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第58回東京記念

岩手で力をつけ南関東でも重賞制覇
  ダービー馬が長距離の舞台で台頭

前回の東京オリンピックが行われた1964(昭和39)年。その開会式を4日後に控えた10月6日、大井競馬場で『第1回東京オリンピック記念』が行われた。78年の第15回から現在の東京記念に名称変更され、今年が第58回。距離は第1回から一貫して2400メートルで争われてきた伝統の一戦。

JBCクラシックJpnIの指定競走ではあるが、全国的に2000メートルを超える長距離戦はそれほど多くはなく、したがってダートの長距離を得意とする馬が集結する。昨年までは地方全国交流として行われていたが、今年は南関東所属馬限定。南関東格付S1の定量戦に、フルゲート16頭が揃った。

2600メートルの金盃を9馬身差で圧勝したマンガンが単勝では1番人気に支持されたが、そのレース以来約7カ月の休み明けで3.9倍。年をまたいで4連勝でブリリアントカップを制し、大井記念ではミューチャリーの2着だったフィアットルクスも約4カ月ぶりの実戦ながら4.3倍で2番人気。東京記念トライアルで1、2着だったサトノプライム、フレッチャビアンカが6.2倍で並んでの人気となった。

大井2400メートルはスタートしてすぐ3コーナーに入るため内枠の先行馬には有利で、3番パストーソがハナをとり、直後に4番フィアットルクス、2番ホーリーブレイズと続く。3~4コーナーを回って隊列が決まり1周目の直線に入ると流れが落ち着いた。

前半はきっちり13秒台のラップが続くスローペースだったが、中盤1200メートルを過ぎたあたりからペースアップ。3コーナー過ぎでフィアットルクスが先頭に立つと、抜群の手応えでとらえにかかったのが、早めに前にとりついていたエメリミット。直線を向いて抜け出そうとしたところ、しかしこれらをまとめて交わし去ったのが、馬群の中で折り合いをつけていたフレッチャビアンカ。ゴール前ではエメリミットが差し返す場面もあったが、「抜け出したら遊ぶところがあった」(御神本訓史騎手)というフレッチャビアンカが振り切った。

勝ったフレッチャビアンカは、昨年岩手在籍時に東北優駿やダービーグランプリなどを勝利。惜しくもクビ差及ばず2着のエメリミットは昨年の東京ダービーで重賞初制覇。昨年の“ダービー馬”2頭によるワンツーという決着で、1馬身半差の3着にはフィアットルクスが粘り込んだ。

一方、人気のマンガンは後方を進み、直線で伸びを見せたが7着までと見せ場はつくれなかった。

フレッチャビアンカは、デビューした門別では未勝利戦を勝ったのみだったが、3歳以降は船橋→岩手→船橋と移籍するなかで3着以内を外したのは、今年休み明け初戦となった船橋のオープン特別だけ。南関東では重賞初挑戦での勝利で、昨年3歳時に岩手で獲得したタイトルと合わせると重賞5勝目。JBCクラシックJpnIへの挑戦があるかどうかはわからないが、地方の中長距離路線では、今後さらなる活躍が期待できそうだ。

取材・文 斎藤修

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

御神本訓史騎手

初騎乗でしたが、以前に乗った騎手や厩務員さんから癖などを聞いて、自分なりに組み立てて想定内の位置をとれたので、あとはリズムよく進めていきました。岩手で力をつけてこちらに戻ってきて、本当にパワーアップしていると思いますし、レースぶりを見ても成長著しいと思います。