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第55回黒潮盃

好位から抜け出し直線独走
 58キロでも力の違い見せる

10月3日に盛岡で行われるダービーグランプリを頂点とした3歳秋のチャンピオンシップも、このレースで3戦目。夏の3歳重賞らしく、上がり馬と実績馬による対決で盛り上がりを見せた。

1番人気に推されたパストーソ(大井)は3歳の春を迎えてパワーアップ。前走の古馬B2戦(1800メートル)を1分52秒6(重)の好時計で勝利し、ここへ駒を進めてきた。2歳時のハイセイコー記念では8着に敗れたが、力をつけて臨んだこの一戦でどんなパフォーマンスを見せるか、注目が集まった。

一方、クラウンカップで重賞初制覇を飾ったジョエル(船橋)は、東京ダービーでも4着に食い込んだように、南関東ではトップクラスの力がある。別定58キロの克服が焦点だったが、実力を評価されて2番人気に推された。

先手を奪ったのは、来月に65歳を迎える的場文男騎手が鞍上のノートウォージー(大井)で、前半3ハロン37秒1のスロー気味のペースで逃げた。ジョエルは3番手から、パストーソは最内枠からダッシュがつかず4、5番手を追走するかたちになった。

レースが動いたのは向正面。6番手につけていたハイパータンクが位置取りを上げて先頭に並び掛ける。それを見て、ジョエルとパストーソが内ラチ沿いを通ってスパートをかけた。しかし、4コーナーを回ったところで手応えの違いは歴然。スムーズに抜け出したジョエルが最後の直線で独走態勢に持ち込むと、2着のパストーソに5馬身差をつけて重賞2勝目を飾った。

鞍上の張田昂騎手は「イメージ通りの位置がとれました。もともとスタートがいいので、いつも流れ次第というのはあったのですが、調教師から先行してほしいという指示があったので」と話す。加えて、勝負どころでもタイミングよく動き、ロスなく位置取りを上げていく好騎乗。もちろん、それを可能にしているのは、この馬のレースセンスの高さであり、展開に応じて自在に動けるのは今後も強みとなるに違いない。

パストーソは、逃げたノートウォージーをゴール寸前で捉えて2着を確保。自身の重賞初制覇もかかっていた瀬川将輝騎手は「スタートは出たのですが、外の馬のほうが二の脚が速かったですね。ただ、逃げなくても競馬はできましたし、もっと良くなってくると思いますよ」と、悔しい結果ながらも冷静に振り返った。結果的には最内枠がアダとなったかたちで、外枠からスムーズに流れに乗れていれば違ったかもしれない。

ノートウォージーは絶妙なペースで逃げ、パストーソにハナ差の3着。的場騎手は「ペースも良く、最高の乗り方ができたよ。でも、3コーナーでハイパータンクが掛かり気味に来たからね。あれがなければ2着はあった」と、見せ場十分の走りに納得した様子。軽快な先行力は大きな武器となりそうで、今後は小回りコースでの走りも見てみたいところだ。

取材・文 大貫師男

写真 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

張田昂騎手

もともとスタートが良いので流れ次第というのはあったのですが、今日は調教師から先行してほしいと指示がありました。イメージ通りの位置を取ることができましたね。まだ緩い部分があるのですが、徐々に良くなっています。素直でゲートの中でもおとなしいし、普段から扱いやすい馬です。

張田京調教師

前走のジャパンダートダービーで納得いかない部分があり、スタートから出していくように伝えていました。58キロがネックでしたが、調教からやれることはやってきましたし、今まで戦ってきたメンバーを考えればこれぐらい走って当たり前だと思います。次走は戸塚記念の予定です。