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スーパースプリントシリーズ2021 総括


クローズアップ

2021.8.2 (月)

レベルの高いダート短距離路線
 ファイナルは南関東が8連勝

各地で行われるトライアルが6戦、そしてファイナルの習志野きらっとスプリントと全7戦で争われるこのシリーズ。今年、トライアルから出走権を得てファイナルにも出走してきたのは、川崎スパーキングスプリント1着のカプリフレイバー(結果的に出走取消)、2着のダンディーヴォーグ(川崎スパーキングスプリントからは2着馬にも出走権あり)、園田FCスプリントのダノングッド、グランシャリオ門別スプリントのアザワクと4頭。ほかに他地区からは、園田FCスプリント2、3着のブランオラージュ、ダノンジャスティスが出走してきた。

他地区のトライアルの勝ち馬が必ずしも出走してくるわけではないことの理由のひとつに、夏の暑さがある。長距離輸送のリスクに加え、船橋競馬場は海に近いため湿度も高い。今回も佐賀がばいダッシュを勝ったドラゴンゲートが「夏に弱い」として早々とファイナルの回避を表明していた。

もうひとつは、圧倒的に南関東のレベルが高いこと。習志野きらっとスプリントは昨年から南関東グレードS1に格上げされ、1着賞金もそれまでの2100万円から3100万円となった。さらに、JBCスプリントJpnIではここ2年連続で南関東所属馬が勝っているように、今、南関東の短距離路線のトップクラスは、中央の一線級とも互角以上に戦えるレベルにある。そうしたところで他地区からの遠征馬が勝とうというのは容易なことではない。

今年、ファイナルを制したのは中央オープンから船橋に移籍した4歳牝馬のコパノフィーリング。習志野きらっとスプリントのトライアルとなっている閃光スプリント(A2以下特別)を勝っての連勝。ここを狙っての中央からの転入で、見事にタイトル奪取となった。

第1回から第3回までは笠松のラブミーチャンが3連覇を果たしたが、第4回以降は南関東所属馬が8連勝。現在の習志野きらっとスプリントは、3100万円という1着賞金にふさわしく、ダートグレードと同等のレベルにあるといえる。

早池峰スーパースプリント(水沢)

昨年まで盛岡1000mで争われていたが、開催日程の関係で今年は水沢850mが舞台となった。

中央2勝クラスから転入2戦目のキラットダイヤが、2番手追走から直線で抜け出して勝利。中央での2勝もダート1000メートルで、父サウスヴィグラスということもあり、その適性をここでも遺憾なく発揮した。2馬身差で2着に入ったのが12歳のシャドウパーティー。スタートはいまいちだったが、抜群の手応えで好位にとりつくと短い直線でもよく伸びた。昨年の盛岡から連覇を狙ったコンサートドーレは1番人気に支持されたもののクビ差3着。シャドウパーティーが1番枠からぴたりとラチ沿いを回って来たのに対して、コンサートドーレは7番枠から外々を回っていたので、2着と3着の差は枠順と走ったコースの差が大きかった。

佐賀がばいダッシュ(佐賀)

前年2着に5馬身差、コースレコードで圧勝していたドラゴンゲートが、楽な手応えのまま3コーナー過ぎで先頭に立つと、直線でもほとんど追われることなく2着のミスカゴシマに2馬身半差をつける楽勝で連覇となった。一昨年夏に大井から転入し、これで佐賀では19戦16勝、うち900メートルは5戦5勝。ワンターン超短距離でのスピードは圧倒的といえそう。

デビューしてわずか8カ月という飛田愛斗騎手の、新人らしからぬ落ち着いた騎乗ぶりも印象的だった。

川崎スパーキングスプリント(川崎)

今年から重賞に格上げされ、それにともない1着賞金も、昨年までの500万円から今年は1200万円となった。昨年までは条件クラスからの出走も目立ち、さらに特別戦ゆえ見習騎手には減量が適用されることで、出走馬の負担重賞の差が大きかった。しかし今年は重賞になったこともあり、B級以下からの出走はなく、負担重量の差は牝馬の2キロ減を別にすれば2キロの差にとどまった。

先行争いはそれほど激しくならず、先頭、2番手が入れ替わっただけの決着。勝ったのは昨年3歳時に優駿スプリントを制していたカプリフレイバーで、2着は2歳時から900メートルを中心に使われてきたダンディーヴォーグ。若い4歳馬同士の決着でもあった。

園田FCスプリント(園田)

シリーズ中最短の820メートルで争われるこのレース。園田競馬場はゴールまでの直線も213メートルと短いが、それゆえに先行争いが激しくなり、むしろ差し・追い込みが決まることもめずらしくない。

昨年は4コーナー8番手から直線大外を猛然と追い込むも惜しくもクビ差2着だった高知のダノングッドが今年も参戦。今回は枠順的に3~4コーナーで大外を回らされながらも3番手の好位を追走すると、そこから昨年同様に弾け、接戦の2着争いに6馬身差をつけての勝利。この距離で6馬身差は大差の圧勝といっていい。10番枠ながら3コーナーで内に入れてラチ沿いを回ってきたブランオラージュが2着。クビ、ハナ、クビ、クビ差という5頭による僅差の2着争いだっただけに、通ってきたコースの差は大きかった。

日本海スプリント(金沢)

高知の下級条件から5連勝で徽軫賞を制して断然人気に支持されたネオアマゾネスが、先行争いから直線でミラクルダマスクを振り切って勝ったかに思われた。しかし4コーナーでまだ差のある6番手だった名古屋のニュータウンガールが直線一気に伸びての差し切り勝ち。ネオアマゾネスに1馬身差をつけ、ゴール前では手綱を緩める余裕があった。前半、前の速い流れに乗れなかった馬が差しを決めるのも、この超短距離戦でよくあるパターン。

それにしてもニュータウンガールは、2歳から3歳にかけて快進撃で東海ダービーを制したが、今回はそれ以来1年ぶりの勝利。超短距離の舞台であらたな才能を見せた。

グランシャリオ門別スプリント(門別)

昨年3歳ながらコースレコードで逃げ切っていたアザワクが、今年もスピードの違いを見せて逃げ切り連覇達成。昨年が3歳で51キロ、今年は4歳になって54キロ。抜群のダッシュで先頭に立つと、ぴたりと追走してきたグレイトダージーは直線を向いて一杯になり7着。ゴール前差を詰めたメイショウアイアンを1馬身差で振り切った。昨年も2着はメイショウアイアンで2馬身差。昨年10歳ながら北海道スプリントカップJpnIIIを制した快速馬を2年連続で振り切った。5戦5勝という門別1000メートルの舞台でのスピードは圧倒的だ。

習志野きらっとスプリント(船橋)

スタートダッシュが抜群に速いジョーロノ、アザワクがハナを競り合って行く態勢に思えたが、それを横目に軽く気合をつけただけで先頭に立ったのが、中央から転入2戦目のコパノフィーリングだった。手応えは抜群で、この超短距離戦にもかかわらず3~4コーナーでは息を入れているようにも見えた。それだけに直線ではあっという間に後続との差を広げて圧勝。スタートで控えたキャンドルグラスが直線抜群の伸びを見せたものの、コパノフィーリングは3馬身も前にいた。2着キャンドルグラス、3着フランシスコダイゴは昨年と同じ。キャンドルグラスは船橋1000メートルではこれで5戦3勝、2着2回。負けたのは昨年と今年のこのレース。今年こそはと期待され1番人気に支持されたが、思わぬ快速馬が中央から転入してきた、という結果だった。

4歳馬と高齢馬が活躍

昨年も書いたが、この路線はやはりサウスヴィグラス産駒の活躍が目立った。早池峰スーパースプリントのキラットダイヤ、川崎スパーキングスプリントのカプリフレイバーと2勝。習志野きらっとスプリント2年連続2着のキャンドルグラスもサウスヴィグラス産駒だった。

キラットダイヤ、カプリフレイバーは、このシリーズには初出走なので、サウスヴィグラスからは次から次へとダート短距離のチャンピオン級が出てくるという印象だ。今年も地方競馬のサイアーランキングではここまでダントツの1位。今年の3歳世代が最後の産駒となる。

そしてダート路線で次にどの種牡馬が台頭してきているかといえば、習志野きらっとスプリントをコパノフィーリングで勝ったヘニーヒューズだろう。地方のランキングでは目下3位(2位はシニスターミニスター)、中央ダートのランキングではロードカナロアを抑えて1位となっている(サイアーランキングはいずれも7月28日現在)。

さらに今年このシリーズで特徴的だったのは、4歳馬と高齢馬の活躍。キラットダイヤ、カプリフレイバー、ニュータウンガール、アザワク、コパノフィーリングと、全7戦のうち5勝を挙げ、2着にも3頭。そしてあとの2勝は、9歳のドラゴンゲートとダノングッド。2着には、12歳のシャドウパーティー、11歳のメイショウアイアンがいた。

新進気鋭の若い活躍馬が出てきた一方で、ダート競馬では短距離路線でも一線級で息の長い活躍が期待できる。

斎藤修

写真 いちかんぽ