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第33回ブリーダーズゴールドカップJpnIII

余裕の手応えで逃げ馬をとらえる
  人気に応えダートグレード4勝目

サイファリスが出走取消、レーヌブランシュが競走除外となり、8頭立てで行われた今年のブリーダーズゴールドカップJpnIII。単勝1.5倍という圧倒的な人気に支持されたのは、ここまで牝馬のダートグレードで3勝をあげているマルシュロレーヌ。8着に敗れた帝王賞JpnIの後はデビュー前に管理されていたノーザンファーム空港で調整を挟み、7月末からは札幌競馬場で調教を開始。4日に行われた最終追い切りでは併せた相手(オープン馬)に先着しただけでなく、レース当日の馬体重も帝王賞と同じ470キロと、数字からも順調ぶりをアピールしていた。

単勝一桁台のオッズは全て中央馬で、メモリーコウが4.4倍、アッシェンプッテルが4.7倍、リネンファッションが6.4倍の順となった。

ゲートが開いて主導権を握ったのは、最内からのスタートとなったリネンファッション。内枠の馬たちに押し込められるような形となるも、態勢を立て直してからは、他の中央馬3頭を引きつれる形でレースを進めた。

ゆったりとした流れの中で、2番手に付けたのはアッシェンプッテル。ただ、鞍上の藤岡佑介騎手はスタートの良さを意外にも感じていたようで、「これまでは緩さから思うようなスタートが切れず、後ろからの競馬となっていましたが、あの位置で競馬ができたのは収穫でした」と笑顔を浮かべる。

一方、このスローペースに力を発揮できなかったのは、昨年のこのレースでは上り最速の末脚を使い、2着入着を果たしていたメモリーコウだった。「雰囲気は悪くはなかったのですが、ペースが遅くなったことなどを含めて、この馬らしいレースができませんでした」と鞍上の古川吉洋騎手は悔しそうな表情をしていた。

最後の直線でリネンファッションが後続を引き離しにかかる。鞍上には中央から遠征してきた4人の騎手の中で、最も門別競馬場を良く知る武豊騎手。名手に導かれたリネンファッションがそのまま逃げ切るかと思いきや、マルシュロレーヌが楽な手応えのまま一気に交わしていく。「四肢のバランスを取りながら、4コーナーまで回ってくることを心がけました。無事に勝ちきることができて良かったです」と表彰台の川田将雅騎手は、表情を変えることなくレースを振り返る。

3着はアッシェンプッテル、4着はメモリーコウの順となり、中央4頭から離れて5着に地元のネーロルチェンテが入った。

2着のリネンファッションとは半馬身差ながらも、力の違いをまざまざと示したマルシュロレーヌ。次走は昨年勝利したレディスプレリュードJpnIIも視野に入っていると矢作芳人調教師は話した一方で、再び牡馬に挑戦させたいとの思いも語る。今年の最大目標がどのレースになるかも含めて、今後のマルシュロレーヌから目が離せそうにない。

取材・文 村本浩平

写真 浅野一行(いちかんぽ)

Comment

川田将雅騎手

スタートしてからいつも以上に進んでくれて、楽に好位を取れただけでなく、この気候の中、マルシュロレーヌも気持ちよく走ってくれました。牝馬限定戦においては圧倒的な力を見せていますし、昨年は勝てなかったJBCレディスクラシックに向けて、無事に辿り着けるようにしていきたいです。

矢作芳人調教師

正直、このメンバーなら負けられないと思っていましたが、想像以上の強さでした。パドックの状態も、落ち着きや馬体の張りなど、非常にいい状態に持ってこれたと見ていました。牝馬ではダートで一番強いと自負していますし、今後も目標とするレースに向けて、精一杯仕上げていきたいと思います。