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第26回クラスターカップJpnIII

馬場を読み内から突き抜ける
  本格化した6歳がJBC目指す

東京オリンピックが終了した翌日で山の日の振替休日となり、コロナ禍ではあるが熱狂的なファン4210人が盛岡競馬場へ来場した。当初は台風の影響も考えられたが、進路がそれたことで時々雨が降ったくらいで晴れ間が多い一日となり、メインのクラスターカップJpnIIIは良馬場のコンディション。昨年は1分8秒5の日本レコードでマテラスカイが制したが、今シーズンの盛岡ダートは力を要す時計のかかる馬場。3週間前に行われたマーキュリーカップJpnIIIが内ラチ沿いを大きくあける特殊な馬場に対して、クラスターカップJpnIII当日は逃げ、イン有利の馬場となり馬場読みの重要性が勝因となる結果に。

岩手競馬のファンの方なら予想できる展開でも、ほとんどの方は予想外の流れと言っていいか。1番枠から盛岡所属の快速シークザトゥルースが気合をつけるぐらいで先手。サイクロトロン、ジャスティン、ヒロシゲゴールドが追いかける形でマテラスカイが直後の5番手、前を見る形となったリュウノユキナが6番手。

逃げたシークザトゥルースは3コーナーで脱落したが、ラップは12.0-10.8-11.5-11.7-12.0-13.1で前半の3ハロンが34秒3のハイペース。4コーナーではサイクロトロン、ジャスティンと赤い帽子の2頭が先頭で、直線はその外からヒロシゲゴールド、マテラスカイが迫る。リュウノユキナの柴田善臣騎手は残り400メートル、3~4コーナーを回ってインを突きに行く手綱さばき。直線はこの日の馬場でいちばん伸びていた内ラチ沿いから他馬と並ぶ間もなく一気に突き抜けて3馬身差の完勝となった。勝ちタイムは1分11秒1、岩手ケイシュウ社・調べで昨年との馬場差プラス2秒8だっただけに、この時計は仕方のないところ。

柴田騎手は「長くコンビを組んでいるけど、手間取った時期もあったが最近はうまくコンタクトが取れるようになり噛み合ってきて、それが成績につながっている。今がいちばん良い状態。このまま秋に向けて悪いところは立て直して、秋にいいレースができるようにつくっていくので、強くなったこの馬を楽しみ待ってていただければ」

同騎手のクラスターカップJpnIIIでの勝利は2002年サウスヴィグラス、11年ドスライスに次いで3度目。8日の新潟・レパードステークスGIII(メイショウムラクモ)でJRA重賞最年長勝利記録を塗り替えたベテランが連日の重賞制覇となった。

2着サイクロトロンの松山弘平騎手は「内枠だったのですが、スタートも良く2番手で上手に競馬してくれました。速い馬はいたんですけれど、道中もリラックスしていい形でした。今日は勝った馬が強かったかなと思いますが、この馬もしっかり成長してくれていると思います」

そこから2馬身差で3着となったヒロシゲゴールドの幸英明騎手は「3~4コーナーで砂を被ったときにちょっと嫌がっていましたけど、直線外に出したらもうひと伸びしてくれました」

リュウノユキナを管理する小野次郎調教師は「昨年の秋くらいから精神面が安定して能力を出し切れるようになって結果につながっています。目標はJBCスプリントですから、その意味でも今回勝てたのは大きい。東京盃を使うか、直行するかは馬の状態次第になります」

取材・文 峯村正利

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

柴田善臣騎手

疲れがたまっていたので放牧に出てリフレッシュ。調整もうまくいきましたし、結果も出てくれてホッとしています。前へ行く馬が何頭かいて、先行馬を見る形でレースが運べて楽でしたね。内が深いイメージも当日のレースを見て、それほど深くないと感じた。直線は内があいて、抜け出ることができました。

小野次郎調教師

北海道スプリントカップの後はこのレースに決めていました。どこからでも動けるタイプですし、脚を使えるのが持ち味ですからね。ベテランのジョッキーですから作戦は立てず騎手任せで臨みました。いいコンビだと思いますし、6歳の夏で今にして本格化したと思います。