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第14回兵庫サマークイーン賞

ハイペースを利して早め先頭
  人気馬をしりぞけ重賞初制覇

今年園田競馬場では初めてナイターでの重賞レースとなった兵庫サマークイーン賞。この日は東京オリンピック開会式当日で祝日になり、園田競馬場には3569名と多くのファンが集まって場内の飲食店にも久しぶりに活気が戻った。一方で、県の指針に従い、ナイター開催日は最終レースを待たずして20時半に閉場。それゆえ、ファンにとっては生観戦できる“最終レース”が兵庫サマークイーン賞であり、ファンファーレが鳴り響くとスタンドからは拍手が起こった。

1番人気はラインカリーナで単勝2.1倍。2年前の関東オークスJpnII馬が浦和所属となっての参戦となれば、実力が1枚上と見るのは当然だろう。2番人気のサルサレイアもJRAで新馬勝ちなど2勝を挙げて川崎に移籍した馬。さらに半姉・サルサディオーネが2週間前にスパーキングレディーカップJpnIIIを制覇し、注目を集めた。ところが、そうした南関東からの遠征馬を横目に堂々と優勝を果たしたのは単勝46.4倍の9番人気、愛知のシーアフェアリーだった。

勝利の追い風となったひとつは、序盤に繰り広げられた逃げ争いだろう。ハイペースで逃げて持ち味を発揮する地元のステラモナークが好スタートから先手を取ったところ、大外枠から押してジェネラルエリア(愛知)が並びかけ、2頭がやや飛ばす形で最初のコーナーを回った。

それらを見る5番手で運んだシーアフェアリーにとっては「折り合いにちょっと難のある馬なので、ペースが流れてくれたのも良かったです」と岡部誠騎手。よどみないペースになったことで折り合いがつき、2周目向正面で外に誘導されるとハミを取ってグングンと加速し、3コーナーで早くも先頭に立った。それでもまだ手応えには余裕があり、差し有利のこの日の馬場を味方に離れた外から追い込んだラインカリーナを半馬身退けて勝利。昨秋の金沢・お松の方賞3着、2走前の佐賀ヴィーナスカップはクビ+クビ差3着だった6歳牝馬が重賞初制覇を果たした。さらに、騎手時代は地方通算3055勝を挙げ、来月には厩舎初出走から5年を迎える安部幸夫調教師にとっても重賞初制覇となった。

3着はさらに7馬身離れてサルサレイアということからも、伏兵扱いされていたシーアフェアリーの強さが窺える。これまで船橋・マリーンカップJpnIIIや佐賀ヴィーナスカップなど長距離輸送を経験しており、「いつも輸送中はじーっとしていてすごく大人しいんです」と安部調教師。そうなれば、他地区へ遠征の機会が増えるグランダム・ジャパン(GDJ)にはもってこいで「シリーズで優勝できるようがんばります」と意気込んだ。次走はGDJの一戦でもある8月10日金沢・読売レディス杯の予定。

シーアフェアリーはGDJでは北陸と近畿地区は自地区扱いとなるため、このレースを終えて17ポイントで暫定3位。暫定1位はサルサディオーネと、今回4着で他地区ポイント5を加算し20ポイントとしたロカマドール。残る5戦で、自地区/他地区ポイントをうまく加算し、優勝するのはどの馬か。

取材・文 大恵陽子

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

岡部誠騎手

気分良く走らせてあげられればと考えていて、ペースが流れてくれたのもよかったです。向正面で外に出すと馬が自ら進んでいきました。形にハマった時は強い勝ち方をしてくれます。力があるのは確かなので、あとは精神面が成長してリラックスして走ってくれれば、また大きなタイトルを狙えると思います。

安部幸夫調教師

佐賀での走りが良く、牝馬の地方馬同士なら走ってくれるかなと思っていました。夏負けもなくエサもよく食べて、いい状態でした。ハミを取った時にスーッと行ってしまった方がよさそうな馬で、癖を知っている騎手が上手に乗ってくれました。休養先の坂路で鍛えて力をつけ、まだまだ良くなると思います。