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第21回サマーチャンピオンJpnIII

秋初戦を7馬身差で逃げ切る
  鮫島克也騎手はDG初勝利

サマーチャンピオンJpnIIIは2001年の創設以来一貫して8月中旬に組まれていたが、今年は約半月繰り下がり、9月1日の開催となった。その影響か、JRAからの出走馬4頭中3頭にダートグレードで複数の勝利があり、その3頭いずれも休養明け初戦。近年、このレースは春から夏に3勝クラスやオープン特別を勝ちあがり、その勢いで重賞初制覇というケースが多かったが、今年は一転して“有力馬の秋初戦”の性格を持つレースとなった。

一方、地方勢は他地区からの出走がなく、地元佐賀からも前哨戦を勝利したドラゴンゲート(佐賀がばいダッシュ、6月6日)や、ミスカゴシマ(吉野ヶ里記念、7月25日)が回避と厳しい情勢。JRA勢の独壇場となるのはやむなしとの見方が広がっていた。

しかし、JRA所属騎手から新型コロナウイルス感染者が出たため、先週末(8月28、29日)に新潟競馬場で騎乗していた騎手全員が検査の結果が出るまで騎乗見送りとなることがこの日発表された。札幌で騎乗していた武豊騎手を除く3名が佐賀所属騎手への騎乗変更(松山弘平から倉富隆一郎、幸英明から鮫島克也、福永祐一から飛田愛斗)となり、佐賀所属騎手のダートグレード勝利なるかが俄然注目されることとなった。

各馬揃ったスタートから内枠を利してラプタスが先頭をうかがい、外からイメルとコパノキッキングが迫って3頭が先行。2コーナーからこの3頭が後ろを大きく離して進む展開となった。ラプタスの逃げ脚は軽快で、3コーナーから2番手との差を広げていくと、2着に7馬身差を付ける圧勝。

1コーナーで外に膨れ、前3頭から置かれたサクセスエナジーが直線内から一気に差を詰め、コパノキッキングをクビ差とらえて2着。コパノキッキングは昨年と同じ3着で、トップハンデ(59キロ)2頭が2、3着。そこから半馬身差の4着にイメルと、JRA勢4頭がやはり上位独占。佐賀勢は吉野ヶ里記念2着のテイエムチェロキーが5着に入ったが、イメルからは5馬身差離されていた。

ラプタスは黒船賞JpnIII(20年)、かきつばた記念JpnIII(20、21年と連覇)を制しており、これが重賞4勝目。いずれも1400メートル戦で、陣営は「小回りの1400メートルはベストの条件だけに、JBCスプリント(金沢)へ行きたいが、収得賞金が少ないので出られるかどうか」とのこと。今後のレース選択に注目が集まりそうだ。

ラプタスを勝利に導いた鮫島克也騎手は、今年はドゥラリュールで7、8月に佐賀重賞2連勝と、58歳でも存在感を示している。代打騎乗のチャンスを活かしてのダートグレード初勝利で、地方所属騎手のダートグレード最年長勝利記録を更新。勝利騎手インタビューでは「今までなかなかグレードレースを勝つことができなかったので、これで勝ててホッとしてます」と笑みがこぼれていた。

取材・文 上妻輝行

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

鮫島克也騎手

返し馬で初めて乗ったんですけど、いい馬だなあという感じでした。枠順が枠順だけに、ハナに行って自分の競馬をするだけだなと思って乗りました。(当初騎乗予定の)幸ジョッキーからクセとかも詳しく教えてもらっていたので、それがよかったと思います。