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第53回不来方賞

ライバルを突き放し大差で圧勝
 ダートで力をつけ3強対決を制す

昨年、3歳クラシックが再構築された岩手競馬の新三冠競走はダイヤモンドカップ、東北優駿、不来方賞。今年の注目はリュウノシンゲンが三冠制覇へ王手。ゴールデンヒーラー、マツリダスティールがそれを阻止するかという構図。この世代の馬たちがすごいことは、2020年度・岩手競馬各部門表彰馬を振り返ってみるとわかる。2歳最優秀馬にリュウノシンゲン、最優秀短距離馬にゴールデンヒーラー、最優秀ターフホースにマツリダスティールであり、そして充実の秋に3頭が初対決となった。

2017年から『3歳秋のチャンピオンシップ』のシリーズが始まり、ファイナル・ダービーグランプリへつながる道。不来方賞からは、2018年2着のチャイヤプーン、2020年の勝ち馬フレッチャビアンカと、ダービーグランプリ優勝馬が過去4年で2頭も出ている。

1番人気は、重賞7勝、目下重賞5連勝で三冠制覇を狙うリュウノシンゲンで単勝1.8倍。ひまわり賞(オークス)を10馬身差で圧勝し、重賞5勝のゴールデンヒーラーが2.8倍で2番人気。2歳時に芝重賞2勝、前走ダート重賞のイーハトーブマイルを7馬身差で快勝したマツリダスティールが3.7倍で3番人気。4番人気のサンエイマジックが33.8倍ということからも文字通り3強対決。

11頭の顔ぶれを見ると何が逃げるか予想がつかず展開読みが難しい。スタートして内からマツリダスティール、外からゴールデンヒーラー、リュウノシンゲン、グランフォロミー、ユイノタンキマチで位置が決まると1コーナーを過ぎてペースは落ち着いた。

淡々とレースは流れ、勝負どころでペースが上がるとマツリダスティールとゴールデンヒーラーの差が広がり、さらにリュウノシンゲンは鞍上の手が動くも前2頭のスパートについていけず、4コーナーで大勢が決した感じ。

前週のビューチフルドリーマーカップ同様に内々を回る馬たちの活躍が目につく馬場で、マツリダスティールは直線で後続をグングン突き放し独走。終わってみれば2着のゴールデンヒーラーに2秒6の大差をつけて勝利。勝ちタイムは稍重で2分8秒2(12.7-11.9-12.3-13.9-13.3-12.6-12.8-12.6-12.2-13.9)だが、今年の盛岡ダートコースは時計がかかり、それを踏まえるとタイムは優秀である。

勝った村上忍騎手は「チャンスはあると思っていた。イメージでは逃げの手は30パーセントくらいだった。逃げた馬の後ろか、3番手を思っていたけど……。マツリダスティールの本当の力を春から思うように引き出せずにいたけど、前走が非常にいい走りでボクもビックリしました。今回は間隔がなかったですが、涼しくなってきて馬体は充実している。前哨戦を勝ったことで芝の選択よりはダービーグランプリの方かな。今以上の状態に良くなってくると思うで」と、ダービーグランプリへの意欲も語ってくれた。

菅原勲調教師は「芝の方が良い馬かなと思っていましたからね。ダートでこれだけの走りというのは自分でも想像していませんでした。前走の走りだけではなんとも言えなかったですが、今日の走りを見れば自分が思っていた以上に強くなっていると思いましたね。この結果であれば次走はダービーグランプリになるでしょう」

取材・文 峯村正利

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

村上忍騎手

今日は調教師からの指示はそんなになくて、任せるよという話だったので同厩の馬(リュウノシンゲン)も見ながら、結果的に逃げる形。道中は馬が行きたいように行かせるイメージで乗りました。ゴールまで手応えも鈍らずに走ってくれて、着差を見る限り本当に素晴らしい走りだったと思います。

菅原勲調教師

前走ダート1600メートルで強い競馬をしてくれましたので、ダートでもやれるなという事でここに挑むことにしました。スタートして(リュウノシンゲンと)速かった方がハナに行けば良いと思っていたので指示はしませんでした。最後はしっかり伸びる馬ですから、4コーナーあたりで勝ったと思いましたね。