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第28回アフター5スター賞

直線抜け出し歴戦の古馬を一蹴
  短距離への路線変更で重賞連勝

9月に入り、秋のビッグレースへの蹄音が聞こえ始めてきた。今回の一戦はJBCスプリントJpnIの指定競走であり、昨年のスプリント王者サブノジュニアが東京スプリントJpnIII(2着)以来、約5カ月ぶりとなる始動戦を迎えた。休み明けで別定59キロを背負う王者に対し、夏場に重賞、条件戦でパフォーマンスを発揮してきた上がり馬がどこまで太刀打ちできるのか注目を集めた。

好ダッシュを決めたエンジェルパイロが逃げ、習志野きらっとスプリントを制したコパノフィーリングが2番手を追走。5、6番手に連勝中のニシノレオニダス、優駿スプリント勝ちのワールドリングがつけ、サブノジュニアは7番手から押っつけ気味に追走するかたちになった。

4コーナーを回ってコパノフィーリングが手応えよく先頭に立ったが、ワールドリングが狭いところを割って伸び、さらに内ラチ沿いからニシノレオニダスも進出。外からはサブノジュニアと、しまい勝負に賭けたセイジミニスターが脚を伸ばした。手に汗を握るゴール前となったが、敢然と抜け出して先頭でゴールを果たしたのはワールドリング。別定55キロと3歳の勢いを武器に、半馬身差で重賞連勝を決めた。

殊勲の張田昂騎手は「直線ではがむしゃらに追いました」と話したが、エンジェルパイロとコパノフィーリングの間隙を突いたのは、冷静かつ勇気ある好判断。それに応えたワールドリングの心身の充実ぶりも見て取れた。陣営はJBCについて明言を避けたが、次走は東京盃JpnIIの予定。「これからもスプリント戦が楽しみ」という鞍上の言葉通り、ダートグレードでの活躍も期待できそうだ。

ニシノレオニダスは勝ち馬によく食い下がっての2着。JRA1勝から転入後、5戦4勝でここに臨み、高いスプリント能力を示した。笹川翼騎手は「最後は手応えがない中での争いとなって、それが勝ち馬に向いたし、器用さで負けた感じです。でも、まだ(4歳と)若いし楽しみな馬」と話した。さらなるパワーアップも期待できそうで、今後のスプリント路線をにぎわす存在となりそうだ。

サブノジュニアは、かろうじて3着を確保。矢野貴之騎手は「行き脚、道中、しまい全てが休み明けという感じでしたね」とサバサバとした表情で話し出したが、「それでも勝てそうな雰囲気はあったし、外々を回って一番強い競馬をしたと思います。『次は良くなる』という内容でした」と笑顔を見せた。仕上がり自体は良好だったが、それと精神面、レース勘は別の話。59キロも加味すれば仕方がなく、むしろ3着なら今後への期待が高まる結果といえだろう。今秋も王者の走りを見せてくれるに違いない。

取材・文 大貫師男

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

張田昂騎手

初めての古馬との重賞ということで、どうだろうという気持ちもありましたが、期待に応えてくれましたね。前走が初の1200メートルでの重賞だったのですが、イメージ以上に走ってくれました。今回は2度目で二の脚もつき、しっかりした手応えで走れていました。これからもスプリント戦が楽しみです。

張田京調教師

最後は熱くなりました。(8キロの馬体重増に)以前の体重に戻ったくらいの感じだったから、そんなに重いということはなかったですし、まだこれから成長すると思います。馬にたくさん教えられている部分が多いので、これからも厩務員と相談しながら大事に育てていきたいですね。