気持ちで乗っていました。最後はいい反応見せてくれて、着差以上に強い内容だったと思います。

林和弘調教師

(三冠のうち)難しかったのは、初戦(北斗盃)ですね。もし負けるとしたら初戦だなと思っていたんですが、そのあとはけっこう自信はありました。こんなチャンスはめったにないので、なんとか三冠獲れるならと思っていました。次、ダービーグランプリが一番の目標になリますが、直行になると思います。