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第29回青藍賞

狭い内を突いて抜け出す
  休み明けも人気に応え連覇

青藍賞は2000年から1600メートルとなり、現在はマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIへの地元馬のトライアル(1着馬に優先出走権)、そしてJBCクラシックJpnIおよびスプリントJpnIの指定競走となっている。

岩手・上半期の古馬ダートマイル準重賞・重賞路線は4月赤松杯、5月シアンモア記念、8月すずらん賞。下半期は今回の青藍賞、10月マイルチャンピオンシップ南部杯JpnI、今年度は開催日程の関係で1月から12月に移動となったトウケイニセイ記念となる。赤松杯を制したチャイヤプーンは、みちのく大賞典後にホッカイドウ競馬へ移籍。すずらん賞を勝ったタイセイブラストは登録はあったが回避。それにシアンモア記念(2着)、一條記念みちのく大賞典(1着)でヒガシウィルウィンと激戦を演じたエンパイアペガサスは、マーキュリーカップJpnIII・7着後に休養に入った。

注目はシアンモア記念を制覇したヒガシウィルウィンで6月以来の出走。3歳時には東京ダービー、そしてジャパンダートダービーJpnIを制して世代トップに君臨した実力馬で、昨年8月に南関東から移籍。今回は休み明けで馬体重マイナス10キロだが、見た目に細くはなく仕上がっている感じで単勝1.8倍の1番人気に支持された。JRA2勝クラスから岩手移籍後、出走取消(感冒)を挟んで3連勝を飾っているリリーモントルーが3.2倍の2番人気。19年の東北優駿を逃げ切り、昨年の青藍賞2着パンプキンズが5.8倍の3番人気となり、前哨戦すずらん賞をハナ差2着と充実の4歳馬レールガンが19.5倍で差のある4番人気。

レースは昨年同様にパンプキンズが先手を主張すると、スタートが良かった外枠モンサンフィエール、それにロードキング、セシールが追いかける形で、スタート後200メートルから800メートルにかけて予想以上に流れは速くなっていた。ヒガシウィルウィンはポツンと5番手、リリーモントルーなど中団は3頭で縦長のバックストレッチ。3コーナーでリリーモントルーが外から仕掛けると内でヒガシウィルウィンも同時に動く、4コーナーでは先団パンプキンズ、ロードキングにリリーモントルー、ヒガシウィルウィンが射程圏へ。

直線は叩き合いとなって、狭い最内に突っ込んだヒガシウィルウィンが坂を上ると力の違いで一気に抜け出しこのレース連覇。中団後ろの内ラチ沿いを追走していた牝馬ユノートルベルが直線は外へ持ち出して追い込み2馬身半差の2着。岩手競馬ではよくある山本聡哉・政聡兄弟のワンツー。リリーモントルーはハナ差3着だった。

ちなみに昨年の勝ちタイムは1分38秒6、今年の勝ちタイムは1分40秒4(12.9-11.2-11.5-12.3-12.9-12.8-13.0-13.8)も、現在は時計がかかる走路状況だけに馬場差を考慮すれば平年並み。青藍賞の連覇は01・02年トーホウエンペラー、18・19年エンパイアペガサスに続いて3頭目となった。

山本聡哉騎手は「返し馬ではいつもと違ってかからなかったので覇気を感じませんでしたが、ゲートを出るとピリッとした。道中の手応えは怪しかったけど、抜け出すときスッーと。さすがですね。マイルから長いところがいいし、水沢より盛岡のほうが走りがいいです」。もし、内が開かなかったこと考えたら……、もう少し楽に勝てるように戒めていた。

菅原勲調教師は、先週の不来方賞マツリダスティールに続き2週連続での重賞制覇。ヒガシウィルウィンの次走は白紙ということであったが、「状態を見極めて、JBC(金沢)へ出走も考えている」と最後に一言コメントを残してくれた。

取材・文 峯村正利

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

山本聡哉騎手

レース前は2番手くらいを考えていましたが、テンが激しく無理をしないで4、5番手に控えました。外へ持ち出そうとも思ったのですが、村上さん(リリーモントルー)が外で動いたので4コーナーまでは内でじっくり行こうと腹をくくりました。直線は狭かったのですが開くのを信じて突っ込みました。

菅原勲調教師

夏は厩舎で休養、今回は休み明けの影響でしょうけど気が入っていませんでしたが、それでも勝つあたりが地力だと思います。南部杯の優先出走権を獲得しましたが、現時点では白紙。まずは立て直すことが先決です。悪かったところを直して次走へ臨みたいと思っています。