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ヤングジョッキーズシリーズ TR 門別

経験の差を見せる騎乗ぶり
  2戦ともJRA騎手がワンツー

トライアルラウンド東日本初戦の舞台は門別競馬場。地元北海道所属から出場は、今年デビューした若杉朝飛騎手ひとり。ほか地方騎手7名は南関東からの出場。赤津和希騎手(浦和)は2戦に騎乗予定が、第1戦の騎乗予定馬が馬番確定前に出走取消となったため第2戦のみの騎乗に。浦和所属ながら岩手で期間限定騎乗中の七夕裕次郎騎手は、飛行機の都合で第1戦には間に合わず、第2戦のみ騎乗予定だった篠谷葵騎手(船橋)に乗替り。七夕騎手は第2戦のみ騎乗となった。またJRA騎手では、当初出場予定だった横山琉人騎手が負傷のため、代わって山田敬士騎手が出場した。

第1戦は、1番人気に支持された3歳馬カツゲキダイリンに騎乗した山田騎手がそのチャンスを存分に生かした。

逃げ馬不在のメンバーだったが、そこは若手同士の1200メートル戦。スタートして何頭かが我先にという流れになった。しかしその中の1頭、山田騎手は落ち着いていた。行く馬を行かせて2番手の一線。外枠から先頭に立った菅原明良騎手(JRA)が4コーナーを回ると、山田騎手はその外に併せた。直線は2頭の追い比べとなり、山田騎手が3/4馬身差で振り切っての勝利となった。

2着馬から2馬身離れての3着争いは、直線外から追い込んだ木間塚龍馬騎手(船橋)が先着。6番人気で3着なら上々の結果だが、「スタートで隣の馬とぶつかって出遅れました。少しでも前に行けたらと思って馬の動きをじゃましたりして、追い方も雑になってしまったので、修正していきたいと思います」と、思い通りの騎乗ではなかったようだ。

第2戦はコーナー4つの1800メートル戦。ダッシュよく飛び出したのは小林脩斗騎手(JRA)だったが、2コーナーを回るところで篠谷騎手が外から先頭に立ち、この2頭がレースを引っ張った。直後で馬が掛かって行くのを抑えていたのは秋山稔樹騎手(JRA)と若杉騎手。そのうしろに菅原明騎手と七夕騎手が続いた。

流れは落ち着き、結果的にその先行勢から上位人気3頭での決着。手応え十分に4コーナーで前をとらえた秋山騎手のウィシュワールドが直線抜け出して勝利。4コーナーで内を突いた菅原明騎手が2馬身差で2着。外から追った七夕騎手が2馬身半差で3着だった。

上位人気は拮抗していたが、1番人気で3着だった七夕騎手は、「理想の位置につけられたし、手応えもいい感じだったのでまくれるかなと思ったんですけど、ちょっと大事に乗りすぎたかなと。前残りだったので、もう少し早めに仕掛けてもよかったかな」と振り返った。初めて騎乗するコースでの騎手交流戦だけに思い通りの騎乗とはいかず、それでも右回りで小回りの水沢コース、左回りでゆったりした盛岡コースを期間限定騎乗で経験してきたことは生かされたようだ。

地元北海道の若杉騎手は5着、11着。「(第1戦は)ゲートを出た時に隣の馬に迷惑をかけてしまいました。ゲートが下手なので、それが本番でも出てしまいました。(5着は)馬に助けられました。2戦目は、ずっと掛かってしまって、馬の本来の力を出し切る騎乗ができませんでした」と、満足な騎乗とはいかなかったようだ。

2戦ともJRA騎手がワンツーで、ともに2着だった菅原明騎手が計40ポイントを獲得。今回の出場メンバーは、地方騎手が赤津騎手以外はデビューから2年以内だったのに対してJRA騎手は、第2戦を制した秋山騎手こそ2年目だが、第1戦を制した山田騎手は4年目で、菅原明騎手は3年目。経験の差が結果に表れたといってもいいかもしれない。

取材・文 斎藤修

写真 中地広大(いちかんぽ)

Comment

第1戦 山田敬士騎手

一完歩目をポンと出てくれて、二の脚もつきましたが、まわりに主張する馬がいたので、それを行かせて自分の競馬をしようと思い、理想通りの競馬ができたと思います。初めて乗る馬でもとても乗りやすく、指示を聞いてくれて、最後も僕の気持ちに応えて走ってくれたので、馬に感謝しています。

第2戦 秋山稔樹騎手

スタートはそれほど速くない馬だと思っていたので、思ったより出てくれたことは誤算でした。位置取りであったり、折り合いも欠いていましたし、プランとは違う競馬だったので、いつ差されるかと思って考えながら、終い多少脚が上がりながらもしっかり踏ん張ってくれたので馬に感謝したいです。