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第25回霧島賞

不良馬場を力強く抜け出し完勝
  鹿児島産のテイエムが上位独占

九州産限定戦の霧島賞は、永らくJRA小倉で900万円以下条件(現在の2勝クラス)の特別として行われていたが、1997年に地方へ移管され、JRA900万円以下、地方オープンの交流重賞となった。当初は九州3場(佐賀、荒尾、中津)の持ち回りだったが2001年から荒尾で固定され、荒尾廃止後の12年以降は佐賀1400メートルでの開催となっている。

佐賀(12年以降)での過去9回はJRAが7勝。地方馬は17、19年にキヨマサ(兵庫)が勝利したが、JRA所属として16年に勝利後の地方移籍ということもあり、地方生え抜きでの勝利馬はいない状況。今年はそのキヨマサの登録がなく、昨年JRA所属として勝利し、その後佐賀へ移籍したテイエムノサッタも佐賀での3戦は勝ち星なしということで、トライアルのえびの特別を勝利したテイエムラッシュを筆頭に、単勝人気上位5頭はJRA勢が占めるとことなった。

この日の佐賀競馬場は午前中から強い雨に見舞われ、霧島賞が発走する頃にはやや小ぶりになったものの、馬場は各所で水が浮き、いわゆる“田んぼのような不良馬場”でのレースとなった。

アイアンムスメがスタートで気合をつけて先頭に立つと、タイニーマイス(愛知)が2番手。向正面でテイエムノサッタが上がってきたがハナを奪いにいくまではせず、テイエムラッシュ、イロエンピツ、テイエムチューハイといった上位人気馬も好位集団に付け、隊列はすんなり収まった。

4コーナー手前でテイエムノサッタが先頭を奪ったが、向正面からスパートしていたテイエムチューハイが外から並びかけ、内を通ったテイエムラッシュ、粘り込みを図るアイアンムスメと、直線入口では4頭横並びの争い。直線でテイエムチューハイが力強く抜け出すと、テイエムラッシュに2馬身の差を付け勝利。テイエムノサッタは直線伸びを欠いたものの3着を確保し、以下、イロエンピツ、カシノウィングと入線。佐賀勢が3着、5着と2頭掲示板内に進出と健闘を見せた。

テイエムチューハイはJRAの2勝クラス(1000万円以下)で2、3着が計11回。近走は障害を4戦し、2走目で未勝利勝ちと、今回のJRA勢では実績最上位。佐賀へは3歳時(17年)の霧島賞2着以来の参戦だった。2着のテイエムラッシュは昨年の霧島賞4着後に1勝クラスで2、3着各1回。九州産以外の馬とのレースで好成績を収めた馬での決着となった。

九州産限定戦は主要3県(熊本、宮崎、鹿児島)の対抗戦の要素もあり、近年はヨカヨカ(JRA・オープン)など熊本産の活躍が目立つが、今回は上位3頭を鹿児島産が占めた。この3頭の生産者のテイエム牧場は、昨年のテイエムノサッタに続く連覇。08年も1着同着と3着での上位独占など、霧島賞は7勝(同着1回含む)を挙げており、鹿児島県のみならず、九州全体を代表する存在といえるだろう。

取材・文 上妻輝行

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

石川慎将騎手

返し馬の感じもすごく良かったです。前が速くなるのはわかっていて、2コーナーでテイエムノサッタが早めに動いてくれたので、自分の競馬ができて乗りやすかったです。エンジンのかかりも良く、最後までしっかり脚を使ってくれて、スムーズな競馬ができました。